資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称ゴシュユ [NIB-494]
正式名称呉茱萸
日本語読みごしゅゆ, Goshuyu
現地読みWuzhuyu
ラテン名Euodiae Fructus (JP), (CP)
英語名Euodia Fruit (JP), Medicinal Euodia Fruit (CP)
原植物名Euodia (Evodia) sp.
原植物科名Rutaceae, ミカン科
薬用部位分類植物性生薬
細分類果実
産地情報中華人民共和国, 広西壮族自治区
入手先情報日本, 茨城県, 国立研究開発法人医薬基盤健康栄養研究所
入手年月日2012/5/30
蒐集者小松かつ子
備考【厚生労働科学研究検討用試料】[NIB-494] 生, Lot No.44-4077, 入手年: 2010, 中花, 送付日: 2012/05/30
TMPW No29324

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
22.817002
108.36654299999998
産地情報
中華人民共和国,広西壮族自治区
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
36.3418112
140.4467935
入手先情報
日本,茨城県
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名呉茱萸, Wuzhuyu, Euodiae Fructus (JP18, CP2020), Euodia Fruit (JP17), Medicinal Euodia Fruit (CP2015)
生薬画像
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原植物名Euodia officinalis Dode (Evodia officinalis Dode), Euodia bodinieri Dode (Evodia bodinieri Dode) or Euodia ruticarpa Hooker filius et Thomson1 (Evodia rutaecarpa Bentham) , ゴシュユ1
原植物画像
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原植物科名Rutaceae, ミカン科
薬用部位果実
選品黒色で辛味及び苦味の強いものが良品(TN).
公定書日局17,薬典(2015)
臨床応用温性の健胃,鎮痛,鎮嘔,利尿薬として,水毒の上衝による頭痛,嘔吐,胸満,虚寒による腹痛,冷え症,しもやけに応用する.また殺虫剤,浴湯料とする.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類温裏薬
薬効[性味] 辛、苦,熱;有小毒.
[帰経] 肝、脾、胃、腎経.
[効能] 散寒止痛,降逆止嘔,助陽止瀉.
[主治] 厥陰頭痛,寒疝腹痛,寒湿脚気,経行腹痛,胃腹脹痛,嘔吐呑酸,五更泄瀉に用いる.
成分情報その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
(*C1):
Goshuyic acid

モノテルペノイド Monoterpenoids
(*C1):
Ocimene

トリテルペノイド Triterpenoids
(*C1):
Limonin (= Evodin), Rutaevin, Evodol

フラバノンとジヒドロフラボノール Flavanones & Dihydroflavonols
E. rutaecarpa (*C2,C3):
Evodioside B(葉/leaves)

アルカロイド Alkaloids
(*C1):
Evodiamine, Rutaecarpine, Hydroxyevodiamine (= Rhetsinine), Evocarpine, N,N-Dimethyl-5-methoxytryptamine, N-Methylanthranylamide, Synephrine, Higenamine

プリン誘導体 Purine derivatives
(*C1):
Cyclic GMP

その他 Others
E. rutaecarpa (*C2,C3):
6alpha-Acetoxy-5-epilimonin, 6beta-Acetoxy-5-epilimonin

成分 構造式




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薬理作用血圧上昇,呼吸促進,血流促進(アルコール抽出画分).鎮痛,体温上昇(evodiamine, rutaecarpine).陣痛促進,止血,中枢興奮(beta-indolethyl-amine).幻覚(N,N-dimethyl-5-methoxytryptamine).アドレナリン様作用,強心作用(synephrine, hygenamine).
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症頭痛, 悪心, 嘔吐, 上腹痛, 四肢の冷え, 下腹痛, 月経痛, 月経周期延長, 腹満, 下痢, 冷え症, しもやけ, 口内炎
方剤温経湯, 延年半夏湯, 鶏鳴散 [時方歌括], 鶏鳴散加茯苓, 呉茱萸湯, 参連湯, 治頭痛一方, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 唐侍中一方, 変製心気飲, 奔豚湯 [深師], 奔豚湯 [肘後方]
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
 1-2. 脱陽
:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる
卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也
【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ
【用法】吐瀉の後 脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後芪附湯の類を用ゆべし、且気海天樞中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつ)み、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を刻、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海陰交の次(あたり)を是又絶えず熨べし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし <上巻17丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10. 霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
 └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり
【用法】呉茱萸乾姜二味等分に煎じ服さしむ <上巻36丁>
  └ 嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざる
  【用法】半夏一味煎じ生姜の絞り汁入服す、呉茱萸乾姜の二味もよし、且(そのうえ)中脘に灸すべし 間使の穴(かんしのあな)に灸するもよろし <上巻37丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-12. 脚気衝心
: 脚気の毒が脚より腹に入り胸元へ衝き上げる状態
【疾患注釈】凡(おおよそ)此証最初に脚膝弱、或は頑麻(しびれ)、或はだるく痛、或は轉筋抅急(すじひきつめ)、或は踵跟(きびす)足心(あしのうら)等隠隠(どこともなく)痛、或は脛脚(はぎすね)に肘腫(むくみ)ある等の証ありて、或は小腹(したばら)麻痺(しびれ)、卒(にわか)に嘔吐を発し上衝(つきあげ)強く、肩にて息をなし、喘息して白汗出、乍(たちまち)寒乍熱、煩悶(くるしみもがき)やまず、或は精神漸々に恍惚となり、或は譫語(たわごと)を発し、遂に無性となる、是脚気の衝心にて九死一生なり、急に理法を施すべし 又其初憎寒(さむけ)壮(つよく)、熱いで全く傷寒のごとくなる有見誤るべからず 衝心の節に至りて、病発に右の如く脚に疾(やまい)ある事を知ざれば、理療に違ひあり、病人も心付ず別の事と思ひ、告語(つげいた)らず、事を誤ることあり よくよく心を用て問べし
【用法】呉茱萸一匁、木瓜一匁(唐木瓜を用ゆべし)水にて煎じ服すべし、犀角屑五六分呉茱萸木瓜の煎薬の内へ入、攪(かきまぜ)飲最よし <上巻61丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-13. 積気暈倒
: 胸腹の激痛により目をまわす
疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり
【用法】呉茱萸の末を温酒にて服す <上巻69丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
寒痛: 綿々(だらだら)といつまでも斷間(たえま)なく痛み、胸すきて飢がごとく、按(おし)て快(こころよ)く、大便泄痢或は下重(いけみ)あるは寒痛なり、俗に冷蟲と言 
此証最灸して良、中脘、天枢、気海、見許(みはから)い、灸すべし 
【用法】呉茱萸一味煎じ服す <中巻34丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-4. 諸物哽咽
: 諸物咽に引っかかる
魚骨入腹刺痛: 魚の骨腹に入りしくしくと痛む
【用法】呉茱萸煎じ服すれば、其骨やわらかになりて出、若出ざれば再三服す <下巻28丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献(JP18): 第18改正日本薬局方.
(CP2020): 中華人民共和国薬典 (2020年版).
B1) Nat. Med.,53,275(1999).
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 233-234.
C2) Chem.Pharm.Bull.,36,1237(1988).
C3) Chem.Pharm.Bull.,41,1472(1993).
C4) Nat. Med.,52,322(1998).
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考日本ではゴシュユとホンゴシュユの未熟な果実が良品とされる.
一方,『中華人民共和国薬典』ではこれら2種に Euoodia rutaecarpa (Juss.) Benth. var. bodinieri (Dode) Huang を加えた3種の成熟に近い果実が基源として規定される.3種の未熟果実は花柱の長さと太さ及び毛の有無,果実の大きさで区別可能であるとされる(B1).また,この3種の果実は成分面でも異なる(C4).
植物学的には Evodia属ではなく Euodia属が正しい.また,ゴシュユは Euodia rutaecarpa (Juss.) Benth., ホンゴシュユは E. rutaecarpa (Juss.) Benth. var. officinalis (Dode) Huang. とされる.
更新日2023/11/16