資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称黄芪
正式名称黄耆
日本語読みおうぎ, Ōgi
現地読みHuangqi
ラテン名Astragali Radix (JP), (CP)
英語名Astragalus Root (JP), Milkvetch Root (CP)
等級4級品
薬用部位分類植物性生薬
細分類
産地情報中華人民共和国
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2020/06/22
蒐集者小松かつ子
TMPW No30541

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
中華人民共和国
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名黄耆, Huangqi, Astragali Radix (JP18), (CP2020), Astragalus Root (JP18), Milkvetch Root (CP2020)
生薬異名綿黄耆, 小綿耆, 北耆
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原植物名Astragalus membranaceus Bunge1 or Astragalus mongholicus Bunge, キバナオウギ1
原植物画像
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原植物科名Leguminosae, マメ科
薬用部位
選品円柱形で太く,棒状の柔かい,外部は淡褐色~黄褐色,内部は黄白色の味の甘い香気のあるものが良品(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用強壮,強心,利尿,止汗薬として,虚弱体質,栄養不良,汗機能不全,急性・慢性腎炎などに応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類補気薬
薬効[薬性・性味] 甘,微温.
[帰経] 肺、脾経.
[効能] 補気升陽,固表止汗,利水消腫,生津養血,行滞通痺,托毒排膿,斂瘡生肌.
[主治] 気虚乏力,食少便溏,中気下陷,久瀉脱虹,便血崩漏,表虚自汗,気虚水腫,内熱消渇,血虚萎黄,半身不遂,痺痛麻木,癰疽難潰,久潰不斂に用いる.
成分情報脂肪酸 Fatty acids
(*C2):
Linoleic acid, Linoleinic acid

単糖類 Monosaccharides
(*C2):
D-Glucose, D-Fructose

少糖類 Oligosaccharides
(*C2):
Sucrose

トリテルペン系サポニン Triterpenoid saponins
(*C1):
Astragaloside I, Astragaloside II, Astragaloside III, Astragaloside IV, Astragaloside V, Astragaloside VI, Astragaloside VII, Astragaloside VIII, Soyasaponin I

ステロール Sterols
(*C2):
beta-Sitosterol

イソフラボン Isoflavones
(*C2):
Formononetin, 3'-Hydroxyformononetin, 2',3'-Dihydroxy-7,4'-dimethoxyisoflavone, 7,3'-Dihydroxy-4'-methoxyisoflavone 7-O-glucoside, Astraisoflavan, 7,2'-Dihydroxy-3',4'-dimethoxyisoflavane 7-O-glucoside, Astrapterocarpan 7-hydroxy-3',4'-dimethoxypterocarpan 7-O-glucoside, Isoliquiritigenin

アミノ酸 Amino acids
(*C1,C2):
I-Canavanine, Betaine, ganma-Aminobutyric acid

その他の含窒素化合物 Other nitrogen containing compounds
(*C2):
Choline

成分 構造式

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薬理作用利尿作用,血圧降下作用(水エキス,エタノールエキス).
DNA配列AF121675, AF239711, AF239712, AF239712; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症元気が無い, 疲れやすい, 息切れ, 食欲不振, 冷え, 子宮下垂, 慢性下痢, 血便, 不正性器出血, しびれ, 半身不随, 盗汗, 皮膚化膿症, 浮腫, 自汗, 脱肛, 多飲, 多尿, 皮下出血, 急性腎炎, 慢性腎症, 蛋白尿, 糖尿病
方剤医王湯, 痿証方, 烏頭湯, 益気養栄湯, 黄耆桂枝五物湯, 黄耆建中湯, 黄耆芍薬桂枝苦酒湯, 黄耆別甲湯, 黄連消毒飲, 加味帰脾湯, 帰耆建中湯, 桔梗解毒湯, 帰脾湯, 芎帰補中湯, 玉屏風散, 桂枝加黄耆湯, 三黄湯, 紫根牡蠣湯, 七賢散, 七物降下湯, 十全大補湯, 十味剉散, 十六味流気飲, 春林赫石脂湯, 除湿補気湯, 助陽和血湯, 清暑益気湯, 生津湯, 清心蓮子飲, 大防風湯, 治黄胖方, 当帰飲子, 当帰湯, 当帰六黄湯, 内托散 [回春], 内托散 [千金], 人参散, 人参養栄湯 [局方], 半夏白朮天麻湯, 扶脾生脈散加白芨, 防已黄耆湯, 防已茯苓湯, 補腎湯, 牡丹皮散, 補中益気湯, 味麦益気湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-2. 脱陽
:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる
卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也
【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ
【用法】
・ 早速に神闕気海關元(しんけつきかいかんげん)に灸すること二三百壮すべし、大劑にして獨参湯と用ゆべし、亦膻中の穴に灸すべし、扨隠白百會人中絶骨章門風市(いんはくひゃくえにんちゅうぜっこつしょうもんふうし)等の諸穴に灸すべし、痰強きは参姜湯四支(てあし)厥冷(ひえつよき)には参附湯煎服、汗多出ば人参黄芪煎服す、或は芪附湯煎服す <上巻16丁>
・ 吐瀉の後 脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後参附湯、又汗おおきは芪附湯の類を用ゆべし、かつ気海天樞中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつみ)、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を剉、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海陰交の次(あたり)を是又絶えず熨すべし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし <上巻16丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり。此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 虚損吐血: 其人いつとなく気怯(きつかれ)、形色憔悴(けしきやつれ)或は胸懐鬱然(こころもちおもしろからず)、飲食ともに風味なく、腹は饑(へり)ながら食することは不欲(いや)にて、且物に驚き易く、夜快寝ざる等の証、其以前にありて後に忽吐血者あり、又は其以前に数度嘔吐の証、或いは度々泄瀉の証有たる後に卒然吐血、或いは下血事有者あり、是を虚損吐血とす、血の色鮮紅かるべし
【用法】人参黄耆各々一匁水に煎、童子小便を加えて頻(ひたもの)々服してよし <中巻4丁>

7. 婦人産前急証: 妊婦の産前に関する急病
└ 7-4. 妊婦腹痛腰痛
: 妊娠時の腹痛・腰痛
【疾患注釈】懐妊中、何故もなく腹痛事あり
【用法】急に黄汁を下すは黄耆刻六匁、粳米五合を水に煎じ服すべし <下巻68丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬晋耆, 紅耆(「備考」参照)
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 149-150.
C2) 生薬学概論 pp 281-282.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬 pp. 317-318.
備考「黄耆」は補薬の長である.黄耆は肌表(皮膚,皮下組織に相当)の気を補い,表虚に応用するのに対し,人参は五臓の気を補い,裏虚に応用する.
黄耆を大量に用いると,軽度の掻痒感と発疹を生じる.
中国では Hedysarum polybotrys Hand.-Mazz. に根に由来する晋耆(紅耆)を重用する.
更新日2022/11/04