資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称薄荷
正式名称薄荷
日本語読みはっか, Hakka
現地読みBohe
ラテン名Menthae Herba (JP), Menthae Haplocalycis Herba (CP)
英語名Mentha Herb (JP), Peppermint (CP)
原植物名Mentha arvensis Linn. var. piperascens Malinvaud1, Mentha haplocalyx Briquet2, 日本産: ハッカ1, 中国産: コーンミント2
原植物科名Labiatae, シソ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類地上部
産地情報中華人民共和国
入手先情報日本, 東京都, ㈱ウチダ和漢薬
入手年月日2016/07/22
蒐集者伏見裕利
備考刻 Lot. F1T0504
TMPW No31487

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
中華人民共和国
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
35.6894875
139.69170639999993
入手先情報
日本,東京都
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名薄荷, Bohe, Menthae Herba (JP18), Menthae Haplocalycis Herba (CP2020), Mentha Herb (JP18), Peppermint (CP2020)
生薬異名蘇薄荷 (Subohe)
生薬画像
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原植物名Mentha arvensis Linn. var. piperascens Malinvaud1, Mentha haplocalyx Briquet2, 日本産: ハッカ1, 中国産: コーンミント2
原植物画像
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原植物科名Labiatae, シソ科
薬用部位地上部
選品葉の青味が強く,香気の強いものが良品(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用芳香性健胃,駆風薬,頭痛,目まい,咽頭痛,瘰癧,心腹脹満などに応用する.多くはl-menthol(防腐,局所麻酔),ハッカ油,ハッカ水などの製造原料とする.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類辛涼解表薬
薬効[性味] 辛,涼.
[帰経] 肺、肝経.
[効能] 疏散風熱,清利頭目,利咽,透疹,疏肝行気.
[主治] 風熱感冒,風温初起,頭痛,目赤,喉痺,口瘡,風疹,麻疹,胸脇脹悶に用いる.
成分情報モノテルペノイド Monoterpenoids
(*C1):
l-Menthol(精油約1%の70~90%), l-Menthone, 1,8-Cineole, Isomenthone, d-Neomenthol, alpha-Pinene, Camphene, Menthenone, l-Limonene, Piperitone, Piperitenone, Pulegone

セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
(*C1):
beta-Caryophyllene, Germacrene-D

成分 構造式

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薬理作用中枢抑制,血管拡張,皮膚刺激,鎮痙作用(精油).局所刺激,局所麻酔,鎮痙,駆風,利胆,駆虫作用(menthol).
DNA配列Z37420, U28876; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症発熱, 悪寒, 頭痛, 無汗, 咽喉の腫脹疼痛, 目の充血, 麻疹, 掻痒, 胸脇が張って痛む, 腹満, 腹痛, 嘔吐, 下痢
方剤加減涼膈散, 加減涼膈散一方, 加味逍遥散, 加味逍遥散合四物湯, 響声破笛丸, 荊芥連翹湯[一貫堂], 香芎湯, 柴胡清肝散, 滋陰至宝湯, 瀉胃湯, 逍遥散, 清胃瀉火湯, 清咽利膈湯, 清上防風湯, 清涼飲, 洗肝明目湯, 川芎茶調散, 知母茯苓湯, 内疎黄連湯, 八味逍遥散, 防風通聖散, 龍胆瀉肝湯 [一貫堂], 涼膈散
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
 └ 蜂蠍螫傷: 蜂やサソリに螫傷(さしやぶら)れる
【用法】薄荷葉もみて封(つく)べし <中巻76丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-11. 諸獣囓傷
: 獣に噛まれる
 └ 猫咬: 猫に咬(かまれ)たる
【用法】薄荷を搗きて汁を取て、傷處に塗べし <中巻87丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-2. 撮口
: ほうづきむし(新生児の臍破傷風/臍腫脹)
 └ 撮口: 其の初め、何事なく啼(なき)て、漸々面色黄赤(ぜんぜんめんしょくきばみあかく)、気促(いきあらく)、啼聲(なきこえ)出ず、舌強(したこわり)て、唇青く、口を撮(つぐみ)て嚢(ふくろ)の口をよせたるが如く、乳を吮わず、或は白き沫を吐、手足冷ゆるは最悪証なり、凡此の証一蝋(ひとしちや)の内に見(あらわ)るれば、十に一生なし 
【用法】小兒の歯齦上を看べし、小泡子(ちいさくふくれたるできもの)ありて其状粟米(あわつぶ)のことくなるべし、急に鍼を以て挑(つけ)て悪血を出すべし、其あとへ薄荷生ならば搗絞りて汁を取り、乾きたるは煎じたる汁にて好墨(よきすずりすみ)を磨(すり)、其兒の母の頭髪少許(すこしばかり)取て、手の指を裹(つつみ)て、件の墨にひたし、口内に擦(すりつけ)べし、後一時程の間乳をのましむべからず <下巻83丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-5. 初生丹毒
:新生児の丹毒
【疾患注釈】初生小兒(うまれたちのしょうに)遍身(そうみ)むらむらと赤くなることあり、是を丹毒とい(俗にはやくさと言)此毒腹に入ば死す 
【用法】緑豆粉二匁半、大黄一匁、生薄荷の汁、少し許に匂(まぜあわせ)て塗べし <下巻87丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-7. 驚風
: 新生児のひきつけ
 └ 急驚風: 牙歯をくひしめ、竄視(うえをみつめ)、手足搐搦(びくつき)、或は反張(そりかえり)、或は壮熱(ねつつよく)、或は熱なくて此の証を発する者あり、且大抵此証を発するときは、わっと叫ぶ聲をあげて目を引きつくる者あり、しかしながら初めより壮熱(ねつつよく)ありてうとうと昏睡(ねむり)、聲をあげずに惟(ただ)手足搐搦(びくびく)して、後に引きつくるもあり、此を急驚風というなり 
【用法】涎潮(たんじょう)甚しきは、鐡粉(やすりこなり)辰砂よくませて薄荷に煎汁にて灌(そそぎ)のませてよし <下巻90丁>
広恵済急方の植物画像

   (原文)

   (訳文)
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関連情報新訂和漢薬
同類生薬セイヨウハッカ葉(ペパーミント・リーフ),ミドリハッカ葉(スペアミント・リーフ)
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp 42-43.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 741, 806.
L3) 新訂 和漢薬
備考- セイヨウハッカ Mentha piperita L. は ミドリハッカ Mentha spicata L. と ウォーターミント Mentha aquatica L. の自然雑種で,世界各地で商業用,園芸用に栽培されている.その葉は代表的なヨーロッパ生薬でセイヨウハッカ葉 (Menthae Piperitae Folium) またはペパーミント・リーフと称し,鎮痙,駆風,利胆薬として胃炎や腸炎,胃腸の疝痛,鼓腸,慢性胆のう病などに応用される.これから得られた精油 (0.5-4%:ペパーミント油) は薄荷から得られた精油よりメントールが少なく,味,香りともに勝るとされる.セイヨウハッカ葉にはmenthofuranが含まれるが,薄荷にはあっても痕跡程度であり,この成分により両者は区別することができる.
- ミドリハッカ葉 (Menthae Crispae Folium) は健胃,駆風薬とされ,これから得られた精油 (0.8%-2.5%:スペアミント油) はペパーミント油と同様うがい薬や菓子類に広く用いられる.この精油の約50%はcarvoneでありmentholは含まれない.
- ハッカはヨーロッパのセイヨウハッカの利用が東漸して中国に伝わり,用いだしたものと考えられている.ハッカはハッカ油 (Oleum Menthae Japonicae) をとるため,北海道で多く栽培されている.
更新日2022/10/28