資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称沈香
正式名称沈香
日本語読みじんこう, Jinkō
現地読みChenxiang
ラテン名Aquilariae Resinatum Lignum (Non-JPS), Aqnilariae Lignun Resinatum (CP)
英語名Agarwood (Non-JPS), Chinese Eaglewood Wood (CP)
原植物名Aquilaria sinensis (Lour.) Gilg, またはその他同属植物
原植物科名Thymelaeaceae, ジンチョウゲ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類
入手先情報中華人民共和国, 雲南省文山, 開化三七市場
入手年月日1998/03/17
蒐集者伏見裕利
TMPW No18227

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
23.400733
104.21624799999995
入手先情報
中華人民共和国,雲南省文山
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名沈香, Chenxiang, Aquilariae Resinatum Lignum (Non-JPS2022), Aquilariae Lignum Resinatum (CP2020), Agarwood (Non-JPS2022), Chinese Eaglewood Wood (CP2020)
生薬画像
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原植物名Aquilaria agallocha Roxburgh, Aquilaria crassna Pierre ex Lecomte, Aquilaria malaccensis Lamarck, Aquilaria sinensis Gilg or Aquilaria filaria Merrill
原植物画像
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原植物科名Thymelaeaceae, ジンチョウゲ科
薬用部位材(黒色の樹脂が沈着した部分)
選品堅固で黒かっ色,表面につやがあり水に沈み,燃え易い香りのよいものがよい (TN).
公定書局外(2022), 薬典(2020)
臨床応用鎮嘔,鎮咳,鎮静薬として,ヒステリー,気滞,嘔吐,喘息,心臓衰弱などに応用する.一般に高級線香や合せ香の香料として用いられる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類理気薬
薬効[性味] 辛、苦,微温.
[帰経] 脾、胃、腎経.
[効能] 行気止痛,温中止嘔,納気平喘.
[主治] 胸腹脹悶疼痛,胃寒嘔吐,しゃっくり,腎虚気逆喘急に用いる.
成分情報セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
(*C1):
Agarospiol, Agarol, Agarofurans
(*C2-7):
alpha-Agarofuran, (-)-10-Epi-gamma-eudesmol, Jinkoh-eremol, Kusunol, Jinkohol, JinkoholⅡ, Dihydrokaranone, Agarospirol, Oxo-agarospirol

フェニルプロパノイド Phenylpropanoids
(*C1):
Hydrocinnamic acid, p-Methoxyhydrocinnamic acid

gammaーピロン類 gamma-Pyrone derivatives
(*C1):
Agaroterol

その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives
(*C1):
Benzylacetone, p-Methoxybenzylacetone

成分 構造式




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薬理作用鎮痛,鎮静(精油成分).抗菌(煎液:ヒト型結核菌,チフス菌,赤痢菌).
DNA配列Y15149
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症胸脇が張って痛む, 胸が苦しい, 胸痛, 嘔吐, しゃっくり, 呼吸困難, 呼吸促迫, ヒステリー
方剤加減小柴胡湯, 沈香降気湯, 喘四君子湯, 大百中飲, 丁香柿蔕湯, 当帰養血湯, 補腎湯
同類生薬伽南香(伽羅)
参考文献Non-JPS2022: 日本薬局方外生薬規格2022.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1)和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp 181-184.
C2-7)生薬,40(3), 252, 259, 266, 271, 275(1986); 41(2), 142(1987).
C8)図説正倉院薬物, pp132-135, 147-148.
備考- 沈香の原植物には Aquilaria agallocha Roxb.(インド,マレーシア,ベトナム,カンボジア産)の他,A. malaccensis Lam.(マレーシア), A. baillonii Pierre(カンボジア), A. crasna Pierre(カンボジア,ベトナム),A. sinensis (Lour.) Gilg(中国)などが含まれる.日本はシンガポール及びベトナムからの輸入量が多い.セスキテルペノイド類の組成からJinkohol, Jinkohol IIを多く含むシンガポールI型(SI型)とそれらを含まない SII 型,Dihydrokaranone, Oxo-agarospirolを多く含み,Jinkohol, Jinkohol IIを含まないベトナム型(V型)に区別される (C2, C5).中国産沈香はV型に疑似し,特にOxo-agarospirolの含量が高い(C3).同類生薬の伽南香(伽楠香,奇楠香,伽羅とも称される)は沈香より品質が良いものとされてきた.これには沈香に含まれないクロモン類が含有される.またベンゼンエキス量 (C5),アセトンエキス量が沈香より高い (C7).
-『中華人民共和国薬典 2020』には中国に産する A. sinensisが収載され,「土沈香」,「海南沈香」などと称する.日本において沈香は大部分が薫香用として輸入される.
- 正倉院収蔵薬物の「沈香及び雑塵」,「全浅香 (紅塵)」及び「黄熟香 (蘭奢待)」はセスキテルペノイド類の組成及び1, 8-diethylchromone, phenyethylchromoneなどが検出されなかったことから,ベトナムなどインドシナ半島北部に産する沈香に近いことが判明している (C8). このように8世紀中頃に現在の市場品に近いものが渡来していた.
更新日2022/07/20