資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称胡麻
正式名称胡麻子
日本語読みごまし, Gomashi
現地読みHuma
ラテン名Sesami Semen (JP), Sesami Semen Nigrum (CP)
英語名Sesame (JP), Black Sesame (CP)
原植物名Sesamum indicum L., ゴマ
原植物科名Pedaliaceae, ゴマ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類種子
入手先情報香港, 永大行
入手年月日1974/12/25
TMPW No2021

学術情報データベース

一般生薬名胡麻 (ゴマ油), Huma, Sesami Semen (JP18), Sesami Semen Nigrum (CP2020), Sesame (JP18), Black Sesame (CP2020)
生薬異名黒脂麻, 黒芝麻
生薬画像
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原植物名Sesamum indicum Linn., ゴマ
原植物画像
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原植物科名Pedaliaceae, ゴマ科
薬用部位種子
選品微黄色澄明の液体.0~-5℃で凝固する.臭いがないか,わずかに特異な臭いがある(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用滋養強壮,粘滑,解毒薬として,虚弱体質,病後の回復,便秘などに応用する.また炎症,瘡癰などに外用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類補陰薬
薬効[性味] 甘,平.
[帰経] 肝、腎、大腸経.
[効能] 補肝腎,益精血,潤腸燥.
[主治] 精血欠虚,頭暈眼花,耳鳴耳聾,鬚髪早白,病後脱髪,腸燥便秘に用いる.
成分情報脂肪酸 Fatty acids
(*C1):
Oleic acid, Linoleic acid, Palmitic acid, Stearic acid

リグナンとネオリグナン Lignans & Neolignans
(*C1):
Sesamin, Sesamolin, Sesamol

成分 構造式


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薬理作用未詳.
DNA配列AF067067, AF169853, AJ236041, L14408
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症病後の衰弱, 便秘, 頭のふらつき, 目がかすむ, 耳鳴り, しびれ
方剤消風散
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-1. 中風
: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある 
 └ 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 
【疾患注釈】痰壅不省: 痰が塞がっていて正気ではない状態 
【用法】ごまの油生姜の絞り汁をたらして撹拌し、飲む <上巻24丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-5. 痰厥
: 痰が胸につまり気を失う
【疾患注釈】此病は中気(卒に気を失い、歯を食いしばり、目をにらみつけ、且つその身冷えて咽に痰の聲なし)と同じ ただはじめに眩暈ありて、卒に倒れ聲出ず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、歯をくいしめ、目を見つめ息荒し 
【用法】香油(ごまあぶら)一盞(はい)を喉中へ灌入べし、須曳(しばらくのあいだ)に痰涎を逐出(おいだ)して癒 <上巻26丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-3. 擦壊
: 擦り傷
【疾患注釈】蹴傷(けやぶり)、或は手足、或は面の皮肉を擦壊たる 
【用法】青木の葉を醋にて煮、數沸(すどわか)し、麻油(ごまあぶら)少許を滴入て、其葉取出し、傷處に貼(はりつ)くべし <中巻60丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-4. 趺撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬
: うちうたれ、高き所より落ち、おし倒され、挫き、落馬する
【用法】おおよそ靨打(おしうたれ)れて気絶したるは、其人をして僧の坐禅するが如くに坐(すわ)らしめ、一人は其頭髪を将(もち)て控張(ひきはり)て、半夏の末を鼻孔の中に吹き入るべし、猪牙皀莢の末、或は胡椒の末を吹きいるも亦よし、嚏(くさめ)をして活却(いきふくかえ)さば、生姜の絞汁に香油(ごまのあぶら)を拌匂(かきまぜ)て灌(のましむ)べし <中巻61丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-7. 湯盪火焼
: 火傷の類
【疾患注釈】湯火にて焼(やけ)どせるなり
おおよそ湯火傷、冷水を淋(そそぐ)べからず、一旦は痛止むに似れども、火毒内攻して大(おおい)に害あり 
【用法】生の胡麻を杵(つき)細(こまか)にして、厚く封(つけ)てよし <中巻69丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-9. 人咬傷
(ひとかみやぶらるる): 人に咬まれる
【疾患注釈】おおよそ人に咬まれたるも、亦大に害をなすものなり、病人は殊に害甚だし、若し咬傷(かみやぶら)れなば、速(すみやか)に薬理すべし 
【用法】
龜の甲を焼て灰となし、香油(ごまのあぶら)に匂(まぜ)て付けてよし、龜の代に鼈の甲もよし <中巻73丁>
・ 熱人屎(ひとのしょうべん)にてよくよく傷處を洗い、其あとへ生栗子を嚼(かみ)て、咬処(かみたるところ)に敷貼(ぬりつけ)てよし、痛強きは、麻油(ごまあぶら)を紙撚(こより)に塗て火を點(ひをつけ)、焔(ほのお)にて薫(ふすべ)てよし 又は人の乾を胡桃殻を割て半片につめて咬(かまれたる)所に覆置て、殻の上より艾にて灸すべし、痛ざるに至て止む <中巻73丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
 └ 蛟豹脚刺: 蚊は夜出て人をさす、豹脚(やぶか)はひる出脚斑なり
【用法】刀豆の葉を揉て、其處(ところ)に貼べし、又樟脳焔硝香油に和(まぜ)て傷所に塗べし、又熱湯に漬(ひたす)べし、痛痒即止(やむ) <中巻79丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-11. 諸獣囓傷
: 獣に噛まれる
 └ 瘈狗囓: 瘈(やまい)犬に囓まれたる
【用法】總(すべ)てやまい狗に囓まれたる人、嚴しく禁忌を守るべし 其法毎日灸する時風を避くべし、風瘡口(きずぐち)より入れば、變じて急症となる、慎むべし、扨次の食品を謹て喫(くらう)べからず 
赤小豆、蕎麦は三年間食すべからず 胡麻、麻人(あさのみ)、索麪(そうめん)、芋、魚類川魚類最も忌むべし 油あげの類、一切酢の物、青梅わけてあしし(以上、百日の間食うべからず)、酒(一年間飲べからず)、犬肉(終身食すべからず) <中巻91丁>
 
5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-2. 諸物入耳中
: 諸物耳に入る
【疾患注釈】蚰蜒(げじげじ)、蜈蚣耳に入たる
【用法】胡麻を熬(いり)てちゃぶくろの中に貯(いれ)て枕となすときは、蟲其香を聞て自ら出 <下巻20丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-3. 誤呑銅鉄物
: 誤って銅(あかがね)、鉄(てつ)のものを呑む
 └ 誤呑銭并銅鉄物: 誤って銭ならびに銅(あかがね)、鉄(てつ)のものを呑む
【用法】葧臍(くろくわい)、蠶豆(そらまめ)と同く煮食よし、又生にて擦(すり)多食べし、香油に調(まぜ)服(のむ)最よし <下巻23丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-1. 中諸薬毒
: 諸薬の毒にあたる
 └ 中附子烏頭毒: 附子烏頭の毒に中(あたり)たるなり
【用法】若(もし)吐て止(やま)ざるは、香油少許(ばかり)を灌飲(そそぎのま)しめてよし <下巻39丁>
 └ 中鉛粉毒: 鉛粉(とうのつち)の毒に中(あたり)たる
   【用法】麻油蜂蜜を和(まぜ)、飴糖(みずあめ)を加えて服す、毒即解す <下巻41丁>
 └ 中砒霜毒: 砒霜毒にあたるなり 砒毒に中(あたり)たる人には湯茶を興べからず、仰臥(あおむけ)すべからず
   【用法】香油を其侭(そのまま)飲、吐(と)してよし <下巻41丁>
 └ 中野葛毒: 野葛の毒に中(あたり)たる 山野に有り、和名つたうるし、蔓草なり 其藤色(つるいろ)赤節高(あかくふしたか)く、節の所ごとに葉三つ、付て葛の葉に似て厚く光あり、節の間に花を開く 細にして黄なり、蔓を切ば汁出ず、人の身に付ば體(からだ)かぶれ痛痒(いたみかゆみ)をなし誤って食えば人を殺す
   【用法】野葛の毒に中(あた)り、口開かざるものは、香油(ごまのあぶら)に人糞を和(まぜ)て飲べし <下巻42丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-2. 中諸穀菜毒
: 穀類や野菜の毒にあたる
 └ 中諸野菜毒: 諸々の野菜毒に中(あた)りたる
   【用法】香油を多飲てよし <下巻46丁>
 └ 中竹筍毒: 竹の子の毒に中(あた)れば、腹大(おおい)に緊満(きびしくはり)て、手を近づくべからず
   【用法】急に蕎麦の殻を煮、汁を取、多く飲むべし、生姜胡麻亦よく、毒を解す <下巻47丁>
中胡椒毒: 胡椒の毒に中(あたり)、むせて気絶んとする
   【用法】香油(ごまのあぶら)を口中へ灌入べし <下巻47丁>
 └ 多食銀杏: 銀杏を多食して、小便閉て身腫
   【用法】香油(ごまのあぶら)を多飲てよし <下巻47丁>
 └ 中菌蕈類毒: 菌蕈(きのこ)の類の毒にあたる
   【用法】・ 香油(ごまのあぶら)を多飲てよし <下巻48丁>
   ・ 甘草麻油(ごまのあぶら)に煎じ服すべし <下巻49丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-4. 中魚介禽獣肉毒
: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる
 └ 中毒通療: ものにあたりおしなえて治す
【用法】香油(ごまのあぶら)を多飲てよし <下巻61丁>

8. 臨産急証: 出産に関する急病
└ 8-1. 難産

 └ 盤腸産: 臨産先子腸(さんせんとしてまずはらわた)出で後、其腸収(おさまら)ず 
【用法】太紙撚(ふといこより)を麻油(ごまのあぶら)に浸し、潤て燈(ひ)を点(つ)けて吹滅(ふきけし)、其烟(けむり)にて産母の鼻の孔を董(いぶす)べし、即収(おさま)る <下巻73丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-5. 初生丹毒
:新生児の丹毒
【疾患注釈】初生小兒(うまれたちのしょうに)遍身(そうみ)むらむらと赤くなることあり、是を丹毒とい(俗にはやくさと言)此毒腹に入ば死す 
【用法】麻油を塗てよし <下巻88丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 278-279.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考白胡麻と黒胡麻があるが,一般には黒胡麻が薬用にされる.種子から得た脂肪油がゴマ油.
アーユルヴェーダでは各種の油薬(タイラ)の基剤として多用される.
更新日2021/09/27