資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称オウバク
正式名称黄柏
日本語読みおうばく, Ōbaku
現地読みŌbaku
ラテン名Phellodendri Cortex (JP)
英語名Phellodendron Bark (JP),
原植物名Phellodendron amurense Ruprecht, キハダ
原植物科名Rutaceae, ミカン科
薬用部位分類植物性生薬
細分類樹皮
産地情報日本
入手先情報日本, 大阪府, ㈱栃本天海堂
入手年月日2007/5/15
蒐集者小松かつ子
TMPW No25385

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
日本
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名黄柏, Huangbo,Phellodendri Cortex (JP18), 関黄柏: Phellodendri Amurensis Cortex, 川黄柏: Phellodendri Chinensis Cortex (CP2020), Phellodendron Bark (JP18), 関黄柏: Amur Cork-tree, 川黄柏: Chinese Cork-tree (CP2020)
生薬異名関黄柏, 川黄柏
生薬画像
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原植物名Phellodendron amurense Ruprecht (incl. its variety)1 or Phellodendron chinense Schneider2, 日本産: キハダ等1,中国産: キハダ1,シナキハダ2
原植物画像
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原植物科名Rutaceae, ミカン科
薬用部位樹皮(周皮を除く)
選品皮が厚く,鮮やかな山吹色で,苦味の強いものが良品.粉末では水で練るとすぐに粘性を出すものが良い(TN)
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用苦味健胃,整腸,消炎性収斂薬として,胃腸炎,腹痛,黄疸,下痢などに応用する.また消炎薬として,打撲症などに外用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類清熱燥湿薬
薬効[性味] 苦,寒.
[帰経] 腎、膀胱経.
[効能] 清熱燥湿,瀉火除蒸,解毒療瘡.
[主治] 湿熱瀉痢,黄疸血尿,帯下陰痒,熱淋渋痛,脚气痿躄,骨蒸労熱,盗汗,遺精,瘡瘍腫毒,湿疹掻痒に用いる.
成分情報トリテルペン系サポニン Triterpenoid saponins
(*C1):
Obakunone, Obakulactone(= Limonin)

ステロール Sterols
(*C1):
beta-Sitosterol, Campesterol, 7-Dehydrostigmasterol 及びその/and the linolate, palmitate

フラボンとフラボノール Flavones & Flavonols
葉/leaf (*C1):
Amurensin, Phellamurin

イソキノリンアルカロイド Isoquinoline alkaloids
(*C1):
Berberine, Palmatine, Magnoflorine, Jateorrhizine, Phellodendrine, Candicine, Menisperine

その他 Others
(*C1):
Guanidine

成分 構造式






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薬理作用抗菌作用(黄柏末,berberin:黄色ブドウ球菌,肺炎菌など).抗炎症作用(メタノールエキス).
DNA配列AF066804, AF025523; ; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症胃腸炎, 腹痛, 黄疸, 下痢, 血便, 帯下, 排尿痛, 尿の混濁, 下肢の腫脹・疼痛, 盗汗, 皮膚化膿症, 掻痒
方剤痿証方, 温清飲, 益元湯, 黄解散, 黄連解毒湯[外台], 黄連解毒湯[回春], 黄連消毒飲, 加味四物湯, 加味八脉散, 荊芥連翹湯[一貫堂], 柴胡清肝散, 滋陰降火湯, 梔子豉湯, 滋腎通耳湯, 七物降下湯, 除湿補気湯, 秦艽防風湯, 腎疸湯, 清湿湯, 清暑益気湯, 清中安蛔湯, 清熱補血湯, 当帰六黄湯, 白頭翁湯, 白頭翁加甘草阿膠湯, 半夏白朮天麻湯, 補陰湯, 龍胆瀉肝湯 [一貫堂], ハップ用複方オウバク散, オウバク・タンナルビン・ビスマス散
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

<黄柏>
3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-1. 金瘡
: 刀や脇差等による切り傷の類
 └ 鳥銃子人肉中打込: 鳥銃子(てっぽうだま)人の肉の中へ打込たる
【用法】食蓼穂、研り末にして、苦参黄栢の末を和(まぜ)頻(ひたもの)貼てよし <中巻57丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-11. 諸獣囓傷
: 獣に噛まれる
 └鼠咬: 鼠に咬(かまれ)たる
【用法】牡蠣石灰黄栢の末三味等分にして、はこべらの汁によくよく和(まぜ)て塗るべし <中巻86丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-1. 中諸薬毒
: 諸薬の毒にあたる
 └ 中巴豆毒: 巴豆の毒に中(あたり)たるなり
【用法】黄連黄栢を等分に煎じ、冷やして服す、熱湯熱飯一切の熱物を服食すべからず <下巻40丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-8. 走馬牙疳
: 歯茎がただれ、歯が落ちる
【疾患注釈】齒齦(はぐき)損爛(くずれただれ)、或は腫紫黒色(くろむらさきいろ)に成、齒縫(はのはえぎわ)より鮮血出、口内臭気あり、毒深(つよき)は臭気も亦つよし 身に熱あり、甚しきは齒落、唇鼻顋(えら)頬までも攻蝕(かけとれ)て脱去(おちる)に至る、遅ときは死に至る 
おおよそ疱瘡麻疹(ほうそうはしか)、或は熱病時毒等患いたる後、息臭、口中臭気あるは、其毒消鮮せさるなれば早く良醫(よきいしゃ)を迎(よび)て療理を請べし、延握(のびのびに)すれば此病となる、可恐(おそるべし) 
【用法】麝香黄檗青黛雄黄、末となし、ふりかけるべし、若し患處(あしきところ)、既蝕損死肌(もはやかけくされ、しにく)有、綿を筋様の物の端へ纏、薬をひたして、蝕損(かけ)たる死肉へ擦却(すりつけ)て、且軟帛(やわらかいわた)にて悪血を拭去りて、右の薬をふりかけるべし、此薬を用て効(しるし)なきは、定粉(女子の用いる「おしろい」なり、薬店にては「唐土(とうのつち)」と云う)半両を加え、同じく研りて用ゆべし、用様は前の方と同じ <下巻94丁>

<黄柏子>
2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 実熱吐血: 吐血口渇て水を飲事好み、或は咽痛、燥煩(もがきさわぎ)、大便かたく、或は閉て通ぜず、小便の色赤くして熱く、或は頭痛する者は実熱吐血とするなり
【用法】黄栢子一両水に煎じ服す <中巻5丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp 147-150.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考 日本産黄柏の原植物であるキハダの変種にはヒロハノキハダ Phellodendron amurense Rupr. var. sachalinense Fr. Schm.,オオバノキハダ,ケキハダ P. amurense Rupr. var. japonicum (Maxim.) Ohwi,ミヤマキハダ P. amurense Rupr. var. lavallei (Dode) Sprague がある.
 黄柏は奈良県の「陀羅尼助」や長野県の「百草」などの家庭薬原料としても使用され,またベルベリン製造原料としての用途も多い.日本では新潟,長野,奈良,熊本県などで栽培され,梅雨明けごろに樹皮を剥いで調製される.日本産の黄柏は,全体の使用量の20%ほどで,その他は中国から輸入される.中国では P. chinense の樹皮を「川黄柏」,P. amurense の樹皮を「関黄柏」と称する.
 一般にアルカロイド含量は南方のものほど高い.漢方では,下半身の湿熱を清する生薬とされる.
更新日2022/11/10