資料館生薬データベース
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26.647661
106.63015300000006
産地情報
中華人民共和国,貴州省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
36.3418112
140.4467935
入手先情報
日本,茨城県
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png
学術情報データベース
一般生薬名 | 半夏, Banxia, Pinelliae Tuber (JP18), Pinelliae Rhizoma (CP2020), Pinellia Tuber (JP18, CP2020) | |||||
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生薬異名 | 珍珠半夏 | |||||
生薬画像 |
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原植物名 | Pinellia ternata Breitenbach, カラスビシャク | |||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Araceae, サトイモ科 | |||||
薬用部位 | 塊茎(外皮を除去したもの). | |||||
選品 | 粒が大きく揃っていて,白色のものが良品.帯赤色や帯黒色のもの,また質が硬くなったものは劣品(TN). | |||||
公定書 | 日局18,薬典(2020) | |||||
臨床応用 | 鎮嘔,鎮吐,鎮静,去痰薬として,胃内停水があって,その上逆による悪心,嘔吐,咳嗽,心悸,目眩,頭痛,急性胃カタル,咽喉腫痛,妊娠悪阻,不眠症などに応用する. | |||||
医学体系 | 中国医学 | |||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 化痰薬 | ||||
薬効 | [性味] 辛、温;有毒. [帰経] 脾、胃、肺経. [効能] 燥湿化痰,降逆止嘔,消痞散結. [主治] 湿痰寒痰,咳喘痰多,痰飲眩悸,風痰眩暈,痰厥頭痛,嘔吐反胃,胸脘痞悶,梅核気症に応用し,癰腫痰核に外用する. | |||||
成分情報 | 脂質 Lipids セロブロシド [Cerebroside](1-O-glucosyl-N-2'-acetoxy palmytoyl-4,8-sphingodienineを主とする脂質) その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds (*C1): 粘液物質 [mucilaginous substance], Ca-oxalate 単糖類 Monosaccharides (*C1): D-Glucose, Glucuronic acid, L-Rhamnose 多糖類 Polysaccharides (*C1): デンプン [starch], 高分子多糖 [macromolecular polysaccharide] トリテルペノイド Triterpenoids (*C1): Triterpenoid ステロール Sterols (*C1): beta-Sitosterol, beta-Sitosteryl glucoside その他の芳香族化合物 Other aromatic compounds (*C1,C2): Homogentisic acid, Homogentisic acid glucoside, 3,4-Dihydroxybenzaldehyde, 3,4-Dihydroxybenzaldehyde diglucoside アミノ酸 Amino acids (*C1,C2): Arginine, Aspartic acid, Glutamic acid, Serine, Glycine アルカロイド Alkaloids (*C1,C2): l-Ephedrine (微量 [a tiny amount]) その他の含窒素化合物 Other nitrogen compounds (*C1): Choline その他 Others (*C1): 無機質 [mineral] | |||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 制吐(煎液).唾液分泌(煎液:初期に増加,後期に減少).鎮咳(煎液).胃潰瘍抑制(水エキス).抗炎症(水エキス).抗アレルギー. | |||||
DNA配列 | 伝統医薬データベース. | |||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます | |||||
適応症 | 咳嗽, 多痰, 悪心, 嘔吐, 胸が苦しい, めまい, 動悸, 不眠, 頭痛, 胃カタル, 急性胃炎, 妊娠悪阻 | |||||
方剤 | 温経湯, 温胆湯, 越婢加半夏湯, 延年半夏湯, 黄耆別甲湯, 黄芩加半夏生姜湯, 黄連湯, 解急蜀椒湯, 加減小柴胡湯, 化食養脾湯, 藿香正気散, 葛根加半夏湯, 夏檳湯, 加味温胆湯, 加味小陥胸湯, 加味八仙湯, 栝楼湯, 乾姜人参半夏丸, 甘遂半夏湯, 甘草瀉心湯, 寛中湯, 橘皮半夏湯, 九味柴胡湯, 九味半夏湯, 香砂六君子湯, 蒿枕無憂散, 厚朴生姜半夏甘草人参湯, 厚朴麻黄湯, 五積散, 柴葛解肌湯, 柴陥湯, 柴胡加芒硝湯, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 柴胡桂枝湯, 柴胡四物湯, 柴芍六君子湯, 柴朴湯, 柴苓湯, 紫蘇子湯, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 順気和中湯, 小陥胸湯, 生姜瀉心湯, 小柴胡湯, 小柴胡湯加黄連茯苓, 小柴胡湯加桔梗石膏, 小柴胡合半夏厚朴湯, 小青竜湯, 小青竜加石膏湯, 小青竜合麻杏甘石湯, 椒梅瀉心湯, 小半夏湯, 小半夏加茯苓湯, 消痞湯, 舒筋立安散, 腎炎一方, 参蘇飲, 清湿化痰湯, 千婚湯, 旋覆花代赭石湯, 蘇子降気湯, 大柴胡湯, 大半夏湯, 断痢湯, 竹茹温胆湯, 竹葉石膏湯, 治頭痛一方, 知母茯苓湯, 中正湯, 丁香柿蔕湯, 丁香茯苓湯, 釣藤散, 定喘湯, 当帰湯, 当帰白朮散, 当帰白朮湯, 二朮湯, 二陳湯, 肺疳方, 麦門冬湯, 半夏散料, 半夏乾姜散, 半夏湯, 半夏厚朴湯, 半夏厚朴七物湯, 半夏瀉心湯, 半夏白朮天麻湯, 附子粳米湯, 分心気飲, 変製心気飲, 奔豚湯 [金], 奔豚湯 [広済], 奔豚湯 [集験方], 奔豚湯 [肘後方], 奔豚茯苓湯, 射干麻黄湯, 抑肝散加陳皮半夏湯 [浅井南溟], 抑肝散加陳皮半夏湯 [本朝経験], 利膈湯, 六君子湯, 苓甘姜味辛夏湯, 苓甘姜味辛夏仁湯, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, 良枳湯, 六鬱湯, 六物黄芩湯, 不換金正気散料 | |||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-1. 中風: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒倒れて口ひらき、手撤(ひらき)、眼を合(ねむり)大便又は小便をもらし、鼻聲鼾(いびき)の如くなるは脱証にて虚候とす、別に療法あり、後條に載たり、実証にも目瞑(ねむり)、大小便をもらす者ありといえども、其口噤手を握るを以て実候とす、虚候は口も手もともに開く、是其証候おのずから同じからざる所なり、若視あやまつときは、療法も亦大に誤る心を用いて診すべし 【用法】暖かい場所で介抱する 天南星、半夏を等分の粉末とし、鼻の穴に吹き入れて嚏(くさめ)をださせる <上巻2丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-2. 脱陽:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる 卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也 【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ 【用法】吐瀉の後 脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後参附湯、又汗おおきは芪附湯の類を用ゆべし、かつ気海天樞中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつみ)、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を刻、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海陰交の次(あたり)を是又絶えずのすべし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし <上巻17丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-5. 痰厥: 痰が胸につまり気を失う 【疾患注釈】此病は中気と同じ、惟(ただ)初に眩暈ありて、卒(にわか)に倒れ聲出ず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、齒をくいしめ、目を見つめ息麁(あら)し 【用法】 ・ 半夏茯苓等分煎じ服す <上巻26丁> ・ 大なる半夏十四粒皀莢一條(すじ)刻て水二鐘(はい)入て一鐘(はい)に煎じ生姜汁を入温め服すべし <上巻26丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-9. 恐怖卒死: 物に驚いて目を回す 凡人夕暮れ又は夜中厠にいき、或は郊野へ出て、或は空冷屋室に遊び、又はしらざる所の地に行き、ふと異形のものを見て口鼻の内へ邪悪の気を吸い入れ、たちまち地に倒れ、手脚冷え上がり、両手を握り、面の色青黒く、或は口鼻より清血を流すことあり 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒(にわか)に倒れて無性に成し病人は、聲を立ることなき者なり、惟小児の驚風並に大人の癲癇驚怖(てんかんものおどろき)して気絶するとの三証は、叫聲(わっとこえ)をあぐる也 是を其証拠(しょうことす) 【用法】病人を外へ移し動かすべからず、其所に置て親戚衆人圍繞(しんるいおおぜいうちより)て火を焚き、安息香麝香の類香ある薬を焼き、人の覺(おぼえ)少々出るを待てうごかすべし 先急に半夏の末を鼻孔中(はなのあなのうち)へ管にて吹込或は皀莢の末両鼻中に吹入るよし <上巻34丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-10.霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり └ 嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざる 【用法】 ・ 半夏一味煎じ生姜の絞り汁入服す、呉茱萸乾姜の二味もよし、且(そのうえ)中脘に灸すべし 間使の穴(かんしのあな)に灸するもよろし <上巻37丁> ・ 手足冷るは生半夏一匁、生附子一匁、生姜三片、水二杯を一杯半に煎じ用ゆ <上巻37丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-12. 脚気衝心: 脚気の毒が脚より腹に入り胸元へ衝き上げる状態 【疾患注釈】凡(おおよそ)此証最初に脚膝弱、或は頑麻(しびれ)、或はだるく痛、或は轉筋抅急(すじひきつめ)、或は踵跟(きびす)足心(あしのうら)等隠隠(どこともなく)痛、或は脛脚(はぎすね)に肘腫(むくみ)ある等の証ありて、或は小腹(したばら)麻痺(しびれ)、卒(にわか)に嘔吐を発し上衝(つきあげ)強く、肩にて息をなし、喘息して白汗出、乍(たちまち)寒乍熱、煩悶(くるしみもがき)やまず、或は精神漸々に恍惚となり、或は譫語(たわごと)を発し、遂に無性となる、是脚気の衝心にて九死一生なり、急に理法を施すべし 又其初憎寒(さむけ)壮(つよく)、熱いで全く傷寒のごとくなる有見誤るべからず 衝心の節に至りて、病発に右の如く脚に疾(やまい)ある事を知ざれば、理療に違ひあり、病人も心付ず別の事と思ひ、告語(つげいた)らず、事を誤ることあり よくよく心を用て問べし 【用法】半夏二匁、水に煎じ生姜汁多く入服すべし <上巻61丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-13. 積気暈倒: 胸腹の激痛により目をまわす 【疾患注釈】此証初発に頭痛身熱、或は憎寒(さむけして)、後に大に熱を発し、小腹(したばら)痛を作(なし)て、胸を脇肋(わきばら)に引疼(ひきいたみ)、甚しきは咬牙(きばをかみ)ふるえて反張(そりかえり)、冷汗出て流るるがごとくにして死なんとするあり、又咬牙(きばをかみ)反張(そりかえり)なくして卒然(にわか)に暈(めくるめく)倒るるものあり、或は大小便閉るあり、又積気厥逆(つきあげ)て、心腹(むねはら)共に膨張(はりつめ)て、背膂(せなかかた)引痛、嘔吐乾嘔(はきけえたき)、或は痰沫を吐き、或は心胸(むねさき)に湊(つきつめ)、或は脇肋(わきばら)へ筑(さしこみ)て腹中刺がごとく痛、或はついに厥逆(てあしひえ)あがり、死せんとするものあり 【用法】半夏一味煎じ服さしめてよし、乾嘔(からえたき)あるに最よし <上巻68丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-15. 血厥: 突然うつ状態になり、動かなくなる 婦人に多い 【用法】半夏の末或は皀莢の末を鼻に吹込嚏を取、酢を火盆(ひばち)に傾け入れて、烟を鼻中へ沖入(つきいら)しめてよし <上巻73丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-19. 醉舩: 船酔い、轎(かご)酔い、山に酔う └ 醉舩:人船に乗て眩暈、或は嘔吐、或は瀉(くだし)、頭痛、煩悶(もがきもだ)える事あり 【用法】嘔吐止ざるは、半夏陳皮茯苓の三味等分煎じ飲てよし <上巻78丁> └ 轎舩: 人轎(かご)に乗、漸々(せんせん)に風雲中(かぜくもうち)に坐するがごとく頭痛甚しく、悪心(むねわる)くなり、最甚(もっともはなはだしき)は暈倒(めまいたおるる)に至る 【用法】速やかに熱湯の中に生姜の絞汁を入、拌(かきまぜ)飲しめてよし、又半夏一味煎じ服す <上巻79丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-11. 卒瘂(そつあ): 突然話すことができなくなる 【疾患注釈】人俄に言語(ものいうこと)ならず、聲いでざるなり 【用法】橘皮、半夏、水にて煎じ服す <中巻38丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-12. 懸壅垂長: 突然口蓋垂腫れる 【疾患注釈】おおよそ人咽喉(のど)の前、上顎より垂れる肉あり、俗にひこと云、此ひこ暴(にわか)に腫垂長(はれたれなが)くなりて、咽喉に妨悶(さしさわり)をなす事あり、是懸壅垂長と云なり 懸壅とはひこのことなり 【用法】乾姜、半夏、二味末となし、舌に着けて嚥(のむこみ)てよし <中巻40丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-1. 金瘡: 刀や脇差等による切り傷の類 └ 刀割、斧、夾剪、鑓箭一切諸傷癜: 刀にてきり、斧にてきり、夾剪にてきり、鑓やいっさいもろもろの傷 【用法】生半夏を研り末となし、帯血傷処に敷(つけ)てよし、血自(おのずと)止む <中巻56丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-4. 跌撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬(うちうたれ、たかき所よりおち、おしたおされ、くじき、らくば) 【用法】おおよそ靨打(おしうたれ)れて気絶したるは、其人をして僧の坐禅するが如くに坐(すわ)らしめ、一人は其頭髪を将(もち)て控張(ひきはり)て、半夏の末を鼻孔の中に吹き入るべし、猪牙、皀莢の末、或は胡椒の末を吹きいるも亦よし、嚏(くさめ)をして活却(いきふくかえ)さば、生姜の絞汁に香油(ごまのあぶら)を拌匂(かきまぜ)て灌(のましむ)べし <中巻61丁> 8. 臨産急証: 出産に関する急病 └ 8-1. 難産 └ 盤腸産: 臨産先子腸(さんせんとしてまずはらわた)出で後、其腸収(おさまら)ず 【用法】半夏末となし、産母の鼻孔へ管にて吹き入るべし、嚏(くさめ)出て収まる <下巻73丁> 9. 産後急証: 産後に関する急病 └ 9-1. 血暈: 血の道症 └ 血逆昏暈: 産後惡露(おりもの)下ること少して、胸腹脹痛み、或は一時昏暈(くらみめまい)、血壅(ふさがり)、痰盛に悪血心に上衝(つきあげ)、或は面赤色澤(おもてあかくいろつや)あり、口噤(くちつぐみ)、頭仰(かしらあおぎ)、頸直(えりすぐ)に人事を知ざるは、血逆昏暈なり 【用法】微醒(すこしさむる)を覺(おぼえ)ば、急に生鷄卵壱枚(ひとつ)破(わり)呑下さしめてよし、若し効(しるし)なきは、童子の小便を多く飲てよし、尚治せずんば、竹歴を多く飲(のま)しむべし、又半夏末となし、管を以て鼻孔へ吹き入れ、嚏(くさめ)を取てよし <下巻77丁> 10. 小児急証: 小児の急病 └ 10-7. 驚風: 新生児のひきつけ └疱瘡初発昏冒(ほうそうのしょはつにひきつくる): 状(かたち)驚風のことくなるあり、混淆(いちがい)にすべからず、其初の証は、呵欠(あくび)いで、噴嚏(くさめ)して耳の尖(とがり)冷(ひゆる)ものなり、扨(さて)昏睡(うとうとねむり)、面赤、顋頬(ほほあご)亦赤し、乍(たちまち)涼乍熱を発するあり、如斯(かくのごとく)して俄に驚風のことく、驚搐(おろどきびくつく)、疱瘡の初候なり 【用法】【鼻にひねりこむ法】半夏の末鼻にひねりこみてよし、皀莢の末を等分に加え、ひねりてよし、嚏(くさめ)いづるをよしとす <下巻92丁> | |||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | |||||
同類生薬 | 水半夏(「備考」参照) | |||||
参考文献 | JP18: 第18改正日本薬局方. CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 45-47. C2) 生薬学概論, p 327. L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬 pp. 601-602. | |||||
備考 | 半夏は加工(修治)して用いられることがあり,加工品には法半夏,姜半夏などがある.法半夏は甘草と生石灰,姜半夏は生姜と明礬をそれぞれ用いて加工する.法半夏は燥湿,化痰,姜半夏は降逆止嘔に多用される.中国産の半夏市場品中にまれに Pinellia pedatisecta Schott,P. tripartita Schott オオハンゲまたはテンナンショウ属 Arisaema spp. の塊茎が混入される.水半夏は Typhonium sp. の塊茎である. | |||||
更新日 | 2021/09/27 | |||||