資料館生薬データベース
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産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png
学術情報データベース
一般生薬名 | 胡椒, Hujiao, Piperis Fructus (CP2020), Pepper Fruit (CP2020) | |||||
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生薬画像 |
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原植物名 | Piper nigrum Linn., コショウ | |||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Piperaceae, コショウ科 | |||||
薬用部位 | 未成熟果実 (黒),成熟果実 (白) | |||||
選品 | 新しく,大粒で,辛味の強いものが良品(TN). | |||||
公定書 | 薬典(2020) | |||||
臨床応用 | 発汗,駆風,健胃薬として,胃弱,消化不良,反胃吐食,下痢,腹痛などの症状に内服または臍上に膏薬として外用する.一般に薬用には白胡椒を用いる. | |||||
医学体系 | 中国医学 | |||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 温裏薬 | ||||
薬効 | [性味] 辛,熱. [帰経] 胃、大腸経. [効能] 温中散寒,下気,消痰. [主治] 胃寒嘔吐,腹痛泄瀉,食欲不振,癲痢痰多に用いる. | |||||
成分情報 | モノテルペノイド Monoterpenoids (*C1): l-alpha-Phellandrene, alpha-Pinene, beta-Pinene, d-Limonene, l-Limonene, Linalool (*C2): delta-3-Carene, Myrcene, Limonene, Sabinene セスキテルペノイド Sesquiterpenoids (*C1): beta-Caryophyllene (*C2): beta-Caryophyllene, Caryophyllene oxide, delta-Cadinene その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives (*C1): Piperine, Chavicine, Piperyline, Piperoleine A, Piperoleine B | |||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 胃腸蠕動促進.鎮静,抗炎症,抗マラリア(中程度)作用,GST誘導能(beta-Caryophyllene);抗癌,GST誘導能(Caryophyllene oxide) | |||||
DNA配列 | AB040153, AF275197, AF275198, M82466, M82467, M82468, M82469, M82470, M82471 | |||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます | |||||
適応症 | 消化不良, 胃腸虚弱, 嘔吐, 上腹痛, 食欲不振, 下痢 | |||||
方剤 | 民間薬とされる | |||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-1. 中風: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある └ 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒倒れて口ひらき、手撤(ひらき)、眼を合(ねむり)大便又は小便をもらし、鼻聲鼾(いびき)の如くなるは脱証にて虚候とす、別に療法あり、後條に載たり、実証にも目瞑(ねむり)、大小便をもらす者ありといえども、其口噤手を握るを以て実候とす、虚候は口も手もともに開く、是其証候おのずから同じからざる所なり、若視あやまつときは、療法も亦大に誤る心を用いて診すべし 【用法】卒然(にわかに)昏倒るれば、先扶(まずかいほう)して煖なる室(ところ)に入れて噴嚔(くさめ)を出す法を用ゆ可(べ)し 皀莢、細辛、天南星、半夏なきときは、胡椒の粉を吹入れてよし、急に胡椒もなくは、煙艸(たばこ)の粉吹入てもよし、尤(もっとも)薬末鼻の内へ吹入て直に頭髪を提(ひっさ)げてひき起すへし、其時嚔出るはよきしるしなり <上巻2丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-4. 中気: 気が塞がり倒れる 【疾患注釈】此証大抵中風の閉証と同じければ、前の中風の所と合せ見るべし、然ながら中風は身温也 中気は身冷(すず)し、脈も又中風は浮也、中気は沈也 大抵此証の起る前に心気を労し、又は大きに怒事あり、或は怒をこらえ又は思案することありて気の鬱(こり)し時に発する証なり、元皆七情の過極(すききわま)りたるより起る、世に中気中風を一つに心會(こころえ)たる人多し、初は大抵理法も似たる様なれども、後に至りては大に同じからず 【用法】先初に鼻に胡椒の末又は烟草(たばこ)の粉を吹込、嚏(くさめ)をさせ、後に酢を火盆(ひばち)の内へ傾け入れて、酢の気を病人に嗅せ、且隠白湧泉の次(あたり)に灸してよし、生姜の絞り汁を湯にて拌(かきまぜ)飲(のませ)てよし <上巻24丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-10.霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり 【用法】胡椒十四五粒嚼(かみ)て許取にて飲み下す、又は研(すり)て緑豆等分に加え煎じ服す <上巻36丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-16. 波也宇知加太(はやうちかた): 肩や背中の痛みがひどくなり意識混濁 【疾患注釈】平居無事にして、初は肩背微し痛悶(いたみ)を覺(おぼえ)後俄に肩張痛堅満(かたくみち)て、面色青惨(あおざめ)、唇黒、手足厥冷(ひえあがり)或は悶亂(もんらん)し、或はもくもくとだまりとして精神恍惚となる、速(すみやか)に救ざれば死す 【用法】胡椒の末温酒にて服す <上巻75丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-2. 衂血: 鼻の孔(あな)より血出るなり └ 酒後衂血: 飲酒後衂出て止ざる 【用法】胡椒の末少許温酒に入れ攪(かきまぜ)服すべし、此外前の傷酒吐血の薬用べし <中巻17丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-9. 心腹卒痛: 心腹(むねはら)突然痛くなる └ 寒痛: 綿々(だらだら)といつまでも斷間(たえま)なく痛み、胸すきて飢がごとく、按(おし)て快(こころよ)く、大便泄痢或は下重(いけみ)あるは寒痛なり、俗に冷蟲と言 此証最灸して良、中脘、天枢、気海、見許(みはから)い、灸すべし 【用法】胡椒十四五粒酒にて呑(うのみ)にすべし <中巻33丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-4. 趺撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬(うちうたれ、たかき所よりおち、おしたおされ、くじき、らくば) 【疾患注釈】靨打(おしうたれ)れて気絶したる 【用法】其人をして僧の坐禅するが如くに坐(すわ)らしめ、一人は其頭髪を将(もち)て控張(ひきはり)て、半夏の末を鼻孔の中に吹き入るべし、猪牙、皀莢の末、或は胡椒の末を吹きいるも亦よし、嚏(くさめ)をして活却(いきふくかえ)さば、生姜の絞汁に香油(ごまのあぶら)を拌匂(かきまぜ)て灌(のましむ)べし <中巻61丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-10. 諸蟲咬傷: 諸々の虫に刺される/咬まれる └ 蝮蛇囓傷: 蝮蛇に咬傷(かみやぶら)れる 【用法】千屈菜、桔梗葉右ニ品等分擂爛(すりくずし)、胡椒の末一撮(ひとつまみ)入れて傳てよし <中巻76丁> 5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類 └ 5-6. 蛇入人耳口鼻肛門亦婦人陰門: 蛇が人体の九窮に入る 【疾患注釈】蛇の窮(あな)に入たる 【用法】蛇の尾を執(とり)て、小刀にて其尾を縦に割傷(きずつけ)、烟草脂(たばこのやに)多く蛇尾の傷口へ納(いれ)、其うえを紙にても布にても裹(つつみ)て扎置(くくりおく)ときは、蛇自出ず、或は山椒又は胡椒嚼(かみ)くだきて納(いるる)もよし <下巻33丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-4. 中魚介禽獣肉毒: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる └ 中鼈毒: 鼈の毒に中(あたり)たる 【用法】胡椒を喫(くらい)てよし、或は煎じ服す <下巻58丁> | |||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | |||||
同類生薬 | Marica(アーユルヴェーダ),Na-le-sham(チベット医学) | |||||
参考文献 | CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 295-296. C2) J. Essent. Oil Res., 12, 603-608 (2000). L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬. | |||||
備考 | コショウの未成熟果実を乾燥したものを 「黒胡椒」 といい,成熟果実の外果皮を去って乾燥したものを 「白胡椒」 という.黒胡椒は成熟前の果実を穂ごと採集し,手でもんで果実を花穂から分け,熱湯に入れ表面が黒化したら引き上げて乾燥する.白胡椒は成熟した果実を袋に入れて流水中に一週間ほど浸し,果皮や果肉を洗い去って,残った種子を乾燥したものか,あるいは黒胡椒の果皮と果肉を去ったものをいう.コショウは南インドが原産地で,ヨーロッパへはB.C.400年頃,中国へは唐代の頃に渡来した.ヨーロッパの大航海時代の先鞭をつけた植物で,一時 (15世紀後半~16世紀)は金と同等の価値がもたれたことがあった. | |||||
更新日 | 2021/09/28 | |||||