資料館生薬データベース
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産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
36.6512986
138.18095570000003
入手先情報
日本,長野県
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png
学術情報データベース
一般生薬名 | 杏仁, Xingren, Armeniacae Semen (JP18), Armeniacae Semen Amarum (CP2020), Apricot Kernel (JP18), Bitter Apricot Seed (CP2020) | |||||
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生薬異名 | 苦杏仁, 苦北杏仁, 龍王大南杏仁 | |||||
生薬画像 |
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原植物名 | Prunus armeniaca L.1, Prunus armeniaca L. var. ansu Maxim.2, Prunus sibirica L., ホンアンズ1, アンズ2 | |||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Rosaceae, バラ科 | |||||
薬用部位 | 種子 | |||||
選品 | よく肥厚して大粒で,内部が白色のものが良い.外種子を除いて用いる(TN). | |||||
公定書 | 日局18,薬典(2020) | |||||
臨床応用 | 鎮咳,去痰,利水薬として,喘息,咳,呼吸困難,心下膨満,浮腫,腸燥便秘などに応用する. | |||||
医学体系 | 中国医学 | |||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 止咳平喘薬 | ||||
薬効 | [性味] 苦,微温;有小毒. [帰経] 肺、大腸経. [効能] 降気止咳平喘,潤腸通便. [主治] 咳嗽気喘,胸満痰多,腸燥便秘に用いる. | |||||
成分情報 | 脂質 Lipids (*C1): Oleic acidのグリセライド [glyceride] ペプチド Peptide (*C1): Emulsin, 抗炎症性タンパク [protein substance with anti-inflammatory property] 青酸化合物 Cyanogenic compounds (*C1): Amygdalin | |||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 解熱,気管平滑筋弛緩,鎮咳,抗炎症,駆虫,殺菌作用. | |||||
DNA配列 | AF185620; 伝統医薬データベース. | |||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます | |||||
適応症 | 喘息, 咳嗽, 呼吸困難, 多痰, 浮腫, 便秘 | |||||
方剤 | 華蓋散, 加味八脉散, 還魂湯, 橘皮半夏湯, 杏蘇散, 桂枝加厚朴杏仁湯, 桂枝二麻黄一湯, 桂枝麻黄各半湯, 厚朴麻黄湯, 五虎湯, 古今録験続命湯, 紫蘇子湯, 潤腸湯, 潤肺湯, 小青竜合麻杏甘石湯, 小続命湯, 神秘湯, 清肺湯, 続命湯, 大青竜湯, 大続命湯, 治喘一方, 当帰白朮散, 当帰白朮湯, 人参養栄湯 [聖済], 貝母湯, 肺癰湯, 破棺湯, 茯苓杏仁甘草湯, 麻黄湯, 麻黄加朮湯, 麻黄加苓朮附湯, 麻黄連軺赤小豆湯, 麻杏甘石湯, 麻杏薏甘湯, 養肺湯, 苓甘姜味辛夏仁湯, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, キョウニン水, 複方キョウニン・キキョウ水 | |||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-13. 積気暈倒: 胸腹の激痛により目をまわす └ 疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり 【用法】小うい香杏仁末にし葱白少々入温酒にて服す <上巻69丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-11. 卒瘂(そつあ): 突然話すことができなくなる 【疾患注釈】人俄に言語(ものいうこと)ならず、聲いでざるなり 【用法】杏仁三分皮を去、熬(いり)、桂枝一分末にし和(まぜ)、泥のごとくし、無患子程を綿に裹み口中に含み、徐々(そろそろ)嚥下(のみくだす)べし <中巻38丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-11. 諸獣囓傷: 獣に噛まれる └ 瘈狗囓: 瘈(やまい)犬に囓まれたる 【用法】 ・ 急に瘡口(きずぐち)より血を絞り出ること少きは瘡口の四圍を鍼にて刺、血を多く絞出し、次に手のさきならば肘の邉、脚さきならば膝頭より、人に小便をしかけさすべし かわりがわり多くしかくるをよしとす、最其小便瘡口の處へ流かかる様にして洗べし 其あとへ胡桃殻を二つに割、肉を去て、半片の内へ人の糞を填満(つめ)て、傷所へうつむけに掩(おおい)ふせ置、其上へ艾葉を大撚(ひねり)かためて灸すべし 其日百壮灸してよし、艾火柱大なる故、胡桃殻は焼て焦(こが)れ、人糞は乾べし、左あらば幾度も取換て灸すべし、灸の後、杏仁を擂(すり)て、泥のごとくし、べったりと厚塗封(ぬりふうし)、其面を布か木綿の類にて厚つつみ置べし、扨(さて)瘡口より血水など流れ出るをよしとす、翌日、杏仁を去て、又前のごとく灸して後に膽礬を末となし、瘡口へふりかけてつつみ置べし、其後は毎日膽礬を酒にて洗いおとして灸し、灸して後又膽礬を傳(つけ)置事六七日して、血水出止たる時灸を停(やめ)て、膽礬を洗去、再び最前のごとく杏仁を塗てべし 婦人小兒膽礬しみて堪がたくは杏仁を傳(つけ)てよし、葱の白根搗爛(つきくず)して傳(つける)もよしとす <中巻89丁> ・ 内薬は、急に杏仁壹匁、馬銭五分、水二碗入、一碗に煎じて、頻(ひたもの)少しずつ飲(のま)しむべし、多く服すれば煩悶(もがきくる)しむものなり、扨(さて)韭を搗き搾て汁を取、一杯ずつ五六日に一度ずつ服すべし <中巻89丁> ・ 防風、升麻、葛根、甘草各三分、杏仁一匁五分、水茶椀に二杯を一杯に煎服す、最よし、豺狼(やまいいぬ、おおかみ)に囓(かまれ)たるも、此方よし <中巻90丁> 5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類 └ 5-7. 諸物入肉: 棘が刺さる └ 物縫鍼刺: 物縫鍼にかぎらず鍼を刺(たて)てぬけざる 【用法】杏仁搗爛(つきくずし)、車の脂に調(ととのえ)て其上に貼べし、鍼自(おのずと)出 <下巻33丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中小麥毒: 小麥の毒に中(あたり)たる 【用法】山椒、杏仁皆麪(めん)毒を解す <下巻44丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中蕎麥毒: 蕎麦の毒に中(あたり)たる 【用法】 ・ 過食して腹飽(はらはり)満たるには、杏仁を啖(くらえ)ば即消(じきにへる)なり <下巻45丁> ・ 杏仁を搗て服すべし <下巻46丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-4. 中魚介禽獣肉毒: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる └ 中狗肉毒: 狗肉(いぬのにく)の毒に中(あたり)たる 【用法】急に杏仁一二合皮を去て、研りつぶし、水を入れ和匂(まぜ)て、滓を去て汁を服すべし、血片(こりたるち)下りて癒ゆ、或は山査子を加えて煎じ服す、亦よし、或は杏仁一味煎服してよし <下巻59丁> | |||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | |||||
同類生薬 | 桃仁 | |||||
参考文献 | JP18: 第18改正日本薬局方. CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 270-272. L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬 pp. 366-368. | |||||
備考 | 『日本薬局方』では「杏仁」の基源として,ホンアンズ P. armeniaca と変種の アンズ P. armeniaca var. ausu と モウコアンズ P. sibirica L. の種子が規定されているが,『中華人民共和国薬典』では「苦杏仁」の基源としてこれらの他に マンシュウアンズ P. mandshurica (Maxim.) Koehne の種子が規定されている.中国では専ら食用とされる「甜杏仁」を,薬用の「苦杏仁」と分けている.両者は種子の amygdalin の含量に違いがあり,苦杏仁は3~5%, 甜杏仁は0.11%である.この amygdalin は杏仁中に共存している β-glucosidase の emulsin などの作用によって mandelonitrile になり,最終的に benzaldehyde, glucose, hydrocyanic acid を生成する. 「キョウニン水」(杏仁水)はこの benzaldehyde とhydrocyanic acid を主成分とした製剤で,鎮咳,去痰薬とされる.「キョウニン水」は杏仁の脂肪油を除いて水蒸気蒸留を行って製す. Purunus属で同じように amygdalin(約2%)を含む種子類生薬に「桃仁」がある.杏仁は上焦に用い,行気及び水を巡らす作用があり,気滞を伴う便秘に用いるのに対し,桃仁は下焦に用い行血作用があり,血瘀を伴う便秘に用いる. | |||||
更新日 | 2021/09/27 | |||||