資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称大黄
正式名称大黄
日本語読みだいおう, Daiō
現地読みDahuang
ラテン名Rhei Rhizoma (JP), Rhei Radix et Rhizoma (CP)
英語名Rhubarb (JP), (CP)
薬用部位分類植物性生薬
細分類根茎
産地情報中華人民共和国, 四川省
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2021/04/01
蒐集者小松かつ子
TMPW No30997

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
30.572815
104.06680099999994
産地情報
中華人民共和国,四川省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名大黄, Dahuang, Rhei Rhizoma (JP18), Rhei Radix et Rhizoma (CP2020), Rhubarb (JP18), (CP2020)
生薬異名青海大黄, 西寧大黄, 甘粛大黄, 雅黄, 馬蹄大黄
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原植物名Rheum palmatum Linn., Rheum tanguticum Maximowicz, Rheum officinale Baillon, Rheum coreanum Nakai, またはそれらの種間雑種
原植物画像
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原植物科名Polygonaceae, タデ科
薬用部位根茎
選品黄褐色,錦紋と星点が明瞭で身が重く,質が堅く油性があり,臭いが清らか,かむと粘気のある物が良品(NI)
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用緩下,健胃,駆瘀血薬.漢方では実証タイプの結毒を排除し,通利を促し,宿食,便秘による腹痛,化膿性腫脹を治す要薬である.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類攻下薬
薬効[性味] 苦,寒.
[帰経] 脾、胃、大腸、肝、心包経.
[効能] 瀉熱通腸,涼血解毒,逐瘀通経.
[主治] 実熱積滞便秘,血熱吐衄,目赤咽腫,癰腫疔瘡,腸癰腹痛,瘀血経閉,産後瘀阻,打撲損傷,湿熱痢疾,黄疸尿赤,淋証,水腫,熱湯熱傷に応用する.
成分情報アントラキノン Anthraquinones
(*C1-C10):
Chrysophanol, Emodin, Rhein, Aloe-emodin, Physcion, Physcion-monoglucoside, Aloe-emodin-8-monoglucoside, Chrysophanol-1-monoglucoside, Emodin-monoglucoside, Rhein-8-monoglucoside, Sennidin A, Sennidin B, Sennidin C, Rheidin A, Rheidin B, Rheidin C, Palmidin A, Palmidin B, Palmidin C, Palmidin D, Sennoside A, Sennoside B, Sennoside C, Sennoside D, Sennoside E, Sennoside F, Dirhein, Anthrone, Chrysophanol anthrone, Rheinosides, 以下代謝物/followings are the metabolites 8-Glucosylrheinanthrone, Rheinanthrone, Sennidin A-8-monoglucoside, Sennidin B-8-monoglucoside, Sennidin B-8'-monoglucoside, Rhein dianthrone diglucoside

タンニン Tannins
(*C1):
Rhatannin I, Rhatannin II, Torachrysone 8-glucoside, 6-Hydroxymusizin, Lindleyin, Procyanidin B-1 3-O-gallate, (+)-Catechin, (-)-Epicatechin, Epicatechin gallate, Gallocatechin, Gallocatechin gallate, Glucogallin, 2'-O-Cinnamoylglucogallin, Gallic acid, Tetrarin
(その他/Others):
(-)-Epicatechin 3-O-gallate, Procyanidin B-2 3,3'-di-O-gallate, RG-tannin
(*C11):
1,2,6-Trigalloyl-glucose, 3-O-Galloylprocyanidin B-1

スチルベン系化合物 Stilbenes
Sect.Rhapontica, Sect.Ribesifornia(*C1):
Rhaponticin, 3,5-Dihydroxy-4-methoxy stilbene glucoside, Piceid
(*C11):
3,5,4'-Trihydroxystilbene 4'-glucoside およびその/and its 6''-O-gallate

ナフタレン系化合物 Naphthalenes
(*C11):
Torachrysone 8-glucoside, 6-Hydroxymusizin およびその/and its 6'-O-oxalate

成分 構造式





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薬理作用瀉下(エキス,大黄末,sennoside A).抗菌(水エキス,aloe-emodin),抗真菌(catechin).血中尿素窒素低下(rhatannin).血中,尿中MG量低下(水エキス,epicatechin 3-O-gallate,procyanidin B-2 3,3'-di-O-gallate).抗炎症,鎮痛(lindleyin).抗コレラトキシン作用(RG-tannin).
DNA配列AF093392, AF094558, AF204860, M77702
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症便秘, 腹痛, 高熱, 意識障害, 下痢, テネスムス, 腹満, 冷え, 目の充血, 咽喉の腫脹疼痛, 歯痛, 鼻出血, 吐血, 虫垂炎, 皮膚化膿症, 無月経, 産後瘀阻
方剤茵蔯蒿湯, 温脾湯, 乙字湯, 香川解毒剤, 加減涼膈散一方, 活血解毒湯, 活血散瘀湯, 加味承気湯, 陥胸湯, 甘連湯, 甘連大黄湯, 甘連大黄加石膏湯, 桔梗解毒湯, 枳実梔子大黄豉湯, 枳実大黄湯, 橘皮大黄朴硝湯, 響声破笛丸, 九味檳榔湯, 桂枝加芍薬大黄湯, 桂枝加大黄湯, 鶏鳴散 [千金], 合壁飲, 厚朴三物湯, 行和芍薬湯, 五物大黄湯, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 三黄瀉心湯, 三黄瀉心湯 (振り出し), 梔子大黄湯, 四順清涼飲, 芍甘黄辛附湯, 芍薬湯, 芍薬湯加大黄, 芍薬甘草附子大黄湯, 赤小豆湯, 謝導人大黄湯, 潤腸湯, 小解毒湯, 秦艽防風湯, 清咽利膈湯, 大黄甘草湯, 大黄附子湯, 大黄牡丹皮湯, 大百中飲, 治黄胖方, 治酒査鼻方, 治打撲一方, 治頭瘡一方, 治頭痛一方, 中正湯, 調胃承気湯, 通導散, 桃核承気湯, 謄龍湯, 内疎黄連湯, 女神散, 八味疝気方, 八味帯下方, 檳榔順気湯, 防風通聖散, 本方芍薬湯, 涼膈散, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, 連翹湯 [眼科], 連翹湯 [丹毒], 複方ダイオウ・センナ末, 風引湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

<大黄>
2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり。此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 実熱吐血: 吐血口渇て水を飲事好み、或は咽痛、燥煩(もがきさわぎ)、大便かたく、或は閉て通ぜず、小便の色赤くして熱く、或は頭痛する者は実熱吐血とするなり
【用法】大黄一匁末となし、生地黄の絞汁一合許水を五勺(しゃく)許(ばかり)沸煮汁を服す <中巻5丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-4. 跌撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬
(うちうたれ、たかき所よりおち、おしたおされ、くじき、らくば)
 └ 諸閃肭、閃腰、打傷并手足損傷(もろもろひきくじき、こしちがえ、うちみまたてあしそんざし)
【疾患注釈】血出ずして痛(いたみ)推(ただ)其處の色、あるいは青、或は紫なる
【用法】先ず葱の白根を刻み細かにして炒り熱くし、其痛む處を擦り、熨しあたためて灸に大黄の末を生姜の絞汁に調(ととのえ)て敷(つけ)て、其人の酒量に随(したがい)醉ほど好酒(よきさけ)を飲ましむべし <中巻63丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-5. 初生丹毒
: 新生児の丹毒
【疾患注釈】初生小兒(うまれたちのしょうに)遍身(そうみ)むらむらと赤くなることあり、是を丹毒と言(俗にはやくさと言)此毒腹に入ば死す
【用法】緑豆粉二匁半、大黄一匁、生薄荷の汁、少し許に匂(まぜあわせ)て塗べし <下巻87丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-8. 走馬牙疳
: 歯茎がただれ、歯が落ちる
【疾患注釈】齒齦(はぐき)損爛(くずれただれ)、或は腫紫黒色(くろむらさきいろ)に成、齒縫(はのはえぎわ)より鮮血出、口内臭気あり、毒深(つよき)は臭気も亦つよし 身に熱あり、甚しきは齒落、唇鼻顋(えら)頬までも攻蝕(かけとれ)て脱去(おちる)に至る、遅ときは死に至る
おおよそ疱瘡麻疹(ほうそうはしか)、或は熱病時毒等患いたる後、息臭、口中臭気あるは、其毒消鮮せさるなれば早く良醫(よきいしゃ)を迎(よび)て療理を請べし、延握(のびのびに)すれば此病となる、可恐(おそるべし)
【用法】大黄青黛乾地黄、刻て煎じ服す、或は末となし、白湯にて調(ととの)え服す、又よし <下巻95丁>

<唐大黄>
1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10.霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり
 └ 乾霍乱: 忽然(たちまち)心下(むなさき)つかえかたく腹肚(はら)張り絞るように痛堪がたく漸々に煩躁擾亂(もがきさわぎ)、吐んとして吐ず、瀉(くだ)さんとして瀉さず、手足逆冷(ひえあがり)冷汗出、胸膈(むね)かたく起(おこ)りふさがり、頃刻(しばらくのうち)に命危証なり
【疾患注釈】痛強く死なんとする
【用法】巴豆皮を去、少炒り、研爛(すりつぶし)、唐大黄乾姜の末各一匁にまぜ、大豆許を三四つほど煖湯(さゆ)にて用ゆべし、暫して吐下ありて癒ゆ <上巻49丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-16. 耳中卒痛
: 突然耳が痛む
【疾患注釈】膿汁は不出(でず)、耳中俄に惟痛つよき証なり
【用法】唐大黄辰砂、二味等分末にして、湯にてうすくとき、少々耳の内へ入れて治す <中巻44丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-1. 金瘡
: 刀や脇差等による切り傷の類
 └ 刀割、斧、夾剪、鑓箭一切諸傷癜: 刀にてきり、斧にてきり、夾剪にてきり、鑓やいっさいもろもろのきず
【用法】唐大黄炒り黒くし、細末となし傷處にふりかけてよし <中巻57丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-4. 中魚介禽獣肉毒
: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる
 └ 鰹魚毒中: 鰹の毒に中(あた)りたる。おおよそ鰹の毒に中(あたり)たるは、冷水を服すべからず
【用法】唐大黄末となし、五六分白湯にて服すべし <下巻56丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬土大黄,和大黄
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 16-20.
C2) Planta Med.,40,225(1980).
C3) Chem.Pharm.Bull.,30,1338(1982).
C4) J.Pharmaco-bio-Dyn.,8,800(1985).
C5) Chem.Pharm.Bull.,35,1998(1987).
C6) Pharmacology,36,172(1988).
C7) Appl.Envir.Microbiol.,60,1041(1994).
C8) Biol.Pharm.Bull.,19,701(1996).
C9) Biol.Pharm.Bull.,19,705(1996).
C10) Biol.Pharm.Bull.,19,136(1996).
C11) 生薬学概論, pp 315-316.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬.
備考大黄の瀉下活性成分はセンノサイド類である.Sennoside A は大腸内の腸内細菌により代謝されてRhein anthrone になり,この物質が腸の蠕動を促進し,瀉下作用を及ぼす.
更新日2022/11/02