資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称蒲黄
正式名称蒲黄
日本語読みほおう, Hoō
現地読みPuhuang
ラテン名Typhae Pollen (CP)
英語名Cattail Pollen (CP)
原植物名Typha angustifolia L.1, Typha latifolia L.2, ヒメガマ1, ガマ2, 他
原植物科名Typhaceae, ガマ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類花粉
入手先情報香港, 永大行
入手年月日1972/12/25
TMPW No2315

学術情報データベース

一般生薬名蒲黄, Puhuang, Typhae Pollen (CP2020), Cattail Pollen (CP2020)
生薬画像
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原植物名Typha angustifolia Linn.1, Typha latifolia Linn.2, Typha orientalis Presl.3, Typha davidiana Handel-Mazzetti, ヒメガマ1,ガマ2,コガマ3
原植物画像
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原植物科名Typhaceae, ガマ科
薬用部位成熟した花粉
選品特異臭があり,全質一様に深黄色を呈するものが良い.色相が淡かったり濃くても不均等なものは悪い(NI).
公定書薬典(2020)
臨床応用止血,通経,利尿薬として諸出血症,小便不利,血滞経閉,産後の痛み,心腹痛,血淋,打撲症,癰腫などに応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類止血薬
薬効[性味] 甘,平.
[帰経] 肝、心包経.
[効能] 止血,化瘀,通淋.
[主治] 吐血,衄血,喀血,崩漏,外傷出血,経閉痛経,胸腹刺痛,打撲腫痛,血淋渋痛に用いる.
成分情報脂肪酸 Fatty acids
T. angustifolia 花粉/pollen (*C1):
Palmitic acid, Stearic acid

その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
T. angustifolia 花粉/pollen (*C1):
Pentacosan

単糖類 Monosaccharides
T. latifolia 花粉/pollen (*C1):
Glucose, Fructose, Rhamnose, Xylose, Arabinose

少糖類 Oligosaccharides
T. latifolia 花粉/pollen (*C1):
Kojibiose, Nigerose, Maltose, Isomaltose, Sucrose, Turanose, Leucrose, Maltotriose, Raffinose,オリゴ糖/ oligosaccharides

ステロール Sterols
T. angustifolia 花粉/pollen (*C1):
beta-Sitosterol

フラバノンとジヒドロフラボノール Flavanones & Dihydroflavonols
T. angustifolia 花粉/pollen (*C1):
Isorhamnetin glycosides

成分 構造式

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薬理作用未詳.利尿作用,止血効果 (フラボノイド).
DNA配列X84147
適応症出血, 吐血, 鼻血, 経閉, 喀血, 胃痛, 腹痛, 外傷出血, 打撲, 小便不利
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-3. 歯衂舌衂
: 歯より血出るなり、舌より血出るなり
 └ 歯衂: 齒縫齦(はのすき はぐき)との間より血出るなり
又は、齒を抜き血出て不止 おおよそ人口より血出て、吐血か齒衂か分ち難は、涼水(ひやみず)に漱(くちすすぐ)べし、血頃(しばしの間)止むは齒衂也、止ざるは吐血也 
【用法】蒲黄(池沼に生ずる蒲の穂に有る黄色なる粉なり)炒焦、末となし付くべし <中巻20丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-17. 舌卒腫大
: 突然舌腫大になる
【疾患注釈】人舌卒に腫、大になりて口中に満(みつる)者あり 
【用法】生蒲黄を塗べし、少許(すこしばかり)乾姜の末を加え、最よし <中巻45丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-1. 金瘡
: 刀や脇差等による切り傷の類
 └ 刀割、斧、夾剪、鑓箭一切諸傷癜: 刀にてきり、斧にてきり、夾剪にてきり、鑓やいっさいもろもろのきず
【用法】蒲黄、傳(つけ)てよし <中巻57丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-2. 舌断
: 舌を切る
【疾患注釈】大人小兒偶(ふと)小刀を含、誤て舌頭を割斷(きりたち)、己(やがて)垂落(さがりおち)たりともいまだ斷(きれ)きらざる 
【用法】跌仆(つまずきたお)れて舌を突斷(きりたち)血出で、或は不覺(おぼえず)自咬傷(かみやぶり)て血不止(ちやまざる)は、ともにとりのはねを米醋にひたし、頻(ひたもの)に傷處を刷(はらう)べし、血自止、仍(よって)蒲黄に和(まぜ)てふくみてよし <中巻60丁>

7. 婦人産前急証: 妊婦の産前に関する急病
└ 7-1. 胎動

【疾患注釈】妊娠の婦人、胎気和(たいのきか)せず、或は夫の為に困(くるしめ)られ、胎動して腹痛絶入(たえい)らんとするは、胎動と名づく、其証腰より小腹(したはら)へかけ痛て、心(むね)へ搶(つき)あけ急に救(すくわ)ざれば堕胎(たいおと)す、或は産門より血下る
【用法】妊婦八九个月(かげつ)の頃、腹内動いて子生(うまれん)とするは 蒲黄二匁、新汲(くみたての)水にて服すべし <下巻63丁>
7-2. 胎漏: 産門からの出血
【疾患注釈】懐妊の婦人、卒(にわか)に産門より血下る事あり 若(もし)房事(ぼうじ)を犯て血下るを、真胎漏と名づく、總(すべ)て此証は腹痛なし、急に理(じ)せざれば胎を堕(おとす)に至べし、尿孔より血下るは、又別なり 
【用法】蒲黄一匁白湯にて用べし <下巻65丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└ 9-2. 崩漏
: 産後の大量出血
【疾患注釈】婦人俄(にわか)に陰門より血多出ることあり、脱血(ちおりること)過多(おびただし)ければ、元気接續(とりつづき)がたく、死に至る 急に救べし、産後腹中鳴るもの、崩漏することあるものなり、油斷すべからず
【用法】蒲黄二両、水に煎じ服す <下巻80丁>
広恵済急方の植物画像

   (原文)

   (訳文)
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関連情報新訂和漢薬
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. Ⅱ, pp 116-117.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2) pp. 444, 546.
L3) 新訂 和漢薬.
備考その他 Typha minima Funk. も用いる.市場品は主にヒメガマとガマの花粉である.中国市場には花粉に葯や花糸の混入された 「草蒲黄」 がある.韓国産蒲黄はコガマ T. orientalis Presl. の花粉である.『古事記』に所出する出雲神話「因幡の白兎」の伝説も,この蒲黄を止血,傷薬に用いている.
更新日2023/09/27