資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称蒼茸子
正式名称蒼耳子
日本語読みそうじし, Sōjishi
現地読みCang'erzi
ラテン名Xanthii Fructus (CP)
英語名Siberian Cocklebur Fruit (CP)
原植物名Xanthium strumarium L., オナモミ
原植物科名Compositae, キク科
薬用部位分類植物性生薬
細分類成熟果実
入手先情報香港, 永大行
入手年月日1974/12/25
TMPW No1936

学術情報データベース

一般生薬名蒼耳子, Cang'erzi, Xanthii Fructus (Non-JPS2022, CP2020), Cocklebur Fruit (Non-JPS2022), Siberian Cocklebur Fruit (CP2020)
生薬画像
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原植物名Xanthium strumarium Linn. subsp. sibiricum Greuter1 (Xanthium sibiricum Patrin ex Widder), Xanthium strumarium Linn.2, Xanthium orientale Linn.3, Xanthium orientale Linn. subsp. italicum Greuter4, オナモミ1, マルバオナモミ2, オオオナモミ3, イガオナモミ4, またはそれらの種間雑種
原植物画像
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原植物科名Compositae, キク科
薬用部位成熟果実
公定書薬典(2020)
臨床応用解熱,発汗,鎮痙薬として,風寒頭痛,鼻炎,蓄膿,リウマチ,四肢拘攣などに応用し,またこれを搾った油は疥癬などの皮膚そう痒に用いる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類解表薬
薬効[性味] 辛、苦,温;有毒.
[帰経] 肺経.
[効能] 散風寒,通鼻竅,去風湿.
[主治] 風寒頭痛,鼻塞流涕,鼻塞,鼻渊,風疹痛痒,湿痺拘攣に用いる.
成分情報セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
X. pensylvanicum (*C1):
xanthinin

その他 Others
X. strumarium (*C1):
サポニン,アルカロイドを含むといわれるが,詳細不明
Saponins and alkaloids are said to be contained, but not specified.

薬理作用未詳.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症頭痛, 蓄膿症, 慢性副鼻腔炎, 鼻閉, 鼻汁, 関節痛, リウマチ, ひきつり, 掻痒, 風疹, 疥癬
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

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1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-11. 疔毒昏憒
: 疔の毒により気を失う
【疾患注釈】凡人平居無事にして、暴(にわか)に死る者あり、何故なる事をしるべからざるは、撚紙(こより)に火を點(とも)し死人の遍身(そうみ)を見るべし、若(もし)小瘡(ちいさいできもの)あらば、是疔毒内に入たるなり 面部等の顯(あらわれ)たる所に生たるは、見易き故に知易し、身體手脚(からだてあし)の隠たる所に生じたるは見えがたきゆえ知かたし、故に往々見誤る事あり、又は初発に憎寒壮(さむけつよく)熱ありて、傷寒と會(こころえ)て療理し、救わざるに至る物あり、此証急に救わざれば半日に死す、死て後其屍(そのしかばね)に紫黒の点あるべし、疔毒なり、故に此証緩(ゆるやか)にすべからず 
【用法】
蒼耳一握り生姜三匁一つに搗きつぶして泥のごとくし、生頭酒(きざけ)一椀を入れてよくまぜて絞り、かすをとって燗酒にして服し、汗大いに出づるをよしとす 
緑豆と野菊花を搗きまぜて熱酒に入れ酔うほど飲むべし、疔瘡へは、蒼耳の根苗茎葉共に焼き灰となし、醋あるいは米の研水、あるいはの汁に混ぜ、疔の上に塗るべし、毒の根い出て癒ゆ <上巻50丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
【疾患注釈】蜂蠍螫傷: 蜂やサソリに螫傷(さしやぶら)れる
【用法】蒼耳を揉んで貼べし <中巻75丁>
広恵済急方の植物画像

  (原文)

  (訳文)
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関連情報新訂和漢薬
参考文献Non-JPS2022: 日本薬局方外生薬規格2022. (初収載)
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 250-252.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 222, 223.
L3) 新訂 和漢薬.
備考『中華人民共和国薬典』では Xanthium sibiricum Patr. (正しくは X. sibiricum Patrin ex Widder)が規定される.大井次三郎著『日本植物誌』ではこの学名を オナモミ X. strumarium L. の異名とする.日本産蒼耳子の中には オオオナモミ X. canadense Mill. (= X. occidentale Bertol.) の果実がある.近年北米から帰化した本種が西日本一帯に多くなり,従来の蒼耳子の代用品として出まわっているが,品質はよくない.
更新日2022/10/25