資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称ヒマ子
正式名称蓖麻子
日本語読みひまし, Himashi
現地読みBimazi
ラテン名Ricini Semen (CP)
英語名Castor Seed (CP)
原植物名Ricinus communis L., トウゴマ
原植物科名Euphorbiaceae, トウダイグサ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類種子
入手先情報日本, 大阪府, ㈱栃本天海堂
入手年月日1979/08/00
TMPW No2024

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名蓖麻子, Bimazi, Ricini Semen (CP2020), Castor Seed (CP2020)
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原植物名Ricinus communis Linn., トウゴマ
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原植物科名Euphorbiaceae, トウダイグサ科
薬用部位種子
選品新鮮な品がよい.酸敗しやすく,古いものは悪臭が強くなる(TN).
公定書薬典(2020)
臨床応用瀉下薬としてヒマシ油1回量20-30gを内服する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類瀉下薬
薬効[性味] 甘、辛,平;有毒.
[帰経] 大腸、肺経.
[効能] 瀉下通滞,消腫抜毒.
[主治] 大便燥結,癰疽腫毒,喉痺,瘰癧に用いる.
成分情報その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
(*C1):
Ricinoleic acid, 9,10-Dihydroxystearic acidのグリセライド / glycerides

アルカロイド Alkaloids
(*C1):
Ricinine

その他の含窒素化合物 Other nitrogen containing compounds
(*C1):
Globrin, Nucleoalbumin, Glucoprotein, Ricin, Lipase

成分 構造式

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薬理作用致死量(成人:毒性蛋白 ricin 7mg,毒性アルカロイド ricinine 0.16g.小児:なまのひ麻子5~6粒).
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症便秘, 食中毒
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-6. 急喉痺(きゅうこうひ)
: 突然咽喉部が腫れ塞がる
【疾患注釈】暴(にわか)に咽喉腫痛て閉塞、水漿(のみもの)通らず、言語(ものいうこと)ならず、或は牙關(はをくいつめ)、噤急(ひらかざる)、是なり、早く理療せざれは死す
【用法】蓖麻子の殻をつき碎き、殻を去て中の仁ばかりを取、研て末となし、紙に捲て筒のことくし、焼て烟(けむり)を病人鼻孔(びょうにんのはなのあな)より吸入しむべし <中巻26丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-17. 舌卒腫大
: 突然舌腫大になる
【疾患注釈】人舌卒に腫、大になりて口中に満(みつる)者あり
【用法】雄鶏の冠を刺て血を取り、紙撚(こより)に浸し、再び蓖麻子の油にひたし燃薫(もしふすぶ)べし <中巻45丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-18. 小便急閉
: 排尿困難、閉尿となり下腹が満ちる
【疾患注釈】小便俄に閉じて通ぜず、小腹堅満悶(しがはらかたくみちもだへ)亂者(さわぐもの)あり
【用法】小腹脹急(したはらはりつめ)、堪がたきは、蓖麻子三粒、殻を去、研(すり)、細かにし紙撚(こより)に右の末を塗りて、欸々(そろそろ)と陰莖の孔の内へ入べし、三四寸程も入て、またそろそろと出すべし、琥珀油を紙撚に付入、最よし <中巻47丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-11. 諸獣囓傷
: 獣に噛まれる
 └ 常犬咬: 常の犬に咬(かまれ)たる
【用法】蓖麻子五十粒、殻を去、水に研(すり)、膏(あぶら)のことくし、先に塩水にて咬たる處を洗、次に右の薬を敷貼(ぬりつけ)てよし <中巻87丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-7. 諸物入肉
: 棘が刺さる
 └ 物縫鍼刺: 物縫鍼にかぎらず鍼を刺(たて)てぬけざる
【用法】蓖麻子殻を去、壹箇(ひとつ)研(すり)つぶし、先ず帛(ぬのぎれ)を以て傷處に襯(しき)て其上へ傳、頻(ひたもの)看(み)て、若し刺鍼(たちたるはり)の頭少しも出ば、即に抜きとるべし <下巻33丁>

7. 婦人産前急証: 妊婦の産前に関する急病
└ 7-3. 子間
: 妊婦意識不明となる
【疾患注釈】妊娠の婦人、卒に項背(えりせなか)共に強直(こわりすくみ)て、筋脈(すじ)攣急(ひきつめ)、口噤て、痰盛にして、昏迷(きとおく)、或は手足びくびくし角弓反張(ゆみのごとくそりかえり)、心下気上衝(むなさきさしこみつよく)、舌を長く出し、人事をしらず、暫くして程、復作(またおこる)を子癇と云、此症救がたし、若口より糞汁出るものあり、必死す
【用法】【貼薬法】蓖麻子皮を去、研碎(すりくだき)て、糊におしまぜ、紙にのべて、足の心湧泉の穴に貼べし、紙は径一寸四方許(ばかり)圓剪(まるくきり)てよし <下巻67丁>

8. 臨産急証: 出産に関する急病
└ 8-1. 難産

 └ 盤腸産: 臨産先子腸(さんせんとしてまずはらわた)出で後、其腸収(おさまら)ず 
【用法】蓖麻子十四枚、殻を去り、仁ばかり研て膏のことくし、産母の頭頂中へ貼べし、腸収まらば急(はやく)拭去(ぬぐいとる)べし <下巻73丁>
広恵済急方の植物画像

   (原文)

   (訳文)
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関連情報新訂和漢薬
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 301-302.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 384, 385, 532.
L3) 新訂 和漢薬.
備考第14改正日本薬局方にはヒマシ油が収載されていた.種子からの採油法として,まず油滓を遠心分離後,活性白土による脱色を行う.次いで高温下(200-220℃),高真空で水蒸気蒸留を行い,脱酸・脱臭する方法が一般的である.種子の含油率はほぼ40-55%である.
副作用として,悪心・嘔吐,腹痛などがある.また多量内服で下痢,消化産物の吸収不良,腸管上皮細胞損傷を引き起こす.現在では薬用とするより,工業用として印刷インキ,化粧用ポマード,印肉油,飛行機用減摩油などに多量消費される.
更新日2022/10/25