資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称淞貝
正式名称川貝母
日本語読みせんばいも, Sembaimo
現地読みChuanbeimu
ラテン名Fritillariae Cirrhosae Bulbus (CP)
英語名Tendrilleaf Fritillary Bulb (CP)
原植物名Fritillaria cirrhosa D.Don
原植物科名Liliaceae, ユリ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類鱗茎(球茎)
入手先情報香港, 漢方薬展
入手年月日1966/06/00
TMPW No705

学術情報データベース

一般生薬名川貝母, Chuanbeimu, Fritillariae Cirrhosae Bulbus (CP2020, Tendrilleaf Fritillary Bulb (CP2020)
生薬異名川貝, 松貝, 青貝, 松川貝, 西貝, (炉貝)
生薬画像
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原植物名Fritillaria cirrhosa D. Don., Fritillaria unibracteata Hsiao et K.C. Hsia, Fritillaria przewalskii Maxim.
原植物画像
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原植物科名Liliaceae, ユリ科
薬用部位鱗茎
選品外面が白く,裏面が黄褐色の小さなものが良いとされる(NI).
公定書薬典(2020)
臨床応用鎮咳,去痰,排膿薬として,煩熱,喉痺,目眩,咳嗽,口渇などに応用する.川貝は,潤肺,去痰,鎮咳の作用が強く,元気のない肺燥の咳嗽には川貝を用いる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類化痰薬
薬効[性味] 苦、甘,微寒.
[帰経] 肺、心経.
[効能] 清熱潤肺,化痰止咳,散結消癰.
[主治] 肺熱燥咳,干咳少痰,陰虚労嗽,痰中帯血,瘰癧,乳癰,肺癰に用いる.
成分情報ステロイドアルカロイド Steroidal alkaloids
F. cirrhosa (*C1,C2):
Verticine (Peimine),Verticinone (Peiminine)
青貝 (*C1):
Chinpeimine
白松貝 (*C1):
Sonpeimine
西貝 (*C1):
Sipeimine
F. delavayi (*C3):
Chuanbeinone
白炉貝 (*C1):
Beilupeimine

アルカロイド Alkaloids
F. cirrhosa (*C1):
Fritimine
岷貝 (*C1):
Minpeimine, Minpeiminine

成分 構造式


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薬理作用血圧降下(peimine).
DNA配列AF199454, AF230318
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症咳嗽, 乾咳, 咽痛, 少痰, 喀痰, 口渇, めまい
方剤葦茎合四順湯, 益気養栄湯, 桔梗白散, 滋陰至宝湯, 紫苑散, 四順湯, 清肺湯, 当帰貝母苦参丸, 当帰養血湯, 人参養栄湯 [聖済], 貝母湯, 肺癰湯, 百合固金湯, 養肺湯
同類生薬浙貝母(浙貝),湖北貝母,平貝母,伊貝母
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 71-73.
C2) 生薬学概論,p 336.
C3) CA, 54, 22695 (1960).
備考貝母は種類が多く,主なものには次のものがある.
- 浙貝母 (浙貝) : Fritillaria thunbergii Miq.
- 湖北貝母:F. hupehensis Hsiao et K.C. Hsia
- 川貝母 (川貝) : F. cirrhosa D.Don, F. unibracteata Hsiao et K.C.Hsia, F. przewalskii Maxim.
- 炉貝:F. delavayi Franch.
- 伊貝母 (伊貝) : F. pallidiflora Schrenk, F. walujewii Regel
- 平貝母 (平貝) : F. ussuriensis Maxim.
これらは,『中華人民共和国薬典』にそれぞれ別の条項で収載される(炉貝は川貝母に含まれる).貝母は化痰薬とされるが大きく,浙貝母,湖北貝母のグループと川貝母,炉貝,伊貝,平貝のグループに分けられ,前者は咳嗽の他,瘰癧や癰腫瘡毒にも応用され,後者は陰虚や肺熱の咳嗽に応用される.
日本産貝母は浙貝母と同じアミガサユリ(バイモ)の鱗茎で奈良県で栽培され,「大和貝母」とも称される.烏頭類生薬といっしょに用いてはならない.川貝母の名前は『景岳全書』(1624年)に初見する.
更新日2021/09/27