資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称冰片
正式名称樟脳
日本語読みしょうのう, Shōnō
現地読みBingpian
ラテン名Camphora
英語名Cassia Bark Oil
原植物名Cinnamomum camphora Presl, クスノキ
原植物科名Lauraceae, クスノキ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類油脂
入手先情報香港, 隆泰貿易行
入手年月日1972/00/00
TMPW No2848

学術情報データベース

一般生薬名樟脳, Zhangnao, Camphora, Cassia Bark Oil, Camphor
生薬画像
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原植物名Cinnamomum camphora Presl = Cinnamomum camphora (L.) Sieb., クスノキ
原植物科名Lauraceae, クスノキ科
薬用部位油脂
公定書薬典(2020)
臨床応用吸収が悪く胃を刺激するので,現在では内服することは殆どない.注射液の形で,呼吸中枢,血管中枢及び心臓の興奮に用いることがあり,外用薬として神経痛,打撲症,しもやけ,皮膚病に湿布,また嗽薬,浣腸,吸入薬にも配合される.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類外用薬
薬効[性味] 辛、苦,涼.
[帰経] 心、脾、肺経.
[効能] 開竅醒神,清熱止痛.
[主治] 熱病神昏、驚厥,中風痰厥,気郁暴厥,中悪昏迷,胸痺心痛,目赤,口瘡,咽喉腫痛,耳道流膿に用いる.
成分情報モノテルペノイド Monoterpenoids
C. camphora (*C1):
d-Camphor, alpha-Pinene, Camphene, Phellandrene, 1,8-Cineole (以上材,葉/ wood, leaf)

フェニルプロパノイド Phenylpropanoids
C. camphora (*C1):
Safrole, Eugenol (以上材,葉/ wood, leaf)

成分 構造式

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薬理作用d-camphor は局所刺激作用と防腐作用があり,副作用は少ない.古い中枢興奮薬で,中枢神経系全般に興奮を起こさせ,延髄の呼吸中枢,血管運動中枢を興奮させて呼吸量増大,血管を収縮させて血圧を上昇さす.心臓に対しては直接にはかえって抑制作用を示すが,中枢性心臓興奮作用が認められるという報告もある.大量投与では精神興奮状態を呈し,運動中枢刺激により癲癇様痙攣を起こす.また解熱作用を呈することもある.生体内酸化物である trans-π-oxocamphor は,心拍動を旺盛にし,また延髄に作用して呼吸を促進し,血管を収縮させる.そのグルクロン酸抱合体はほとんど作用しない.alpha-camphor が強心作用を呈するためには生内における酸化が充分でなければならない.
DNA配列AF197797, AF206888, AF272260, AJ247154, L12641
適応症神経痛, 打撲, しもやけ, 皮膚掻痒症
方剤複方サリチル酸メチル精, 六神丸
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
蛟豹脚刺: 蚊は夜出て人を刺す、豹脚(やぶか)はひる出脚斑なり
【用法】刀豆の葉揉て、其處に貼べし、又樟脳焔硝香油(ごまのあぶら)に和(まぜ)て傷所に塗べし、又熱湯に浸(ひたす)べし、痛痒(いたみかゆみ)即止 <中巻79丁>
蚋螫: 蚋(ぶと)にさされたるなり 
【用法】痛痒忍(こらえ)がたきは手にてかけば、皮肉破てあしし、塩を上に布(しき)て物に包み置べし、即癒、又螫(さし)たる時直に熱湯に洗ば、立(たちどころに)癒 龍脳樟脳能(よく)此毒を解す、何によらず此物の入たる煉(ねり)薬類又は目薬様の物を塗てよし <中巻80丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-7. 諸物入肉
: 棘が刺さる
海鷂魚尾刺(えい おにはりあり): (注釈参照)
【疾患注釈】此刺(このはり)甚するどし、若(もし)人誤觸(ふれ)て肉を傷(やぶら)ば、大(おおき)に腫、痛忍べからず、甚は死に至る、恐るべし 
【用法】若し此毒を被(こうむら)ば、樟脳又はの枝齒共に焚(ひにたいて)薫(いぶし)てよし <下巻36丁>
広恵済急方の植物画像

   (原文)

   (訳文)
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関連情報新訂和漢薬
参考文献C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. Ⅱ, pp 226-228.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 647, 784.
L3) 新訂 和漢薬.
備考クスノキ Cinnamomum camphora Presl の材や枝を細片とし,水蒸気蒸留すると,カンフル油が留出する.この留出物の約40%が結晶カンフルで,冷却すると粗製樟脳 (山製樟脳) が析出する.粗製樟脳を分離した60%の油分を樟脳油という.この樟脳油の原油中にはなお約50%のカンフルが溶解しているので,これを減圧分留してカンフルを分離する.この際沸点の順序に従って白油 (white oil, bp200゜以下), 赤油(brown oil, bp200~270゜), 藍油 (blue oil, bp270゜以上) に分けられる.こうして得たカンフルを再製樟脳という.粗製および再製樟脳を昇華精製して,第1次精製樟脳(改正樟脳)とし (これは主としてセルロイド製造に用いる), 更にこれを昇華精製して,高純度の板状あるいは粉末状の精製樟脳とする.「冰片」とも称する.天然樟脳は d-camphor であり,合成樟脳は dl-camphor である.なお l-comphor はキク科/Compositae の Blumea balsamifera DC., Artemisia tridentata Nutt. などに60~70%含まれている.d-comphor は C. camphora の変種であるクスノキダマシ C. camphora Presl var. nominale Hayata (烏樟, 臭樟, 花樟) や ホウショウ (芳樟) C. camphora Presl var. nominale Hayata subvar. hosyo Hatusima = C. camphora Sieb. var. glaucescens Al. Br. にも含まれ,抽出原料とされる.ただし ホウショウ (芳樟) の主成分は linalool である.
更新日2023/03/02