資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称冬葵子
正式名称冬葵子
日本語読みとうきし, Tōkishi
現地読みDongkuizi
ラテン名Abutili Semen (CP)
英語名Chingma Abutilon Seed (CP)
原植物名Abutilon theophrasti Medic., イチビ
原植物科名Malvaceae, アオイ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類種子
入手先情報, 薬園栽培品
TMPW No2166

学術情報データベース

一般生薬名冬葵子, Dongkuizi, Abutili Semen (CP2020), Chingma Abutilon Seed (CP2020)
生薬異名莔麻(ぼう麻)
生薬画像
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原植物名Abutilon theophrasti Medicus, イチビ
原植物画像
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原植物科名Malvaceae, アオイ科
薬用部位種子
公定書薬典(2020) "苘麻子"
臨床応用利尿,緩下,催乳薬として,小便不利,便秘,水腫,淋病および乳汁の分泌促進に応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類利水滲湿薬
薬効[性味] 苦,平.
[帰経] 大腸、小腸、膀胱経.
[効能] 清熱解毒,利湿,退翳.
[主治] 赤白痢疾,淋証渋痛,癰腫瘡毒,目生翳膜に用いる.
成分情報脂肪酸関連化合物 Fatty acids related compounds
(*C1):
脂肪油を含むが詳細は不明
Fat oil is contained, but details are not clear.

薬理作用未詳.
適応症小便不利, 乳汁分泌不全, 便秘, 水腫, 淋疾
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└ 5-3. 誤呑銅鉄物
: 誤って銅(あかがね)、鉄(てつ)のものを呑む
【用法】冬葵の絞汁を其侭(そのまま)多飲みてよし <下巻24丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-2. 中諸穀菜毒
: 穀類や野菜の毒にあたる
 └ 中山椒毒: 山椒の毒にあたる
【用法】冬葵の根を掘採、洗浄(あらいきよめ)て嚥下(かみくだし)て良 <下巻48丁>

8. 臨産急証: 出産に関する急病
└ 8-1. 難産

 └ 胞衣不下(えなおりざる): 兒生下時(こうまれるとき)、看生人(かいほうにん)産母の胸前をしかと抱き、産婦も亦自分にて肚腹を緊(きびしく)抱くべし、胞衣下る 
【用法】牛膝二匁、冬葵子一匁、水に煎じ服す <下巻74丁>
広恵済急方の植物画像

  (原文)

  (訳文)
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関連情報新訂 和漢薬
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 325-326.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 625, 778.
L3) 新訂 和漢薬.
備考シマイチビ Abutilon indicum Sweet の種子も用いられる可能性がある.四川省では 「苘麻子」 ,山西省では 「葵子」 と称する.本植物はインドでは古くから,種子のみでなく,葉,茎,根も薬用としている.
古来冬葵子はアオイ科(Malvaceae)のフユアオイ Malva verticillata L. の種子を正條品とすべきである.しかし,今日市場の冬葵子は Malva属のものではなく,すべてイチビ A. theophrasti の種子である.この植物は,「莔麻(ぼう麻)」と称し『新修本草』に「苘実」として初めて収載されたもので,以来本種の種子が用いられている.今後この「苘麻子」が「冬葵子」の代用となりうるかどうかは研究すべき課題である.中華人民共和国薬典(2020)には「苘麻子」として A. theophrasti の種子が収載されている.
更新日2022/02/01