資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称直参
正式名称人参
日本語読みにんじん, Ninjin
現地読みChokujin
ラテン名Ginseng Radix (JP), Ginseng Radix et Rhizoma (CP)
英語名Ginseng (JP), (CP)
原植物名Panax ginseng C. A. Meyer, オタネニンジン, Ginseng
原植物科名Araliaceae, ウコギ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類
産地情報日本, 長野県
入手先情報日本, 大阪府, ㈱栃本天海堂
入手年月日1972/00/00
蒐集者難波恒雄
TMPW No15

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
36.6512986
138.18095570000003
産地情報
日本,長野県
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名人参, Renshen, Ginseng Radix (JP18), Ginseng Radix et Rhizoma (CP2020), Ginseng (JP18), (CP2020)
生薬異名白参, 生干人参, 曲参, 半曲参
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原植物名Panax ginseng C. A. Meyer (Panax schinseng Nees), オタネニンジン
原植物画像
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原植物科名Araliaceae, ウコギ科
薬用部位
選品主根が長く,支根が大きく,根茎(蘆頭)が長いものが良品である.甘みが強すぎるものは品質が劣る(NI).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用強壮,強心,補精,鎮静,健胃,抗疲労薬として広く使用される.胃の衰弱による新陳代謝機能の低下に振興薬として用い,病弱者の胃部停滞感,消化不良,嘔吐,胸痛,弛緩性下痢,食欲不振などに応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類補気薬
薬効[性味] 甘、微苦,微温.
[帰経] 脾、肺、心、腎経.
[効能] 大補元気,復脈固脱,補脾益肺,生津養血,安神益智.
[主治] 体虚欲脱,肢冷脉徽,脾虚食少,肺虚喘咳,津傷口渇,内熱消渇,気血虧虚,久病虚贏,驚悸失眠,陽痿宮冷及び心力(機能)衰,心原性ショックに応用.
成分情報その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
(*C1,C2):
Panaxynol, Panaxydol, Heptadece-1-en-4,6-diyn-3,9-diol

糖質 Sugar
(*C1,C2):
D-Glucose, D-Fructose, Sucrose, Maltose, Trisaccharide A, Trisaccharide B, Trisaccharide C

セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
(*C1,C2):
Panacene, beta-Elemene

トリテルペノイド Triterpenoids
(*C1,C2):
Oleanolic acid, (20S)-Protopanaxadiol, (20S)-Protopanaxatriol

トリテルペン系サポニン Triterpenoid saponins
(*C1,C2,C3):
Ginsenoside Ro, Ginsenoside Ra1, Ginsenoside Ra2, Ginsenoside Rb1, Ginsenoside Rb2, Ginsenoside Rb3, Ginsenoside Rc, Ginsenoside Rd, Ginsenoside Re, Ginsenoside Rf, Ginsenoside Rg1, Ginsenoside Rg2, Ginsenoside Rh, Ginsenoside La(葉/leaves), 24(S)-Pseudoginsenoside F11, Pseudoginsenoside Rc1

ステロイド Steroids
(*C1,C2):
beta-Sitosterol, beta-Sitosterylglucoside

簡単な含窒素化合物 Simple nitrogen containing compounds
(*C1,C2):
Choline

その他 Others
(*C1,C2):
Vitamin B

成分 構造式





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薬理作用水エキス:血糖降下,ケトン体減少,肝RNA合成促進.エタノールエキス:コリン作動性増強,血圧降下,呼吸促進,血糖降下,赤血球増加,消化運動亢進,副腎皮質機能増強.サポニン画分:中枢興奮,抗ストレス,中枢作用(Rb群,鎮静;Rg群,興奮).
DNA配列18SrRNA: D83275(*S1), matK: D89057(*S2), ITS:U41680,U41681,U41682, AB043871, AB043872; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます  訳文画像を表示
適応症疲労感, 虚弱体質, 病後の体力低下, 全身倦怠, 呼吸困難, 息切れ, 口渇, 健忘, 動悸, 不安感
方剤医王湯, 異功散, 胃風湯, 温経湯, 温胆湯, 益気養栄湯, 延年半夏湯, 黄耆別甲湯, 黄連湯, 黄連消毒飲, 解急蜀椒湯, 加減八物湯, 化食養脾湯, 加味温胆湯, 加味帰脾湯, 乾姜黄連黄芩人参湯, 乾姜人参半夏丸, 甘草瀉心湯, 橘皮竹茹湯, 帰脾湯, 逆挽湯, 芎帰補中湯, 九味柴胡湯, 桂枝加芍薬生姜人参湯, 桂枝人参湯, 啓脾湯, 香砂六君子湯, 蒿枕無憂散, 厚朴生姜半夏甘草人参湯, 古今録験続命湯, 呉茱萸湯, 柴陥湯, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 柴胡去半夏加栝楼湯, 柴胡桂枝湯, 柴胡四物湯, 柴芍六君子湯, 柴朴湯, 柴苓湯, 紫苑散, 四逆加人参湯, 四君子湯, 滋腎明目湯(腎気明目湯), 紫蘇和気飲, 七賢散, 七味白朮湯, 炙甘草湯, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 十全大補湯, 春林赫石脂湯, 生姜甘草湯, 生姜瀉心湯, 小柴胡湯, 小柴胡湯加黄連茯苓, 小柴胡合半夏厚朴湯, 正心湯, 小続命湯, 椒梅瀉心湯, 消痞湯, 生脈散, 腎気明目湯, 参蘇飲, 参苓白朮散, 腎疸湯, 清暑益気湯, 生津湯, 清心蓮子飲, 清熱補気湯, 喘四君子湯, 銭氏白朮散, 旋覆花代赭石湯, 壮原湯, 増損木防已湯, 続命湯, 大建中湯, 大桃花湯, 大半夏湯, 大百中飲, 大防風湯, 断痢湯, 治黄胖方, 竹茹温胆湯, 竹葉湯, 竹葉石膏湯, 知母茯苓湯, 中建中湯, 釣藤散, 丁附理中湯, 定喘湯, 当帰湯, 当帰拈痛湯, 独活寄生湯, 内托散 [回春], 内托散 [千金], 女神散, 人参散, 人参湯, 人参養栄湯 [局方], 人参養栄湯 [聖済], 麦門冬湯, 麦門冬飲子, 八味丸合人参湯, 八物湯, 八珍湯, 半夏瀉心湯, 半夏白朮天麻湯, 白虎加人参湯, 茯苓飲, 茯苓四逆湯, 茯苓補心湯, 附子湯, 附子理中湯, 扶脾生脈散加白芨, 補陰湯, 補気建中湯, 補腎湯, 牡丹皮散, 補中益気湯, 補中治湿湯, 奔豚湯 [広済], 奔豚湯 [集験方], 奔豚湯 [小品], 奔豚湯 [深師], 奔豚湯 [肘後方], 奔豚茯苓湯, 木防已湯, 木防已去石膏加茯苓芒硝湯, 六君子湯, 養肺湯, 理中安蛔湯, 理中湯, 六物黄芩湯, 香砂養胃湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-2. 脱陽
:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる
卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也
【疾患注釈】 凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ
【用法】 
・ 早速に神闕気海關元(しんけつきかいかんげん)に灸すること二三百壮すべし、大劑にして獨参湯と用ゆべし、亦膻中の穴に灸すべし、扨隠白百會人中絶骨章門風市(いんはくひゃくえにんちゅうぜっこつしょうもんふうし)等の諸穴に灸すべし、痰強きは参姜湯四支(てあし)厥冷(ひえつよき)には参附湯煎服、汗多出ば人参黄芪煎服す、或は芪附湯煎服す <上巻16丁>
・ 吐瀉の後 脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後参附湯、又汗おおきは芪附湯の類を用ゆべし、かつ気海天樞中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつみ)、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を剉、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海陰交の次(あたり)を是又絶えずのすべし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし <上巻16丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-3. 交接昏迷
: 性交時男子気を失う、精液漏れ
【疾患注釈】男子媾合(さいわいの)過度(かずおおく)婦人の身の上にて気をうしなうことありて、往々死する者あり 
【用法】婦人其侭緊(しっか)と抱住(いだき)て、息を男子の口中へ嘘込(ふきこみ)てやめざるときは少頃(しばらく)して自省(しょうきになる) 省後(しょうきつきてのち)食塩を炒熱し、布か紙に包先気海(臍下一寸五分)を熨(あたためうつ)し、参附湯を煎じ、灌服(そそぎのま)しむべし <上巻21丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-3. 交接昏迷
: 性交時男子気を失う、精液漏れ
 └走陽: (注釈参照)
【疾患注釈】久曠(きゅうこう)の男子又は縦慾(しょうよく)の人、女子と交合(さいわい)し精(いんすい)泄出(もれいで)て止ざるなり、救ざればかならず死す、早く理法を施すべし 
【用法】其婦人緊(しか)と抱定(いだき)て、其陰茎を陰戸より出さず動かさず、其侭(そのまま)にて婦人の息を男子の口中へ呵入(ふきいれ)てやめず、且(そのうえ)會影を指にて緊(しか)と捻住(おしつけ)て放すべからず、精(いんすい)自止、其以後亟(すみやか)になを又童女に命(おしえ)て息を口中へ斷(たえ)ず呵込(ふきこま)せ、扨(さ)て獨参湯を灌ぎのませてよし <上巻22丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-10.霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり
【疾患注釈】不利不已: 腹くだりやまざる
【用法】無性にならんとするは、参附湯姜附湯、又は附子を煎じ、塩一撮(ひとつまみ)入れ攪(かきまぜ)て服すべし <上巻37丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └虚損吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】其人いつとなく気怯(きつかれ)、形色憔悴(けしきやつれ)或は胸懐鬱然(こころもちおもしろからず)、飲食ともに風味なく、腹は饑(へり)ながら食することは不欲(いや)にて、且物に驚き易く、夜快寝ざる等の証、其以前にありて後に忽吐血者あり、又は其以前に数度嘔吐の証、或いは度々泄瀉の証有たる後に卒然吐血、或いは下血事有者あり、是を虚損吐血とす、血の色鮮紅かるべし 
【用法】
人参焙、側栢葉焙、荊芥穂黒焼にして、等分何れも末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)少許を入、新汲水(くみたてのみず)にて和匂(かきまぜ)、稀糊の如して服す <中巻3丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └虚熱吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】患人(病人)面赤く、滑沢(つやつや、うるおい)甚だしく、或は躁悶(もだえさわぎ)、或は喘息して手足厥冷(冷えあがり)、或は小便清澄(すみ)、大便もやわらかに通じ、又は泄瀉し、遂に吐血て止まざるは虚陽の浮泛(うかみあかり)たるなり、血色鮮紅なり、尤大切の証なり
【用法】
獨参湯にて辰砂末五六分を送下すべし <中巻4丁>
人参、黄耆各々一匁水に煎、童子小便を加えて頻(ひたもの)々服してよし <中巻4丁>
参附湯に伏龍肝末となし、服する時點(くわえいれ)攪(かきまぜて)用ゆ最良 <中巻4丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └中暑吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】夏炎熱の節、旅行などして終(つい)に暑毒(しょき)に中(あた)りて吐血する者あり、其証気怯(そのしょうきよわく)、體倦(からだつかれ)、息微かに或は熱し渇つよく、煩悶(いきれもだえ)て吐血するあり
おおよそ何れの吐血にても暴(にわか)に血を吐て湧が如くなる者、或は一口二口よりして一二合、漸々(ぜんぜん)に一升より數斗に至り、気血脱て危(あやうき)ことしばしのまあり、此際(このきわ)に至りては、何れの証にても下に載る所の通理方を用ゆべし 
【用法】急に人参一二匁細末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)一分温水(さゆ)或は井華水(くみたてのみず)、其病人の好処に随(したが)いて和匂(よくかきまぜ)て稀糊(うすのり)のことくして徐々(そろそろ)と服すべし、或は人参一匁濃煎じて用ゆ <中巻8丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-5. 諸失血眩暈
: (注釈参照)
【疾患注釈】吐血、下血、鼻衂、舌衂、歯損(はをぬきてそんじ)血出で、金創など血出ること過多(おびただし)ければ、皆眩暈して昏迷になる事あり 
【用法】出血殊過多、命危は、急に人参一味濃煎じ用ゆべし、或は人参一二匁細かなる末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)一銭(もんめ)、温水(さゆ)に和匂(かきまぜ)、稀糊(うすのり)のことくならしめ、除々(そろそろ)と飲(のま)しむべし <中巻24丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-6. 急喉痺(きゅうこうひ)
: 突然咽喉部が腫れ塞がる
 └肺絶: (注釈参照)
【疾患注釈】急に咽腫塞(はれふさがり)、痰喉に在て響き、聲鼾(いびき)のごとく、面色(おもてのいろ)青惨(あおざめ)たるは肺絶なり、至て危篤(あやうき)なり 
【用法】急に獨参湯を濃煎じ、生姜の絞汁と竹瀝少ずつ加えて、頻(しきり)に服さしむべし、若(もし)遅きときは十人に一人も活すべからず <中巻29丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-8. 真頭痛
: 激しい頭痛と頭痛により手脚の冷えあがる
【疾患注釈】頭痛甚く、脳蓋(のうことごとしく)沈痛、或は連齒(はまで)痛つよく、手足厥冷(ひえあがり)、爪甲(つめこう)の色青く、若(もし)其冷手は肘より上までのぼり、足は膝の上まで冷のぼる者は理しがたし、然(しかれ)ども理法あり、可施(ほどこすべし) 
【用法】速やかに百會の穴に灸すること數十壮、且つ大劑の参附湯などを煎じ、猛(いちがいに)服して死を免れる者あり <中巻31丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└3-1. 金瘡
: 刀や脇差等による切り傷の類
 └金瘡身戦暈絶: (注釈参照)
【疾患注釈】金瘡身ふるえ暈絶(きとおくなり)
【用法】馬糞の汁を絞り、熱湯に和し用いてよし、獨参湯に和し用ゆ、最よし <中巻24丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└3-1. 金瘡
: 刀や脇差等による切り傷の類
 └喉刎人: (注釈参照)
【疾患注釈】咽を刎(はねきり)たる
【用法】先其人を仰臥(あおむけにねか)して枕を高し、頭面まえかぶりにして、刀口開かざる様にすべし、扨(さて)、風を避(よけ)、衣被(いるい)を蓋(おおい)て煖(あたたか)にすべし、若(もし)呼吸(いきづかい)に別条なきは、白米一合、人参一錢(もんめ)、生姜三片入て粥を焚、其粥の清(うわゆ)を啜(すすらせ)て元気を接(つづかせ)補て醫の來(いしゃのきたる)を竢(まつ)べし <中巻56丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└5-6. 蛇入人耳口鼻肛門亦婦人陰門
: 蛇が人体の九窮に入る
【疾患注釈】蛇の窮(あな)に入たる
【用法】蛇出て後、雄黄末を人参の煎じ汁にて吹くべし、又雄黄の末、酒にて服するもよし <下巻33丁>

8. 臨産急証: 出産に関する急病
└8-1. 難産

【疾患注釈】正産(兒の頭正直に出るなり)にして生下(うまれ)かぬるを碍産(がいざん)という、又兒先足を露(あわらす)を逆産とす、又兒先手を露を横産(おうさん)という、又兒母の後(いしき)のかたへ挂(かかり)しを棖後(とうご)という、又兒母の左か右の方へ偏(かたより)、兒の額角(こびんさき)を露(あわらす)を偏産(へんさん)という
【用法】
人参末、乳香末一匁、辰砂五分、鶏子(にわとりのたまご)白(しろみ)一枚(ひとつ)、生姜汁を入攪(かきまぜ)て服すべし <下巻71丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└9-1. 血暈
: 血の道症
 └血脱昏暈(けつだつこんうん): (注釈参照)
【疾患注釈】産の時血脱下(おりくだる)こと既に過多(おびただしく)、気も就所(つくところ)を失い、気血ともに乏昏暈になり、人事を不省(かえりみず)、其面の色白く、眼黒閉て開かず、口を開手足冷、頭傾(うなだれ)、呼吸(いきづかい)寂然(うすら)なるは血脱昏眩暈なり 
【用法】
・ 急人参一二匁を濃煎じ、徐々(そろそろ)と灌ぎ飲(のま)しむべし(此証
人参を用れば、大に害ありと心得るは誤りなり 頓(にわか)に虚したる証人参あらざれば救いがたし) <下巻76丁>
・ 此証人参を用れば、大に害ありと心得るは誤りなり 頓(にわか)に虚したる証人参あらざれば救いがたし)此故に臨産の婦人あらば預(まえびろに)獨参湯を煎じ置て、急に備うべし、さし掛(かかり)ては間に合がたし <下巻76丁>
・ 其症軽きものは人参當歸川芎各一匁水に濃煎じ、童便(こどものしょうべん)を加て用ゆべし、鹿角の黒焼あらば兼用てよし 
人参茯苓一匁ずつ、辰砂五分入て末にし、白湯にて用ゆべし <下巻76丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└9-2. 崩漏
: 産後の大量出血
【疾患注釈】婦人俄(にわか)に陰門より血多出ることあり、脱血(ちおりること)過多(おびただし)ければ、元気接續(とりつづき)がたく、死に至る 急に救べし、産後腹中鳴るもの、崩漏することあるものなり、油斷すべからず 
【用法】麒麟血焼て黒くし、温水(さゆ)にて服すべし、元気乏しくは、獨参湯を用ゆべし <下巻79丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└10-7. 驚風
: 新生児のひきつけ
 └慢驚風: 大抵大病の後、或は大便瀉利、或は吐乳食(ちち、くいものをはく)こと數日の後に俄に昏悶(うっとりとなり)、驚搐(びくつき)、竄視(うえをみつめる)等の証あり
【用法】先大抵艾灸をよしとす、神關気海章門天樞の諸穴に數壮なるべし、扨(さて)熊膽獨参湯にてとき、口へ灌ぐべし、或は手足冷れば、参附湯灌与えべし、醒めて後も右の方を用い、醫の來(医者の来る)を待つべし <下巻91丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬紅参,竹節人参,広東人参,三七人参
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
S1) Biol.Pharm.Bull.,19,1530(1996).
S2) Biol.Pharm.Bull.20,765(1997).
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, p 2.
C2) Chem.Pharm.Bull.,37,1966(1989).
C3) Chem.Pharm.Bull.,34,730(1986).
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬 pp. 203-206.
更新日2022/11/02