資料館生薬データベース
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産地情報
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34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
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学術情報データベース
一般生薬名 | 甘草, Gancao, Glycyrrhizae Radix (JP18), Glycyrrhizae Radix et Rhizoma (CP2020), Glycyrrhiza (JP18), Liquorice Root (CP2020) | ||||||
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生薬異名 | 東北甘草,西北甘草 | ||||||
生薬画像 |
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原植物名 | Glycyrrhiza uralensis Fischer1, Glycyrrhiza glabra Linn.2, ウラルカンゾウ1,ナンキンカンゾウ2 | ||||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Leguminosae, マメ科 | ||||||
薬用部位 | 根及びストロン | ||||||
選品 | 太くて質が充実し,内部が鮮黄色で,甘味の強いものが良品である(TN). | ||||||
公定書 | 日局18,薬典(2020) | ||||||
臨床応用 | 緩和,鎮痛,鎮咳,去痰,解毒薬として,腹痛,筋肉痛,痙攣痛,咽喉痛,リウマチ,関節炎,アレルギー,消化器性潰瘍,アジソン氏病などに応用する.グリチルリチン製造原料.嬌味原料とされる. | ||||||
医学体系 | 中国医学 | ||||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 補気薬 | |||||
薬効 | [性味] 甘,平. [性味] 甘,平. [帰経] 心、肺、脾、胃経. [効能] 補脾益気,清熱解毒,去痰止咳,緩急止痛,諸薬調和. [主治] 脾胃虚弱,倦怠乏力,心悸気短,咳嗽痰多,腹(胃)部と四肢の攣急疼痛,癰腫瘡毒,薬物の毒性と烈性の緩解に用いる. | ||||||
成分情報 | トリテルペノイド Triterpenoids G. glabra (*C10): Carbenoxolone トリテルペン系サポニン Triterpenoid saponins (*C1): Glycyrrhizin (Glycyrrhizic acid)(4-12%), 23-Hydroxyglycyrrhetic acid, 24-Hydroxyglycyrrhetic acid, 11-Deoxyglycyrrhetic acid, 24-Hydroxy-11-deoxyglycyrrhetic acid, Uralenic acid, Glycyrretol, Liquiritic acid, Glabric acid, Glabrolide, Deoxyglabrolide, Isoglabrolide, 21alpha-Hydroxyisoglabrolide, Liquiridioic acid, Liquoric acid G. glabra (*C3-C10): Glycyrrhizin, 以下代謝物 (the following compounds are metabolites.) 18beta-Glycyrrhetic acid, 18alpha-Glycyrrhetic acid, 3-Epi-18beta-glycyrrhetic acid, 3-Dehydro-18beta-glycyrrhetic acid, 3-Dehydro-18alpha-glycyrrhetic acid, 3-Keto-18beta-glycyrrhetic acid, 3-Keto-18alpha-glycyrrhetic acid, 3alpha-Hydroxyglycyrrhetic acid, 3alpha-Hydroxy-18alpha-glycyrrhetic acid, 3beta-Hydroxyglycyrrhetic acid, 3-Oxo-18beta-glycyrrhetic acid, 22alpha-Hydroxy-18beta-glycyrrhetic acid, 24-Hydroxy-18beta-glycyrrhetic acid, 22alpha-Hydroxy-3-oxo-18beta-glycyrrhetic acid, 24-Hydroxy-3-oxo-18beta-glycyrrhetic acid, 22alpha-Hydroxy-3-epi-18beta-Glycyrrhetic acid, 24-Hydroxy-3-epi-18beta-Glycyrrhetic acid, 3-O-Acetyl-22alpha-hydroxyglycyrrhetic acid フラボノイド Flavonoids (*C2): Licoflavone A, Kumatakenin フラバノンとジヒドロフラボノール Flavanones & Dihydroflavonols (*C1): Liquiritin, Liquiritigenin G. glabra (*C1): Neoliquiritin, Rhamnoliquiritin イソフラボン Isoflavones (*C1): Formononetin, Licoricone, 2-methyl-7-hydroxyisoflavone (*C2): Glabrone カルコン、ジヒドロカルコン及びオーロン Chalcones, Dihydrochalcones & Aurones (*C1): Isoliquiritin, Isoliquiritigenin G. glabra (*C1): Neoisoliquiritin, Licuraside, Rhamnoisoliquiritin (*C2): Licochalcone A, Licochalcone B クマリン類 Coumarins (*C1): Glycyrol, Isoglycyrol (*C2): Glycyrin その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives (*C2): Licoricidin, Glabrene | ||||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 消化器性潰瘍抑制,胃液分泌抑制,鎮痙,鎮咳,副腎皮質ホルモン様作用(エキス).抗炎症,抗アレルギー作用(glycyrrhizin). | ||||||
DNA配列 | AB012125, AB012126, AB012127, AB012128, AB012129, AB032424, AF124238; 伝統医薬データベース. | ||||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます 訳文画像を表示 | ||||||
適応症 | 咽喉の腫脹疼痛, 咳嗽, 動悸, 食欲不振, 皮膚化膿症, 胃潰瘍 | ||||||
方剤 | 阿膠附子湯, 安産湯, 安中散, 医王湯, 葦茎合四順湯, 異功散, 胃苓湯, 茵蔯四逆湯, 烏頭湯, 烏頭桂枝湯, 烏薬順気散, 烏苓通気湯, 温経湯, 温胆湯, 温脾湯, 益気養栄湯, 越婢湯, 越婢加朮湯, 越婢加半夏湯, 黄耆建中湯, 黄耆別甲湯, 黄芩湯, 黄芩加半夏生姜湯, 黄土湯, 黄連湯, 黄連消毒飲, 乙字湯, 解急蜀椒湯, 華蓋散, 香川解毒剤, 加減胃苓湯, 加減瀉白散, 加減小柴胡湯, 加減八物湯, 加減涼膈散, 化食養脾湯, 活血解毒湯, 藿香正気散, 葛根湯, 葛根黄連黄芩湯, 葛根加半夏湯, 葛根加苓朮附湯, 葛根紅花湯, 葛根湯加辛夷川芎湯, 加味温胆湯, 加味帰脾湯, 加味承気湯, 加味逍遥散, 加味逍遥散合四物湯, 加味八仙湯, 加味平胃散, 栝楼桂枝湯, 陥胸湯, 緩痃湯, 還魂湯, 甘遂半夏湯, 甘草湯, 甘草乾姜湯, 甘草瀉心湯, 甘草附子湯, 甘草麻黄湯, 寛中湯, 甘麦大棗湯, 甘連湯, 甘連大黄湯, 甘連大黄加石膏湯, 甘露飲, 帰耆建中湯, 桔梗湯[外台], 桔梗解毒湯, 橘皮竹茹湯, 帰脾湯, 逆挽湯, 芎帰膠艾湯, 芎帰調血飲, 芎帰補中湯, 救逆湯, 響声破笛丸, 杏蘇散, 近郊方朮附湯, 駆風解毒散, 駆風触痛湯, 九味柴胡湯, 九味半夏湯, 九味檳榔湯, 荊芥連翹湯[一貫堂], 荊芥連翹湯[回春], 桂姜棗草黄辛附湯, 桂枝湯, 桂枝加黄耆湯, 桂枝加葛根湯, 桂枝加桂湯, 桂枝加厚朴杏仁湯, 桂枝加芍薬湯, 桂枝加芍薬生姜人参湯, 桂枝加芍薬大黄湯, 桂枝加朮附湯, 桂枝加大黄湯, 桂枝加附子湯, 桂枝加苓朮附湯, 桂枝甘草湯, 桂枝甘草龍骨牡蠣湯, 桂枝去桂加茯苓白朮湯, 桂枝去芍薬湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣救逆湯, 桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯, 桂枝芍薬知母湯, 桂枝桃仁湯, 桂枝二越婢一湯, 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝二麻黄一湯, 桂枝人参湯, 桂枝附子湯, 桂枝麻黄各半湯, 啓脾湯, 行気香蘇散, 香芎湯, 香砂平胃散, 香砂六君子湯, 香蘇散, 蒿枕無憂散, 合壁飲, 厚朴七物湯, 厚朴生姜半夏甘草人参湯, 五虎湯, 古今録験続命湯, 五積散, 五物大黄湯, 五淋散, 柴葛解肌湯, 柴陥湯, 柴胡加芒硝湯, 柴胡去半夏加栝楼湯, 柴胡桂枝湯, 柴胡桂枝乾姜湯, 柴胡四物湯, 柴胡清肝散, 柴胡疎肝湯, 柴胡別甲湯, 柴胡養栄湯, 柴芍六君子湯, 柴朴湯, 柴苓湯, 酸棗仁湯, 滋陰降火湯, 滋陰至宝湯, 四陰煎, 紫苑散, 四逆湯, 四逆加人参湯, 四逆散, 四君子湯, 紫根牡蠣湯, 梔子甘草豉湯, 梔子柏皮湯, 四順湯, 四順清涼飲, 滋腎明目湯(腎気明目湯), 紫蘇子湯, 紫蘇和気飲, 七味白朮湯, 瀉胃湯, 炙甘草湯, 芍甘黄辛附湯, 芍薬湯, 芍薬湯加大黄, 芍薬甘草湯, 芍薬甘草附子湯, 芍薬甘草附子大黄湯, 謝導人大黄湯, 瀉白散, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 十全大補湯, 十味敗毒湯, 十六味流気飲, 順気和中湯, 潤腸湯, 春林赫石脂湯, 正気天香湯, 生姜甘草湯, 生姜瀉心湯, 小建中湯, 小柴胡湯, 小柴胡湯加黄連茯苓, 小柴胡湯加桔梗石膏, 小柴胡合半夏厚朴湯, 小青竜湯, 小青竜加石膏湯, 小青竜合麻杏甘石湯, 小続命湯, 椒梅湯, 椒梅瀉心湯, 常檳湯, 消風散, 升麻葛根湯, 逍遥散, 升陽散火湯, 舒筋立安散, 除湿補気湯, 助陽和血湯, 辛夷散, 腎炎一方, 腎気明目湯, 秦艽防風湯, 沈香降気湯, 参蘇飲, 腎疸湯, 神秘湯, 清胃瀉火湯, 清咽利膈湯, 清湿化痰湯, 清上蠲痛湯, 清上防風湯, 清暑益気湯, 生津湯, 清心蓮子飲, 清燥養栄湯, 清熱解鬱湯, 清熱補気湯, 清肺湯, 清涼飲, 洗肝明目湯, 川芎茶調散, 千婚湯, 喘四君子湯, 銭氏白朮散, 旋覆花代赭石湯, 続命湯, 疎経活血湯, 蘇子降気湯, 大黄甘草湯, 大青竜湯, 大続命湯, 大桃花湯, 大百中飲, 大防風湯, 断痢湯, 治黄胖方, 竹茹温胆湯, 竹皮大丸, 竹葉湯, 竹葉石膏湯, 治酒査鼻方, 治喘一方, 治打撲一方, 治頭瘡一方, 治頭痛一方, 知母茯苓湯, 中建中湯, 中正湯, 調胃承気湯, 丁香柿蔕湯, 釣藤散, 丁附理中湯, 通導散, 通脉四逆湯, 定喘湯, 桃核承気湯, 当帰飲子, 当帰建中湯, 当帰四逆湯, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 当帰鬚散, 当帰拈痛湯, 当帰白朮散, 当帰白朮湯, 謄龍湯, 独活葛根湯, 独活寄生湯, 頓嗽湯, 内疎黄連湯, 内托散 [回春], 内托散 [千金], 二朮湯, 二陳湯, 女神散, 人参散, 人参湯, 人参養栄湯 [局方], 人参養栄湯 [聖済], 敗毒湯, 排膿湯, 貝母湯, 肺癰湯, 白頭翁加甘草阿膠湯, 麦門冬湯, 麦門冬飲子, 八味丸合人参湯, 八味逍遥散, 八物湯, 八珍湯, 半夏散料, 半夏湯, 半夏厚朴七物湯, 半夏瀉心湯, 百合固金湯, 白朮附子湯, 白虎加桂枝湯, 白虎加人参湯, 茯苓甘草湯, 茯苓杏仁甘草湯, 茯苓桂枝甘草大棗湯, 茯苓四逆湯, 茯苓沢瀉湯, 茯苓補心湯, 附子粳米湯, 附子理中湯, 分心気飲, 平胃散, 変製心気飲, 補陰湯, 防已黄耆湯, 防已地黄湯, 防已茯苓湯, 防風通聖散, 補腎湯, 牡丹皮散, 補中益気湯, 牡蠣湯, 奔豚湯 [金], 奔豚湯 [広済], 奔豚湯 [小品], 奔豚湯 [肘後方], 奔豚茯苓湯, 本方芍薬湯, 麻黄湯, 麻黄加朮湯, 麻黄加苓朮附湯, 麻黄附子甘草湯, 麻黄連軺赤小豆湯, 麻杏甘石湯, 麻杏薏甘湯, 蔓荊子散, 味麦益気湯, 明朗飲, 木通散, 養肺湯, 薏苡仁湯 [明医指掌], 抑肝散, 抑肝散加陳皮半夏湯 [浅井南溟], 抑肝散加陳皮半夏湯 [本朝経験], 理中安蛔湯, 理中湯, 六君子湯, 立効散, 龍骨湯, 龍胆瀉肝湯 [薛氏], 龍胆瀉肝湯 [一貫堂], 涼膈散, 苓甘姜味辛夏湯, 苓甘姜味辛夏仁湯, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, 苓甘五味姜辛湯, 良枳湯, 苓桂甘棗湯, 苓桂五味甘草湯, 苓桂朮甘湯, 羚羊角飲, 連翹湯 [眼科], 連翹湯 [丹毒], 連翹湯 [本朝経験], 連珠飲, 弄玉湯, 六鬱湯, 六物附子湯, カンゾウエキス, カンゾウ粗エキス, 風引湯, 香砂養胃湯 | ||||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └1-5. 痰厥: 痰が胸につまり気を失う 【疾患注釈】此病は中気(卒に気を失い、歯を食いしばり、目をにらみつけ、且つその身冷えて咽に痰の聲なし)と同じ ただはじめに眩暈ありて、卒に倒れ聲出ず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、歯をくいしめ、目を見つめ息荒し 【用法】先(まず)嗅ぎ薬(何か嗅ぐ薬)を用て嚏(くさめ)を取べし 其次に塩湯に生姜のしぼり汁を入れて用ゆ尤もよろし、竹歴を加るもよろし、又甘草一味刻て濃煎じ、多く飲しむべし、痰を吐て癒なり <上巻25丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └1-11. 疔毒昏憒: 疔の毒により気を失う 【疾患注釈】凡人平居無事にして、暴(にわか)に死る者あり、何故なる事をしるべからざるは、撚紙(こより)に火を點(とも)し死人の遍身(そうみ)を見るべし、若(もし)小瘡(ちいさいできもの)あらば、是疔毒内に入たるなり 面部等の顯(あらわれ)たる所に生たるは、見易き故に知易し、身體手脚(からだてあし)の隠たる所に生じたるは見えがたきゆえ知かたし、故に往々見誤る事あり、又は初発に憎寒壮(さむけつよく)熱ありて、傷寒と會(こころえ)て療理し、救わざるに至る物あり、此証急に救わざれば半日に死す、死て後其屍(そのしかばね)に紫黒の点あるべし、疔毒なり、故に此証緩(ゆるやか)にすべからず 【用法】甘草、緑豆粉、辰砂、各等分細末にして二三匁を用ゆべし <上巻50丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-12. 脚気衝心: 脚気の毒が脚より腹に入り胸元へ衝き上げる状態 【疾患注釈】凡(おおよそ)此証最初に脚膝弱、或は頑麻(しびれ)、或はだるく痛、或は轉筋抅急(すじひきつめ)、或は踵跟(きびす)足心(あしのうら)等隠隠(どこともなく)痛、或は脛脚(はぎすね)に肘腫(むくみ)ある等の証ありて、或は小腹(したばら)麻痺(しびれ)、卒(にわか)に嘔吐を発し上衝(つきあげ)強く、肩にて息をなし、喘息して白汗出、乍(たちまち)寒乍熱、煩悶(くるしみもがき)やまず、或は精神漸々に恍惚となり、或は譫語(たわごと)を発し、遂に無性となる、是脚気の衝心にて九死一生なり、急に理法を施すべし 又其初憎寒(さむけ)壮(つよく)、熱いで全く傷寒のごとくなる有見誤るべからず 衝心の節に至りて、病発に右の如く脚に疾(やまい)ある事を知ざれば、理療に違ひあり、病人も心付ず別の事と思ひ、告語(つげいた)らず、事を誤ることあり よくよく心を用て問べし 【用法】黒豆一合、水三合を一合五勺に煎じて飲べし、甘草を加え煎じて服す、最もよし <上巻61丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └1-13. 積気暈倒: 胸腹の激痛により目をまわす 【疾患注釈】此証初発に頭痛身熱、或は憎寒(さむけして)、後に大に熱を発し、小腹(したばら)痛を作(なし)て、胸を脇肋(わきばら)に引疼(ひきいたみ)、甚しきは咬牙(きばをかみ)ふるえて反張(そりかえり)、冷汗出て流るるがごとくにして死なんとするあり、又咬牙(きばをかみ)反張(そりかえり)なくして卒然(にわか)に暈(めくるめく)倒るるものあり、或は大小便閉るあり、又積気厥逆(つきあげ)て、心腹(むねはら)共に膨張(はりつめ)て、背膂(せなかかた)引痛、嘔吐乾嘔(はきけえたき)、或は痰沫を吐き、或は心胸(むねさき)に湊(つきつめ)、或は脇肋(わきばら)へ筑(さしこみ)て腹中刺がごとく痛、或はついに厥逆(てあしひえ)あがり、死せんとするものあり 【用法】香附子末となし、白湯にて服す、或は縮砂の末、甘草の末少し加え服す <上巻68丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-13. 積気暈倒: 胸腹の激痛により目をまわす 【疾患注釈】疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり 【用法】甘草末白湯にて服す <上巻69丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-14. 癲癇卒倒: 癲癇の病にて俄に倒れる 【疾患注釈】今迄無事なるに似て、忽わっと聲を発して仆(たおるる)者多し、又聲なくして倒るる者あり、何れも目をすえ、直視、或は上竄(めだまかみつり)て白沫を吐、手足搐搦(びくつき)、目ぶたびくつき、或は偏引(かたかたへひきつり)、揺頭(かしらうごき)、振身(みふるえ)、咬牙(きばをかむ)、或は息絶、脈も絶たるがごとく、口開身やわらかにして死人の如なる者あり、然れどもながきは一時又は半時、短は暫時にして舊(もと)のごとし、醒(さめ)れば夢のごとし、是癲癇の証候なり 【用法】釣藤鈎、甘草一匁ずつ水に煎じ、服さしむべし <上巻72丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-9. 心腹卒痛: 心腹(むねはら)突然痛くなる └ 瘀血痛: 心痛(むねいたみ)、湯水を飲て嚥下(のみくだせ)ば、必吃逆(しゃっくり)をなすは瘀血(わるち)とす、腹痛一処(ひとところ)にて他所へいつまでも移ず、動かざるは瘀血なり 【用法】芍薬、甘草を等分にして、煎服す <中巻35丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-1. 金瘡: 刀や脇差等による切り傷の類 └ 鳥銃子人肉中打込: 鳥銃子(てっぽうだま)人の肉の中へ打込たる 【用法】天南星、末となし、甘草の煎汁にて和(まぜ)傳(つく)べし <中巻57丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-11. 諸獣囓傷: 獣に噛まれる └ 瘈狗囓: 瘈(やまい)犬に囓まれたる 【用法】防風、升麻、葛根、甘草各三分、杏仁一匁五分、水茶椀に二杯を一杯に煎服す、最よし、豺狼(やまいいぬ、おおかみ)に囓(かまれ)たるも、此方よし <中巻90丁> 5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類 └ 5-7. 諸物入肉: 棘が刺さる └ 竹木刺咽刺: 竹又は木の刺(とげ)たちたる 【用法】甘草を嚼(かみ)て津(つま)に和(まぜ)傳(つけ)妙なり <下巻35丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-1. 中諸薬毒: 諸薬の毒にあたる 【疾患注釈】諸々の薬の毒に中(あたり)たるなり 【用法】 ・ 甘草壹匁、黒豆貮匁煎じ服す、一切の薬毒に妙なり ・ 甘草三匁、水三椀を一椀半に煎て滓を去て、後緑豆粉を入再び煎じ、數(たびたび)沸(わきた)て蜜半両入て服す <下巻39丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-1. 中諸薬毒: 諸薬の毒にあたる └ 中野葛毒: 野葛の毒に中(あたり)たる 【疾患注釈】山野に有り、和名つたうるし、蔓草なり 其藤色(つるいろ)赤節高(あかくふしたか)く、節の所ごとに葉三つ、付て葛の葉に似て厚く光あり、節の間に花を開く 細にして黄なり、蔓を切ば汁出ず、人の身に付ば體(からだ)かぶれ痛痒(いたみかゆみ)をなし誤って食えば人を殺す 【用法】野葛の毒に中(あた)り、口開かざるものは、甘草一味水にて濃煎じ多飲て良 <下巻42丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中茶毒: 茶の毒に中(あたり)たるなり 【用法】甘草一味煎じ服す <下巻46丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └中菌蕈類毒: 菌蕈(きのこ)の類の毒にあたる 【用法】甘草を麻油(ごまのあぶら)に煎じ服すべし <下巻49丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-3. 中酒毒: 酒、油、塩の毒にあたる └ 醒焼酒醉: 焼酒(しょうちゅう)に醉(よい)て醒(さめ)ざる 【用法】甘草を末となし煖(ぬるい)水に服す <下巻54丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-4. 中魚介禽獣肉毒: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる └ 中馬肉毒: 馬肉の毒に中(あたり)たる 【用法】犬肉と同じ 甘草を濃く煎じて多く飲てよし <下巻59丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-4. 中魚介禽獣肉毒: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる └ 中毒通療: ものにあたりおしなえて治す 【用法】黒豆を煮て汁を取多く服す、甘草を加えて煎じ服す極めてよし、此方最効(なかんずくししるし)あり、或は升麻を加ふ、亦よし <下巻61丁> 10. 小児急証: 小児の急病 └10-7. 驚風: 新生児のひきつけ └慢驚風: 大抵大病の後、或は大便瀉利、或は吐乳食(ちち、くいものをはく)こと數日の後に俄に昏悶(うっとりとなり)、驚搐(びくつき)、竄視(うえをみつめる)等の証あり 【疾患注釈】痰盛んになる 【用法】甘草、一味多少にかかわらず煎じ飲(のま)しむべし <下巻91丁> | ||||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | ||||||
同類生薬 | 新疆甘草 (Glycyrrhiza inflata Batal) | ||||||
参考文献 | JP18: 第18改正日本薬局方. CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp.42-45. C2) 生薬学概論, pp.284-285. C3) Planta Med.,48,38(1983). C4) Chem.Pharm.Bull.,33,210(1985). C5) Biochim.Biophys.Acta,921,275(1987). C6) J.Biochem.,103,504(1988). C7) Biochem.Pharmacol.,40,291(1990). C8) Biochem.Pharmacol.,41,1025(1991). C9) Planta Med.,298(1984). C10) Chem.Pharm.Bull.,40,1208(1992). L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬 pp. 327-329. | ||||||
備考 | - 新疆甘草はGlycyrrhiza inflata Batalの根及びストロンで,glycyrrhizin抽出用とする. - 甘草の飲片をそのまま,もしくは蜂蜜につけて炙ったものを「炙甘草」と称する.甘草は清熱解毒の力が強く,炙甘草は補中益気の効能が強い. - 漢方処方で最も汎用される生薬.甘草エキスは煙草,醤油などの矯味料としての需要も多い. - ミネラルコルチコイド作用により,長期間多量(1日50g以上)に服用すると低カリウム血症,高ナトリウム血症,浮腫,高血圧,心臓障害を起こす.極端な場合は偽アルドステロン症を発症する. | ||||||
更新日 | 2022/11/02 | ||||||