資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称明礬 [Zamcha (Sumuq)]
正式名称明礬,白礬
日本語読みみょうばん, Myōban; はくばん, Hakuban
現地読みBaifan
ラテン名Alumen (CP)
英語名Alum (CP), Aluminum Potassium Sulfate
原植物名Alunite, 明礬石
薬用部位分類鉱物性生薬
細分類鉱物
入手先情報中華人民共和国, 新疆維吾爾自治区乌魯木斉(ウルムチ), マリアサキム(新疆医学院)
入手年月日1995/08/16
蒐集者難波恒雄, 他
TMPW No16327

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
43.825592
87.616848
入手先情報
中華人民共和国,新疆維吾爾自治区乌魯木斉(ウルムチ)
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名白礬(明礬,ミョウバン水), Baifan, Alumen (CP2020), Alum (CP2020)
原植物名Alunite, 明礬石
薬用部位鉱物
選品色が白く,透明で,質が硬くてもろく,夾雑物のないものが良品とされる.
公定書薬典(2020
臨床応用止瀉,止血,解毒,去痰薬として内痔,脱肛などに応用.ミョウバンのアルミニウムイオンはたん白質と結合してこれを沈殿させるので,粘膜や皮膚の炎症に収斂剤としミョウバン水は口内炎,咽喉カタルなどに局所収斂の目的で含そう用.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類外用薬
薬効[性味] 酸、渋,寒.
[帰経] 肺、脾、肝、大腸経.
[効能] 外用解毒殺虫,燥湿止痒; 内服止血止瀉,去除風痰.
[主治] 湿疹,疥癬,脱肛,痔瘡,聘耳流膿に外用し、久瀉不止,便血,崩漏,癲癇発狂に内服する.
成分情報その他 Others
(*C1):
硫酸アルミニウムカリウム AlK(SO4)2・12H2O

薬理作用抗菌(黄色ブドウ球菌,プロテウス菌,大腸菌,緑膿菌,炭疽菌,赤痢菌,チフス菌,パラチフス菌,緑色連鎖球菌,溶血性連鎖球菌,肺炎球菌,ジフテリア菌等).
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症皮膚化膿症, 耳漏, 慢性下痢, 血便, 不正性器出血, 帯下, 意識障害, 中風, 癲癇, 黄疸, 外傷出血
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-1. 中風
: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある 
 └ 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 
【疾患注釈】痰壅不省: 痰が塞がっていて正気ではない状態 
【用法】生姜の絞り汁を白湯に入れかき混ぜて飲む 又は、それに白礬を加えて服用すると最も良い <上巻4丁>
【疾患注釈】開口噤擦齒: くいしめたる齒を揩って開く方法
【用法】白梅の肉を以て牙關(はのね)を揩(する)こと數遍すべし、白礬を加よく和(まぜ)て擦付(なすりつけ)てよし <上巻6丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-5. 痰厥
: 痰が胸につまり気を失う
【疾患注釈】此病は中気と同じ、惟(ただ)初に眩暈ありて、卒(にわか)に倒れ聲いでず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、齒をくいしめ、目を見つめ息あらし 
【用法】白礬に末となし生姜の自然汁(しぼりじる)にて調え服すべし <上巻26丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-11. 疔毒昏憒
: 疔の毒により気を失う
 └ 疔瘡: 疔瘡の状(かたち)初発(しょはつ)は僅に粟粒許(ばかり)の小瘡にして痛みなし、或は衣類其外何物にても物に触て、忽(たちまち)痛みを発するあり、或は惟微(ただすこし)痒を覺るに就(つき)て、抓破(かきやぶる)とひとしく、忽疼痛を発するあり、然しながら尋常(よのつね)の小瘡に比れば、四畔(ぐるり)の埃核(しこり)強し、紫色を帯、其邉(そのへん)麻(しび)れ、痛も常の小瘡と自異なり、其上悪寒、発熱、四肢沈重、心悸(むねわくつき)、頭疼(ずつう)、頭眩(めまい)等の証あり、此証種々の變態(へんたい)定りなし、疔の生する所も亦定なし、頭面耳鼻口目の邉并手足骨節の間、惣て肉薄き所生ずるものなり、急に理療せざれば、毒気内攻して死に至るなり 
【用法】明礬三匁、葱白七本搗爛七塊に分、一塊を服るごとに酒一杯にて送下し、衣類を厚く盖(おお)い、汗をとるべし、若出ざるは再葱白煎汁一鐘(ちょく)を服し、少頃して汗出ば、従容(そろそろ)と葢(き)たる衣類を減すべし <上巻52丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-14. 癲癇卒倒
: 癲癇の病にて俄に倒れる
【疾患注釈】今迄無事なるに似て、忽わっと聲を発して仆(たおるる)者多し、又聲なくして倒るる者あり、何れも目めをすえ、直視、或は上竄(めだまかみつり)て白沫を吐、手足搐搦(びくつき)、目ぶたびくつき、或は偏引(かたかたへひきつり)、揺頭(かしらうごき)、振身(みふるえ)、咬牙(きばをかむ)、或は息絶、脈も絶たるがごとく、口開身やわらかにして死人の如なる者あり、然れどもながきは一時又は半時、短は暫時にしてもとのごとし、醒(さめ)れば夢のごとし、是癲癇の証候なり 
【用法】白礬末となし壱匁、挽茶五分煎じたる茶にて服すべし <上巻72丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-2. 衂血
: 鼻の孔(あな)より血出るなり
 └ 撲堕落馬後衂血: うちみ落馬後衂血出る
【疾患注釈】瘀血(わるち)上に衝上(つきあげる)故なり 
【用法】明礬一塊、其侭(そのまま)嚼(かみ)て飲ますべし <中巻17丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-6. 急喉痺(きゅうこうひ)
: 突然咽喉部が腫れ塞がる
【疾患注釈】暴(にわか)に咽喉腫痛て閉塞、水漿(のみもの)通らず、言語(ものいうこと)ならず、或は牙關(はをくいつめ)、噤急(ひらかざる)、是なり、早く理療せざれは死す 
【用法】枯礬を末となし、鷄子清(たまごの白身)に調匂(よくまぜ)、喉中へ灌入て妙なり <中巻26丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 痰痛: 心腹(むねはら)痛て、腹の中漉々(からから)といえる聲(こえ)ありて手脚寒(ひえ)て痛、或は腰、膝、背、脇(わきばら)抽掣(ひきつり)て痛をなすは痰飲にて痛なり
【用法】礬石(みょうばん)を酢にて煎服す <中巻35丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-12. 懸壅垂長
: 突然口蓋垂腫れる
【疾患注釈】おおよそ人咽喉(のど)の前、上顎より垂れる肉あり、俗にひこと云、此ひこ暴(にわか)に腫垂長(はれたれなが)くなりて、咽喉に妨悶(さしさわり)をなす事あり、是懸壅垂長と云なり 懸壅とはひこのことなり
【用法】鍼にて破るべからず、大に害あり、枯礬(やきみょうばん)に塩少し許を入れ、碾(きしり)て末となし、筋頭(はしのさき)に紙を捲(まき)、薬をひたして、腫処(はれたるところ)に塗るべし <中巻39丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-21. 脱肛不収
: 脱肛出て入ざるなり
【用法】五倍子明礬等分湯にて煎じ洗、絹切又は芭蕉の葉、又は荷の葉(はすのは)にてそろそろ託入(おしいる)べし <中巻52丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
 └ 蛇咬: 常の蛇に咬(かまれ)たる
【用法】明礬火にて溶(とかし)、咬たる處(ところ)に流(ながし)かくべし、熱を忍れば立(たちどころ)に癒 <中巻78丁>
 └ 蟲咬(何の蟲知らず): 蟲(何の虫かわからない)に咬傷れる
【用法】腫痛(はれいたむ)は、汁(しょうがのしぼりじる)にて其處を洗い、後に明礬雄黄の末を貼(つけ)てよし <中巻80丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-11. 諸獣囓傷
: 獣に噛まれる
 └ 常犬咬: 常の犬に咬(かまれ)たる
【用法】白礬(みょうばん)を末となし、咬みたる処にふりかけて布にてつつむべし <中巻88丁>

4. 横死の類: 病死以外の死
└ 4-4. 溺死

【疾患注釈】水にはまりて死するなり
【用法】
白礬の末を鼻孔中に吹き入れ、熬鹽(いりしお)を臍中に擦り付け、猪牙皀莢末にして綿に包み、穀道の中へ納置、釜或は鍋の類を地上に覆置き、其上へ溺人を俯けに臥、溺人の臍と釜の臍とを相合わせて、脚の後(かかと)を少し高くし、手を以て溺人の頭を托ば、口中より自ずから水出て息吹き返すべし、もし口噤みて開かざるは、筋を横にふくませてよし、図と見合わせ見るべし <下巻10丁>
・ 水を吐盡(はきつく)して、老薑(ふるしょうが)を擦りて牙齒に塗り白礬(みょうばん)を末にして、管を以て鼻孔中へ吹き入るべきなり、白礬なきときは、醋を多く鼻孔に灌ぎ入てよし、甦(よみがえり)て後、臍中に二三百宋灸すべし <下巻11丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-4. 中魚介禽獣肉毒
: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる
 └ 中河魨毒: 河豚毒に中(あたり)たる 
【疾患注釈】凡河豚毒に中(あたり)たるは、辛熱(からくねつなる)香竄(におい)ある丹剤等を服すべからず 
【用法】白礬(みょうばん)末となし、水に調(まぜ)服すべし <下巻57丁>
 └ 中毒通療: ものにあたりおしなえて治す 
【用法】細茶白礬(みょうばん)等分末にして、新汲水(くみたてのみず)にて服す <下巻60丁>

7. 婦人産前急証: 妊婦の産前に関する急病
└ 7-2. 胎漏
: 産門からの出血
【疾患注釈】懐妊の婦人、卒(にわか)に産門より血下る事あり 若(もし)房事(ぼうじ)を犯て血下るを、真胎漏と名づく、總(すべ)て此証は腹痛なし、急に理(じ)せざれば胎を堕(おとす)に至べし、尿孔より血下るは、又別なり
【用法】生を搗きて汁を取一匁(生のものなくば、乾ものを)阿膠一匁、白礬五分、水一杯半入れ、一杯に煎じ服す <下巻64丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 第十四改正日本薬局方第二部, pp 2944-2945.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考0.3%ミョウバン水は口内炎,咽喉カタルなどに局所収斂の目的で含そう用に用いる.また,鼻咽頭の炎症には粉末の吸入か,あるいは0.5-1%溶液でうがいする.慢性肥厚性鼻炎で分泌液の多い癰には,2%明礬溶液で洗浄するか湿布する.
更新日2021/09/27