資料館生薬データベース
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学術情報データベース
一般生薬名 | 附子, Fuzi, Aconiti Radix Processa (JP18), Aconiti Lateralis Radix Praeparata (CP2020), Processed Aconite Root (JP18), Prepared Common Monkshood Daughter Root (CP2020) | ||||||
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生薬異名 | 加工附子, 塩附子, 炮附子, 黒附片, 白河附子 | ||||||
生薬画像 |
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原植物名 | CN production: Aconitum carmichaeli Debeaux1, JP production: Aconitum japonicum Thunberg2, ハナトリカブト1,オクトリカブト2 | ||||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Ranunculaceae, キンポウゲ科 | ||||||
薬用部位 | 塊根(子根), 6月下旬-8月上旬採 | ||||||
選品 | 鶏卵大のものが最上品とされる(NI). | ||||||
公定書 | 日局18,薬典(2020) | ||||||
臨床応用 | 強壮,利尿,強心,鎮痛薬として,代謝機能失調の回復,身体四肢関節の麻痺疼痛などの回復,虚弱体質者の腹痛,下痢,失精など内臓諸器官の弛緩によって起こる症状の回復などに応用する. | ||||||
医学体系 | 中国医学 | ||||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 温裏薬 | |||||
薬効 | [薬性・性味] 辛、甘,大熱;有毒. [帰経] 心、腎、脾経. [効能] 回陽救逆,補火助陽,散寒止痛. [主治] 亡陽虚脱,肢冷脉微,心陽不足,胸痺心痛,虚寒吐瀉,胸腹部冷痛,腎陽虚衰,陽萎宮冷,陰寒水腫,陽虚外感,寒湿痺痛に応用する. | ||||||
成分情報 | アルカロイド Alkaloids A. carmichaeli (*C1): Aconitine, Hypaconitine, Mesaconitine, Carmichaeline, Talatisamine, Coryneine chloride A. japonicum (*C1): Aconitine, Mesaconitine, Hypaconitine, Hygenamine Aconitum spp. (*C2): Aconitine系 (type):Aconitine, Hypaconitine, Mesaconitine, Jesaconitine, Neopelline, Atisin系 (type):Atisine, Kobusine, Pseudokobusine, Telatisine, Songorine, Atidine, Napelline, Heteratisine, Hypognavine, Ignavine, 強心成分 (Cardiotonic compounds):Hygenamine, Coryneine, Yokonoside, etc. A. ferox (*C1): Pseudoaconitine A. heterophyllum(*C1): Atidine, Atisine, Hetisine, Heteratisine, Benzoylheteratisine A. napellus (*C1): Songorine, Napelline, Hypaconitine, Mesaconitine, Neopelline, Neoline, Aconine, Benzoylaconine, Aconitine, Napellonine | ||||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 鎮静,ストレス潰瘍抑制作用(エキス).鎮静,血圧降下,不整脈誘発作用(aconitine),強心作用(hygenamine, coryneine).鎮痛,抗炎症作用(mesaconitine). | ||||||
DNA配列 | AB020369, AB020370, AB020371, AB020372, AB020373, AB020374; 伝統医薬データベース. | ||||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます | ||||||
適応症 | 顔面蒼白, チアノーゼ, 四肢の冷え, 脈が微弱, 自汗, 腰や膝がだるく無力, 頻尿, 性機能減退, 泥状水様便, 腰痛, 尿量減少, 腹満, 関節の腫脹・疼痛, しびれ, 悪寒 | ||||||
方剤 | 阿膠附子湯, 烏頭赤石脂丸, 温脾湯, 解急蜀椒湯, 葛根加苓朮附湯, 乾姜附子湯, 甘草附子湯, 近郊方朮附湯, 桂姜棗草黄辛附湯, 桂枝加朮附湯, 桂枝加苓朮附湯, 桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯, 桂枝芍薬知母湯, 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝附子湯, 香朴湯, 牛車腎気丸, 三生飲, 四逆湯, 四逆加人参湯, 芍甘黄辛附湯, 芍薬甘草附子湯, 芍薬甘草附子大黄湯, 正観湯, 小続命湯, 舒筋立安散, 真武湯, 正観湯, 壮原湯, 大黄附子湯, 大三五七散, 大桃花湯, 大防風湯, 断痢湯, 竹葉湯, 丁香茯苓湯, 丁附理中湯, 通脉四逆湯, 八味丸合人参湯, 八味地黄丸, 反鼻交感丹, 白朮附子湯, 茯苓四逆湯, 補腎湯, 奔豚湯 [広済], 麻黄加苓朮附湯, 麻黄附子甘草湯, 麻黄附子細辛湯, 薏苡附子敗醤散, 利膈湯, 六物附子湯 | ||||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-2. 脱陽:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる 卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也 【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ 【用法】吐瀉の後 脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後参附湯、又汗おおきは芪附湯の類を用ゆべし、かつ気海天樞中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつみ)、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を剉、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海陰交の次(あたり)を是又絶えずのすべし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-10. 霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり └ 嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざる 【用法】手足冷るは生半夏一匁、生附子一匁、生姜三片、水二杯を一杯半に煎じ用ゆ <上巻37丁> └ 不利不已: 腹くだりやまざる 【用法】無性にならんとするは、参附湯、姜附湯、又は附子を煎じ、塩一撮(ひとつまみ)入れ攪(かきまぜ)て服すべし <上巻37丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり。此証一様ならず故に七ケ條に分たり └ 虚熱吐血: 患人(病人)面赤く、滑沢(つやつや、うるおい)甚だしく、或は躁悶(もだえさわぎ)、或は喘息して手足厥冷(冷えあがり)、或は小便清澄(すみ)、大便もやわらかに通じ、又は泄瀉し、遂に吐血て止まざるは虚陽の浮泛(うかみあかり)たるなり、血色鮮紅なり、尤大切の証なり 【用法】参附湯に伏龍肝末となし、服する時點(くわえいれ)攪(かきまぜて)用ゆ最良 <中巻3丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-8. 真頭痛: 激しい頭痛と頭痛により手脚の冷えあがる 【疾患注釈】頭痛甚く、脳蓋(のうことごとしく)沈痛、或は連齒(はまで)痛つよく、手足厥冷(ひえあがり)、爪甲(つめこう)の色青く、若(もし)其冷手は肘より上までのぼり、足は膝の上まで冷のぼる者は理しがたし、然(しかれ)ども理法あり、可施(ほどこすべし) 【用法】速やかに百會の穴に灸すること數十壮、且大劑参附湯を煎じ、猛(いちがいに)服して死を免るる者あり <中巻31丁> 4. 横死の類: 病死以外の死 └ 4-6. 雷震死: 雷に打たれて死ぬ 【疾患注釈】雷(いかづち)に撃(うた)るること軽きものは、気絶したりとも 理療を加えて蘇ることあり 【用法】其人仰に臥(あおむけにねか)し 胸腹の上へ活鮒をおき其鮒動揺(うごけ)ば忽(たちまち)に蘇るなり、服薬は附子一味水に煎じ用ゆべし <下巻16丁> 9. 産後急証: 産後に関する急病 └ 9-1. 血暈: 血の道症 └ 血脱昏暈(けつだつこんうん): 産の時血脱下(おりくだる)こと既に過多(おびただしく)、気も就所(つくところ)を失い、気血ともに乏昏暈になり、人事を不省(かえりみず)、其面の色白く、眼黒閉て開かず、口を開手足冷、頭傾(うなだれ)、呼吸(いきづかい)寂然(うすら)なるは血脱昏眩暈なり 【用法】若し手足冷えれば、附子一匁を加えてよし <下巻76丁> 10. 小児急証: 小児の急病 └10-7. 驚風: 新生児のひきつけ └慢驚風: 大抵大病の後、或は大便瀉利、或は吐乳食(ちち、くいものをはく)こと數日の後に俄に昏悶(うっとりとなり)、驚搐(びくつき)、竄視(うえをみつめる)等の証あり 【用法】先大抵艾灸をよしとす、神關気海章門天樞の諸穴に數壮なるべし、扨(さて)熊膽を獨参湯にてとき、口へ灌ぐべし、或は手足冷れば、参附湯灌与えべし、醒めて後も右の方を用い、醫の來(医者の来る)を待つべし <下巻91丁> | ||||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | ||||||
同類生薬 | 烏頭,天雄 | ||||||
参考文献 | JP18: 第18改正日本薬局方. CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 91-97. C2) 生薬学概論, pp 304-305. L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬 pp. 448-453. | ||||||
備考 | 『中華人民共和国薬典』では,附子は Aconitum carmichaeli の子根の加工品とされる.加圧・加熱処理した「加工附子」が各種製剤に用いられている.トリカブトアルカロイドは毒性が強く,減毒のための種々の調製法(修治法)があり,その違いにより「塩附子」,「炮附子」,「黒附片」,「白附片」などと呼ばれる. - 中国産塩附子 (Aconitum carmichaeliの子根): 塩水とにがり水の混液につけた半乾燥品. - 炮附子: 塩附子の外皮を剥ぎ2縦割して乾燥したもの. - 黒附片, 熟附片:にがり水に浸けた後縦切りにし,調色剤で染色,蒸してから乾燥したもの. - 白附片:黒附片に準ずるが,外皮をはぎ,最終工程で硫黄により白く薫蒸したもの. 日本産白河附子 (Aconitum japonicumの塊根): 塩水に浸したのち石灰をまぶして乾燥したもの. 修治法の違いにより、次の3種類のブシがある。 ブシ1:高圧蒸気処理により加工する。 ブシ2:食塩、岩塩又は塩化カルシウムの水溶液に浸せきした後、加熱又は高圧蒸気処理により加工する。 ブシ3:食塩の水溶液に浸せきした後、水酸化カルシウムを塗布することにより加工する。 | ||||||
更新日 | 2021/09/27 | ||||||