資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称香附子
正式名称香附子
日本語読みこうぶし, Kōbushi
現地読みXiangfuzi
ラテン名Cyperi Rhizoma (JP), (CP)
英語名Cyperus Rhizome (JP), Nutgrass Galingale Rhizome (CP)
薬用部位分類植物性生薬
細分類根茎
産地情報中華人民共和国
野生・栽培別栽培
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2021/10/11
蒐集者小松かつ子
TMPW No31242

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
中華人民共和国
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名香附子, Xangfuzi, Cyperi Rhizoma (JP18, CP2020), Cyperus Rhizome (JP18), Nutgrass Galingale Rhizome (CP2020)
生薬異名Musta
生薬画像
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原植物名Cyperus rotundus Linn., ハマスゲ
原植物画像
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原植物科名Cyperaceae, カヤツリグサ科
薬用部位根茎(塊茎)
選品大きくて充実し,香味の強いものが良品で,内部が黒味を帯びたものは良くない(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用通経,浄血,鎮痛薬として,月経不調,月経痛,婦人科疾患からくる精神不安,諸種の胃痛,腹痛,食欲不振などに応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類温裏薬
薬効[薬性・性味] 辛、微苦、微甘,平.
[帰経] 肝、脾、三焦経.
[効能] 疏肝解郁,理気寛中,調経止痛.
[主治] 肝郁気滞,胸脇脹痛,疝気疼痛,乳房脹痛,脾胃気滞,脘腹痞悶,張満疼痛,月経不調,経閉痛経に応用する.
成分情報脂質 Lipids
C. rotundus <インド産/produced in India> (*C1):
Linoleic acid, Linolenic acid, Oleic acid, Myristic acid, Stearic acidのGlycerides

単糖類 Monosaccharides
C. rotundus <インド産/produced in India> (*C1):
ブドウ糖/glucose, 果糖/fructose

テルペノイド(精油) Terpenoids (Essential oils)
(*C1):
Cyperene, Cyperol, Isocyperol, Cyperotundone, Sugeonol, Sugetriol, Cyperolone, Kobusone, Isokobusone, Patchchoulenyl acetate, Sugeonyl acetate
C. rotundus <インド産/produced in India> (*C1):
alpha-Cyperone, beta-Cyperone, l-alpha-Pinene, Copadiene

トリテルペノイド Triterpenoids
(*C1):
Oleanoic acid, 3-O-(2-Rhamnoglucosyl)-oleanoic acid

成分 構造式




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薬理作用子宮収縮抑制,鎮痛(エキス).抗菌.
DNA配列AF285071, AF168838, AJ295758, AJ295759, AJ295760, AJ404698; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症胸脇が張って痛む, 腹満, 憂欝, 胸が苦しい, 嘔吐, 消化不良, 下腹痛, 月経痛, 月経不順
方剤安産湯, 烏苓通気湯, 益気養栄湯, 加減胃苓湯, 加減八物湯, 橘皮半夏湯, 芎帰調血飲, 行気香蘇散, 香芎湯, 香砂平胃散, 香砂六君子湯, 香蘇散, 柴胡疎肝湯, 滋陰至宝湯, 滋腎通耳湯, 実脾湯, 順気和中湯, 正気天香湯, 椒梅湯, 沈香降気湯, 清熱解鬱湯, 川芎茶調散, 竹茹温胆湯, 当帰鬚散, 当帰養血湯, 二朮湯, 女神散, 半夏厚朴七物湯, 反鼻交感丹, 分消湯, 蒲公英湯, 木通散, 六鬱湯, 香砂養胃湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-4. 中気
: 気が塞がり倒れる
【疾患注釈】此証大抵中風の閉証と同じければ、前の中風の所と合せ見るべし、然ながら中風は身温也 中気は身冷(すず)し、脈も又中風は浮也、中気は沈也 大抵此証の起る前に心気を労し、又は大きに怒事あり、或は怒をこらえ又は思案することありて気の鬱(こり)し時に発する証なり、元皆七情の過極(すききわま)りたるより起る、世に中気中風を一つに心會(こころえ)たる人多し、初は大抵理法も似たる様なれども、後に至りては大に同じからず
【用法】香附子の末壱匁、辰砂五分白湯にて服すべし <上巻24丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-13. 積気暈倒
: 胸腹の激痛により目をまわす
【疾患注釈】此証初発に頭痛身熱、或は憎寒(さむけして)、後に大に熱を発し、小腹(したばら)痛を作(なし)て、胸を脇肋(わきばら)に引疼(ひきいたみ)、甚しきは咬牙(きばをかみ)ふるえて反張(そりかえり)、冷汗出て流るるがごとくにして死なんとするあり、又咬牙(きばをかみ)反張(そりかえり)なくして卒然(にわか)に暈(めくるめく)倒るるものあり、或は大小便閉るあり、又積気厥逆(つきあげ)て、心腹(むねはら)共に膨張(はりつめ)て、背膂(せなかかた)引痛、嘔吐乾嘔(はきけえたき)、或は痰沫を吐き、或は心胸(むねさき)に湊(つきつめ)、或は脇肋(わきばら)へ筑(さしこみ)て腹中刺がごとく痛、或はついに厥逆(てあしひえ)あがり、死せんとするものあり
【用法】香附子末となし、白湯にて服す、或は縮砂の末、甘草の末少し加え服す <上巻68丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-13. 積気暈倒
: 胸腹の激痛により目をまわす
 └ 疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり
【用法】衝逆強く、痰のどに塞(ふさがる)は、香附子の末、浮石の末等分にして白湯に生薑の絞汁を拌(かきまぜ)て服す <上巻69丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-16. 血厥
: 突然うつ状態になり、動かなくなる 婦人に多い
【用法】川芎香附子の末等分白湯にて用べし <上巻74丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 吐瘀血: 人忽(にわかに)血を吐、其血の色或は黯黒(くろずみ)、或は紫黒色にして、或は凝てとりのきものごとく、或は豆羹汁(まめのにじる)のごとくなる者あり、此時には當(あたり)ては、或は煩悶(もだえくるしみ)或は身體(みうち)清涼(すずし)くして、気息(いき)微かに、面白きは、かねて停積(とどこおり)結聚(あつまり)し、瘀血を吐出せるなり、此証は血多く出たりとも妨(さまたげ)なし、然れども一時に多く出れば元気接(つづか)ざる者なれば、両方を施すべし
【用法】
香附子末となし、ニ匁許童子の小便にて送下を良とす <中巻2丁>
茯苓の末に香附子の末一匁許宛(ばかりずつ)を米飮(めしのとりゆ)にて用ゆべし <中巻2丁>
 └ 大怒吐血:人大いに怒る事ありて後煩熱を発し吐血するものあり、或は胸脇のあたり痛み満悶あり
【用法】童子小便にて香附子の末を調(まぜ)て服す <中巻6丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-3. 歯衂舌衂
: 歯より血出るなり、舌より血出るなり
 └ 歯衂: 齒縫齦(はのすき はぐき)との間より血出るなり
又は、齒を抜き血出て不止。おおよそ人口より血出て、吐血か齒衂か分ち難は、涼水(ひやみず)に漱(くちすすぐ)べし、血頃(しばしの間)止むは齒衂也、止ざるは吐血也
【用法】香附子炒黒し、末となし摺(すりつく)べし <中巻20丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 痰痛: 心腹(むねはら)痛て、腹の中漉々(からから)といえる聲(こえ)ありて手脚寒(ひえ)て痛、或は腰、膝、背、脇(わきばら)抽掣(ひきつり)て痛をなすは痰飲にて痛なり
【用法】蛤殻を煆(やき)て、研(すり)末となし、香附子の末を入同く和(まぜ)、白湯にて服す <中巻35丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-15. 卒聾
: 耳が聞こえなくなる
【疾患注釈】人平居無事にして、卒然(ふっ)と耳きこえざるなり
【用法】香附子、瓦(ほうろく)にて炒り、研て末となし、らいふく子の煎じ湯にて服すべし <中巻43丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 109-111.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考インド医学でも古来から用いられ,「musta」 ムスタと称す.仏典の『金光明経』にも「musuita」の名で収載されている.
更新日2021/09/27