資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称桂芯条
正式名称桂皮
日本語読みけいひ, Keihi
現地読みGuixintiao
ラテン名Cinnamomi Cortex (JP), (CP)
英語名Cinnamon Bark (JP), Cassia Bark (CP)
薬用部位分類植物性生薬
細分類樹皮
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2021/10/11
蒐集者小松かつ子
TMPW No31250

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名桂皮, Guipi, 肉桂, Rougui, Cinnamomi Cortex (JP18, CP2020), Cinnamon Bark (JP18), Cassia Bark (CP2020)
生薬異名広南桂皮, 東興桂皮, ベトナム桂皮, 肉桂
生薬画像
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原植物名Cinnamomum cassia J. Presl
原植物画像
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原植物科名Lauraceae, クスノキ科
薬用部位樹皮
選品広南桂皮は肉薄で,ベトナム桂皮は肉厚.内面の色が濃褐色~紫黒色で,辛くて良い芳香のあるものが良品 (TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用発汗,解熱,芳香性健胃,駆風薬として,頭痛,発熱,のぼせ,感冒,身体疼痛などに応用する.ケイヒ油はその他に,矯味,矯臭薬,食用香料としても用いられる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類温裏薬
薬効[性味] 辛、甘,大熱.
[帰経] 腎、脾、心、肝経.
[効能] 補火助陽,引火帰源,散寒止痛,温通経脈.
[主治] 陽痿宮冷,腰膝冷痛,腎虚作喘,虚陽上浮,眩暈目赤,心腹冷痛,虚寒吐瀉,寒疝腹痛,痛経経閉に用いる.
成分情報その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
C. verum (*C1):
Cassioside, Cinnamoside

モノテルペノイド Monoterpenoids
C. verum (*C1):
l-Phellandrene, alpha-Pinene, beta-Pinene, Geranial, Camphene, Linalool, Terpinen-4-ol
C. sieboldii (*C1):
Camphene, Linalool, 1,8-Cineole

ジテルペノイド Diterpenoids
C. cassia (*C1):
Cinnzeylanine, Cinnzeylanol, Anhydrocinnzeylanine, Anhydrocinnzeylanol, Cinncassiol A, Cinncassiol B, Cinncassiol C1, Cinncassiol C2, Cinncassiol C3, Cinncassiol D1, Cinncassiol D2, Cinncassiol D3, Cinncassiol D4, Cinncassiol E
C. verum (*C1):
Cinnzeylanine, Cinnzeylanol

フェニルプロパノイド Phenylpropanoids
C. cassia (*C1):
Cinnamaldehyde(=Cinnamic aldehyde), Cinnamyl acetate, Phenylpropyl acetate, Cinnamic acid, Salicyl aldehyde
C. verum (*C1):
Cinnamaldehyde (= Cinnamic aldehyde), Eugenol
C. sieboldii (*C1):
Cinnamaldehyde (= Cinnamic aldehyde)

タンニン Tannins
C. cassia (*C1):
l-Epicatechin, Procyanidin B-2, Procyanidin B-5, Procyanidin C-1, Cinnamtannin I
C. verum (*C1):
l-Epicatechin, Procyanidin B-1, Procyanidin B-2, Procyanidin B-5
(*C2):
Cinnamtannin A1

成分 構造式



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薬理作用鎮静,鎮痛(水エキス,精油:大量で痙攣 ).抗菌(精油:病原性糸状菌).眼瞼下垂,血圧降下,体温降下,呼吸促進,覚醒,胆汁分泌促進,ストレス性潰瘍抑制(ケイアルデヒド).発汗増強,局所麻酔(水エキス).
DNA配列AB040075, AB040085; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症感冒, 神経痛, リウマチ, 慢性気管支炎, 月経不順, 無月経, 腹痛, 下痢, 身体が重だるい
方剤安中散, 胃風湯, 胃苓湯, 茵蔯五苓散, 烏頭桂枝湯, 温経湯, 温脾湯, 黄耆桂枝五物湯, 黄耆建中湯, 黄耆芍薬桂枝苦酒湯, 黄耆別甲湯, 黄連湯, 葛根湯, 葛根加半夏湯, 葛根加苓朮附湯, 葛根湯加辛夷川芎湯, 加味八仙湯, 栝楼桂枝湯, 緩痃湯, 甘草附子湯, 帰耆建中湯, 逆挽湯, 救逆湯, 九味檳榔湯, 桂姜棗草黄辛附湯, 桂枝湯, 桂枝加黄耆湯, 桂枝加葛根湯, 桂枝加桂湯, 桂枝加厚朴杏仁湯, 桂枝加芍薬湯, 桂枝加芍薬生姜人参湯, 桂枝加芍薬大黄湯, 桂枝加朮附湯, 桂枝加大黄湯, 桂枝加附子湯, 桂枝加龍骨牡蠣湯, 桂枝加苓朮附湯, 桂枝甘草湯, 桂枝甘草龍骨牡蠣湯, 桂枝去芍薬湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣救逆湯, 桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯, 桂枝五物湯, 桂枝芍薬知母湯, 桂枝生姜枳実湯, 桂枝桃仁湯, 桂枝二越婢一湯, 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝二麻黄一湯, 桂枝人参湯, 桂枝茯苓丸, 桂枝茯苓丸料, 桂枝附子湯, 桂枝麻黄各半湯, 香芎湯, 厚朴七物湯, 行和芍薬湯, 古今録験続命湯, 五積散, 牛車腎気丸, 五物大黄湯, 五苓散, 柴葛解肌湯, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 柴胡桂枝湯, 柴胡桂枝乾姜湯, 柴胡疎肝湯, 柴苓湯, 紫蘇子湯, 炙甘草湯, 赤小豆湯, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 十全大補湯, 十味剉散, 十六味流気飲, 小建中湯, 生地黄湯, 小青竜湯, 小青竜加石膏湯, 小続命湯, 椒梅湯, 赤丸料(桂皮), 折衝飲, 壮原湯, 増損木防已湯, 続命湯, 蘇子降気湯, 大青竜湯, 大続命湯, 大百中飲, 竹皮大丸, 竹葉湯, 治喘一方, 治打撲一方, 中建中湯, 丁香柿蔕湯, 丁香茯苓湯, 桃核承気湯, 当帰建中湯, 当帰四逆湯, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 当帰鬚散, 当帰湯, 独活葛根湯, 独活寄生湯, 内托散 [回春], 内托散 [千金], 女神散, 人参養栄湯 [局方], 貝母湯, 八味丸合人参湯, 八味地黄丸, 八味疝気方, 半夏散料, 半夏湯, 白虎加桂枝湯, 茯苓甘草湯, 茯苓桂枝甘草大棗湯, 茯苓沢瀉湯, 巫神湯, 分心気飲, 変製心気飲, 防已地黄湯, 防已茯苓湯, 牡丹皮散, 補肺湯, 奔豚湯 [広済], 奔豚湯 [集験方], 奔豚湯 [小品], 奔豚湯 [深師], 奔豚湯 [肘後方], 本方芍薬湯, 麻黄湯, 麻黄加朮湯, 麻黄加苓朮附湯, 明朗飲, 木防已湯, 木防已去石膏加茯苓芒硝湯, 薏苡仁湯 [明医指掌], 苓桂甘棗湯, 良枳湯, 苓桂甘棗湯, 苓桂五味甘草湯, 苓桂朮甘湯, 連珠飲, 弄玉湯, 六物黄芩湯, 六物附子湯, 風引湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-2. 脱陽
:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる
卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也
【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ
【用法】桂枝壱両刻み好酒(よきさけ)にて煎じ飲しむ可(べ)し、若(もし)桂枝無きときは、葱の白根其侭(そのまま)廿本許(ばかり)を刻み、好酒にて濃くせんじ飲しめてよし、或は生姜を擦(すり)て一両其侭酒にて煎じ用ゆ、又効(しるし)あり <上巻17丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10. 霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり
 └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中㽲(ひきしめ)痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり
【疾患注釈】不利不已: 腹くだりやまざる  
【用法】桂枝壹両剉みて好酒(よきさけ)に煎服す <上巻37丁>
 └ 乾霍乱: 忽然(たちまち)心下(むなさき)つかえかたく腹肚(はら)満はりしぼるように痛堪がたく漸々に煩躁擾亂(もがきさわぎ)、吐んとして吐ず、瀉(くだ)さんとして瀉さず、手足逆冷(ひえあがり)冷汗出、胸膈(むね)かたく起(おこ)りふさがり、頃刻(しばらくのうち)に命危証なり
【疾患注釈】中脘以下小腹へかけ、絞るが如く痛甚、是を按ば中脘より下腹の方に塊ある
【用法】厚朴生姜の汁に付炙、研末となし、白湯にてニ匁許を用ゆ。或は厚朴刻、炙、煎、汁を入拌(かきまぜ)用う、或は肉桂枳実をくわう <上巻48丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり。此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 虚熱吐血: 患人(病人)面赤く、滑沢(つやつや、うるおい)甚だしく、或は躁悶(もだえさわぎ)、或は喘息して手足厥冷(冷えあがり)、或は小便清澄(すみ)、大便もやわらかに通じ、又は泄瀉し、遂に吐血て止まざるは虚陽の浮泛(うかみあかり)たるなり、血色鮮紅なり、尤大切の証なり
【用法】肉桂一味末となし、方寸匕(ひとさじ)許(ばかり)を服す <中巻4丁>

└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 寒痛: 綿々(だらだら)といつまでも斷間(たえま)なく痛み、胸すきて飢がごとく、按(おし)て快(こころよ)く、大便泄痢或は下重(いけみ)あるは寒痛なり、俗に冷蟲と言 此証最灸して良、中脘、天枢、気海、見許(みはから)い、灸すべし
【用法】肉桂を一味煎じ服す、或は末にして白湯にて服す <中巻34丁>

└ 2-11. 卒瘂(そつあ)
: 突然話すことができなくなる
【疾患注釈】人俄に言語(ものいうこと)ならず、聲いでざるなり 
【用法】杏仁三分皮を去、熬(いり)、桂枝一分末にし和(まぜ)、泥のごとくし、無患子程を綿に裹み口中に含み、徐々(そろそろ)嚥下(のみくだす)べし <中巻38丁>

4. 横死の類: 病死以外の死
└ 4-3. 縊死
: 首をくくって死ぬ
 └ 縊人救法: くびれたる人を救う方法
【用法】正気付たる時、肉桂を濃く煎じ含み與え消息(みはから)いて粥清(かゆのうわゆ)を與飲(あたえのま)しめ、喉腸を濡れ(うるおし)てよし <下巻6丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-2. 中諸穀菜毒
: 穀類や野菜の毒にあたる
 └ 中木実瓜類毒: 木の実、又は瓜の類を食(くらい)て毒に中(あたり)たる
【用法】肉桂を一味水にて濃煎じ、服すべし <下巻48丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬セイロン桂皮,タイ桂皮,ジャワ桂皮
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版)
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp 140-142.
C2) 生薬学概論, pp 308-309.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬 pp. 420-423.
備考中国では C. cassia の樹皮を「肉桂」(rougui),嫩枝を「桂枝」(guizhi)と称し,薬効を異にする.肉桂は温裏薬(伝統医学的薬効を参照),桂枝は辛温解表薬で薬効は次のとおり:発汗解肌,温通経脈,助陽化気,平冲降気.風寒感冒,腹(胃)部冷痛,血寒経閉,関節痺痛,痰飮,水腫、心悸,奔豚に応用する.日本における用法は「桂枝」に近い.
「セイロン桂皮」は,C. verum J.S. Presl の幹皮で,Cinnamon Bark と称され,香辛料として世界的に有名である.「タイ桂皮」は,C. iners Reinw. ex Blume,「ジャワ桂皮」は,C. burmanni Blume に由来するものとされる.日本産の「肉桂(にっけい)」と称されるものは C. sieboldii Meissn ニッケイの根皮である.
- 日本薬局方での学名変更
JP17: Cinnamomum cassia Blume → JP18: C. cassia J. Presl
更新日2023/04/26