資料館生薬データベース
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38.418439
115.32664599999998
産地情報
中華人民共和国,河北省安国
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
入手先情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png
学術情報データベース
一般生薬名 | 皂莢, Zaojia, Gleditsiae Fructus Abnormalis (CP2020), Chinese Honeylocust Abnormal Fruit (CP2020) | |||
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生薬異名 | 大皂角,唐皂莢,猪牙皂 | |||
生薬画像 |
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原植物名 | Gleditsia sinensis Lamarck, トウサイカチ | |||
原植物科名 | Leguminosae, マメ科 | |||
薬用部位 | 未熟果実, 成熟果実 | |||
公定書 | 薬典(2020) | |||
臨床応用 | 去痰,利尿薬として,気管支炎の咳嗽,淋疾などに用いる.刺激作用があるので注意を要する.また民間では石鹸の代用,浴湯料に用いる. | |||
医学体系 | 中国医学 | |||
伝統医学的薬効 | 分類 | 化痰薬 | ||
薬効 | [性味] 辛、鹹,温;有小毒. [帰経] 肺、大腸経. [効能] 去痰開窮,散結消胖. [主治] 中風口噤,昏迷不醒,癲癇痰盛,関竅不通,喉痺痰阻,頑痰喘咳,咳痰不爽,大便燥結に用い,癰腫に外用する. | |||
成分情報 | その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives G. japonica (*C1): Mollisacacidin(材/wood) プリン誘導体 Purine derivatives G. japonica (*C1): Triacanthine(葉/leaf) その他 Others G. sinensis (*C1): Gledinin(種子/seed) | |||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 皂莢には比較的強い溶血作用がある.また皂莢の水浸剤(1:3)は試験管内において数種の皮膚真菌ならびに大腸菌,チフス菌,パラチフス菌,緑膿菌,変形菌などグラム陰性菌に対して抑制作用がある. | |||
適応症 | 痰, 咳嗽, 淋疾, 中風, 気管支炎 | |||
方剤 | 希有処方に配合 | |||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-1. 中風: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある └ 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒倒れて口ひらき、手撤(ひらき)、眼を合(ねむり)大便又は小便をもらし、鼻聲鼾(いびき)の如くなるは脱証にて虚候とす、別に療法あり、後條に載たり、実証にも目瞑(ねむり)、大小便をもらす者ありといえども、其口噤手を握るを以て実候とす、虚候は口も手もともに開く、是其証候おのずから同じからざる所なり、若視あやまつときは、療法も亦大に誤る心を用いて診すべし 【用法】暖かい場所で介抱する 皀莢、細辛を等分の粉末とし、鼻の穴に吹き入れてクシャミをださせる <上巻2丁> └【疾患注釈】痰壅不省: 痰が塞がっていて正気ではない状態 【用法】皀莢、らふ子ともに等分を刻んで水から煎じて服せず痰を吐く <上巻4丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-5. 痰厥: 痰が胸につまり気を失う 【疾患注釈】此病は中気(卒に気を失い、歯を食いしばり、目をにらみつけ、且つその身冷えて咽に痰の聲なし)と同じ ただはじめに眩暈ありて、卒に倒れ聲出ず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、歯をくいしめ、目を見つめ息荒し 【用法】大なる半夏十四粒皀莢一條(すじ)刻て水二鐘(はい)入て一鐘(はい)に煎じ生姜汁を入温め服すべし <上巻26丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-9. 恐怖卒死: 物に驚いて目を回す 凡人夕暮れ又は夜中厠にいき、或は郊野へ出て、或は空冷屋室に遊び、又はしらざる所の地に行き、ふと異形のものを見て口鼻の内へ邪悪の気を吸い入れ、たちまち地に倒れ、手脚冷え上がり、両手を握り、面の色青黒く、或は口鼻より清血を流すことあり 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒(にわか)に倒れて無性に成し病人は、聲を立ることなき者なり、惟小児の驚風並に大人の癲癇驚怖(てんかんものおどろき)して気絶するとの三証は、叫聲(わっとこえ)をあぐる也 是を其証拠(しょうことす) 【用法】病人を外へ移し動かすべからず、其所に置て親戚衆人圍繞(しんるいおおぜいうちより)て火を焚き、安息香麝香の類香ある薬を焼き、人の覺(おぼえ)少々出るを待てうごかすべし 先急に半夏の末を鼻孔中(はなのあなのうち)へ管にて吹込或は皀莢の末両鼻中に吹入るよし <上巻34丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-14. 癲癇卒倒: 癲癇の病にて俄に倒れる 【疾患注釈】今迄無事なるに似て、忽わっと聲を発して仆(たおるる)者多し、又聲なくして倒るる者あり、何れも目をすえ、直視、或は上竄(めだまかみつり)て白沫を吐、手足搐搦(びくつき)、目ぶたびくつき、或は偏引(かたかたへひきつり)、揺頭(かしらうごき)、振身(みふるえ)、咬牙(きばをかむ)、或は息絶、脈も絶たるがごとく、口開身やわらかにして死人の如なる者あり、然れどもながきは一時又は半時、短は暫時にして舊(もと)のごとし、醒(さめ)れば夢のごとし、是癲癇の証候なり 【用法】皀莢を煎じたる汁を鼻孔の内へ灌入れるべし、涕唾(はなつば)おおく出て甦、若皀莢なき時は、冷水をおおく鼻へ灌入べし <上巻72丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-15. 血厥: 突然うつ状態になり、動かなくなる 婦人に多い 【疾患注釈】又は鬱冒という 人平居疾なし、たちまち死人のごとくにて動揺(はたら)かず、黙りて人をしらず、婦人に尤もこの証多し 【用法】半夏の末或は皀莢の末を鼻に吹込嚏を取、酢を火盆(ひばち)に傾け入れて、烟を鼻中へ沖入(つきいら)しめてよし <上巻73丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり └ 大怒吐血: 人大いに怒る事ありて後煩熱を発し吐血するものあり、或は胸脇のあたり痛み満悶あり 【用法】南京の焼き物を砕き末にして、皀莢子の煎じ湯にて二銭許(もんめばかり)を服す <中巻6丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-18. 小便急閉: 排尿困難、閉尿となり下腹が満ちる 【疾患注釈】小便にわかに閉じて通ぜず、下腹堅く脹り満ち悶えさわぐ物あり 【用法】皀莢の末を鼻に入れ、嚏(くさめ)を出して良し <中巻47丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-19. 脱頷:頷が外れる 【疾患注釈】人口を大きく開いて笑い、或はあくびをしそこないて頷着かけがねはずれて、口を合わすことならざるなり 【用法】酒を酔う程に飲ませて、眠りたる中に皀莢の末を鼻孔に吹き入れ、嚏(くさめ)をさせて自然になおる <中巻48丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-4. 趺撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬(うちうたれ、たかき所よりおち、おしたおされ、くじき、らくば): 趺撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬: うちうたれ、高き所より落ち、おし倒され、挫き、落馬する 【用法】おおよそ靨打(おしうたれ)れて気絶したるは、其人をして僧の坐禅するが如くに坐(すわ)らしめ、一人は其頭髪を将(もち)て控張(ひきはり)て、半夏の末を鼻孔の中に吹き入るべし、猪牙、皀莢の末、或は胡椒の末を吹きいるも亦よし、嚏(くさめ)をして活却(いきふくかえ)さば、生姜の絞汁に香油(ごまのあぶら)を拌匂(かきまぜ)て灌(のましむ)べし <中巻61丁> 4. 横死の類: 病死以外の死 └ 4-4. 溺死 【用法】白礬の末を鼻孔中に吹き入れ、熬鹽(いりしお)を臍中に擦り付け、猪牙皀莢末にして綿に包み、穀道の中へ納置、釜或は鍋の類を地上に覆置き、其上へ溺人を俯けに臥、溺人の臍と釜の臍とを相合わせて、脚の後(かかと)を少し高くし、手を以て溺人の頭を托ば、口中より自ずから水出て息吹き返すべし、もし口噤みて開かざるは、筋を横にふくませてよし、図と見合わせ見るべし ※後に図有り<下巻10丁> 10. 小児急証: 小児の急病 └ 10-7. 驚風: 新生児のひきつけ └疱瘡初発昏冒(ほうそうのしょはつにひきつくる): 状(かたち)驚風のことくなるあり、混淆(いちがい)にすべからず、其初の証は、呵欠(あくび)いで、噴嚏(くさめ)して耳の尖(とがり)冷(ひゆる)ものなり、扨(さて)昏睡(うとうとねむり)、面赤、顋頬(ほほあご)亦赤し、乍(たちまち)涼乍熱を発するあり、如斯(かくのごとく)して俄に驚風のことく、驚搐(おろどきびくつく)、疱瘡の初候なり 【用法】【搐鼻法(鼻にひねりこむ法)】 半夏の末鼻にひねりこみてよし、皀莢の末を等分に加え、ひねりてよし、嚏(くさめ)いづるをよしとす <下巻92丁> | |||
広恵済急方の植物画像 |
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関連情報 | 新訂和漢薬 | |||
同類生薬 | 皀角子,皀角刺 | |||
参考文献 | CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 248-249. L1) 官準 広恵済急方 L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 143, 291. L3) 新訂 和漢薬 | |||
備考 | トウサイカチ Gleditsia sinensis Lam. の未熟果実を乾燥したものが「猪牙皂」, 「牙皂」, 「小牙皂」, 「眉皂」, 成熟果実を乾燥したものが「皂角」,「大皂角」, 「懸刀」, 「唐皂莢」である.「唐皂莢」と称するものの中には未成熟品もある. かつて「猪牙皂」の原植物は ホソミサイカチ G. officinalis Hemsley とされてきたが,果実の比較から,トウサイカチと ホソミサイカチ は同一種であることが判明した.『証類本草』の付図にはこれを2種として記載している. 日本産のものは サイカチ G. japonica Miq. の成熟果実を乾燥したもの.種子を「皂角子」,幹の刺を「皂角刺」と称し薬用とする. | |||
更新日 | 2022/01/28 | |||