資料館生薬データベース

※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
生薬名

入手時名称青黛
正式名称青黛
日本語読みせいたい, Seitai
現地読みQingdai
ラテン名Indigo Naturalis (CP), Indigo Pulverata Levis
英語名Natural Indigo (CP)
原植物名Polygonum tinctorium Lour., アイ
原植物科名Polygonaceae, タデ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類エキス
入手先情報香港, 隆泰貿易行
入手年月日1972/00/00
TMPW No2849

学術情報データベース

一般生薬名青黛, Qingdai, Indigo Naturalis (CP2020), Indigo Pulverata Levis, Natural Indigo (CP2020)
生薬画像
More
※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
原植物名Indigofera tinctoria Linn., キタイ,タイワンコマツナギ
原植物画像
※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
原植物科名Leguminosae, マメ科
薬用部位エキス
公定書薬典(2020)
臨床応用解熱,消炎,止血,解毒薬として,小児の驚癇疳熱,失血,腫癰などに応用する.また口舌瘡,扁桃腺炎,喉頭炎,歯齦炎,悪瘡,蛇虫咬傷などに外用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類清熱解毒薬
薬効[性味] 鹹,寒.
[帰経] 肝経.
[効能] 清熱解毒,涼血消斑.
[主治] 温毒発斑,血熱吐衄,胸痛咳血,口瘡,耳下腺炎,喉痺,小児驚癇に用いる.
成分情報インドール系アルカロイド Indole alkaloids
I. tinctoria, P. tinctorium (*C1):
Indican, Indoxyl, Indigo (以上葉/ leaf)

成分 構造式

※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
薬理作用青黛のエタノールエキスは,試験管内で炭疽杆菌,肺炎杆菌,志賀痢疾杆菌,黄色ブドウ球菌などに対して抑制作用がある.しかし一方チフス菌,ブドウ球菌,結核菌に対し抑制作用はないという実験結果もあり,実験結果が一致しないが,実験に供した青黛の品質,溶媒の違いによるものであろう.臨床的に鼻血に外用して有効であったという報告もある.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症発熱, 出血, 扁桃炎, 耳下腺炎, 歯齦びらん, 蛇虫咬傷
方剤希有処方に配合
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 実熱吐血: 吐血口渇て水を飲事好み、或は咽痛、燥煩(もがきさわぎ)、大便かたく、或は閉て通ぜず、小便の色赤くして熱く、或は頭痛する者は実熱吐血とするなり
【用法】青黛二銭新汲(くみたての)水にて服すべし <中巻5丁>
 └ 大怒吐血: 人大いに怒る事ありて後煩熱を発し吐血するものあり、或は胸脇のあたり痛み満悶あり 
【用法】青黛二匁、新汲(くみたての)水にて調(まぜ)服すべし <中巻6丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└ 3-10. 諸蟲咬傷
: 諸々の虫に刺される/咬まれる
 └ 蟲咬(何の蟲知らず): 蟲(何の虫かわからない)に咬傷れる
【用法】青黛雄黄の末、水に調塗(まぜぬり)てよし <中巻80丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-4. 中魚介禽獣肉毒
: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる
 └ 中毒通療: ものにあたりおしなえて治す
【用法】葉もみ汁を服てよし、青黛(あいろう)も亦よし <下巻60丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-7. 驚風
: 新生児のひきつけ
疱瘡初発昏冒(ほうそうのしょはつにひきつくる): 状(かたち)驚風のことくなるあり、混淆(いちがい)にすべからず、其初の証は、呵欠(あくび)いで、噴嚏(くさめ)して耳の尖(とがり)冷(ひゆる)ものなり、扨(さて)昏睡(うとうとねむり)、面赤、顋頬(ほほあご)亦赤し、乍(たちまち)涼乍熱を発するあり、如斯(かくのごとく)して俄に驚風のことく、驚搐(おろどきびくつく)、疱瘡の初候なり 
【用法】青黛水に調(まぜ)服さしむ <下巻92丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└ 10-8. 走馬牙疳
: 歯茎がただれ、歯が落ちる
【疾患注釈】齒齦(はぐき)損爛(くずれただれ)、或は腫紫黒色(くろむらさきいろ)に成、齒縫(はのはえぎわ)より鮮血出、口内臭気あり、毒深(つよき)は臭気も亦つよし 身に熱あり、甚しきは齒落、唇鼻顋(えら)頬までも攻蝕(かけとれ)て脱去(おちる)に至る、遅ときは死に至る おおよそ疱瘡麻疹(ほうそうはしか)、或は熱病時毒等患いたる後、息臭、口中臭気あるは、其毒消鮮せさるなれば早く良醫(よきいしゃ)を迎(よび)て療理を請べし、延握(のびのびに)すれば此病となる、可恐(おそるべし) 
【用法】
麝香黄檗青黛雄黄、末となし、ふりかくべし、若し患處(あしきところ)、既蝕損死肌(もはやかけくされ、しにく)有、綿を筋様の物の端へ纏、薬をひたして、蝕損(かけ)たる死肉へ擦却(すりつけ)て、且軟帛(やわらかいわた)にて悪血を拭去りて、右の薬をふりかけべし、此薬を用て効(しるし)なきは、定粉(女子の用いる「おしろい」なり、薬店にては「唐土(とうのつち)」と云う)半両を加え、同じく研りて用ゆべし、用様は前の方と同じ <下巻94丁>
大黄青黛、乾地黄、刻て煎じ服す、或は末となし、白湯にて調(ととの)え服す、又よし <下巻94丁>
関連情報新訂和漢薬
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. Ⅱ, pp 229-230.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬.
備考 マメ科/Leguminosae の キアイ, タイワンコマツナギ Indigofera tinctoria L. (木藍), キツネノマゴ科/Acanthaceae の リュウキュウアイ Strobilanthes cusia (Nees) O. Kuntze = S. flaccidifolius Nees; Baphicacanthes cusia Bremek.; Goldfussia cusia Nees (馬藍), タデ科/Polygonaceae の アイ Polygonum tinctorium Lour. (蓼藍), アブラナ科/Curciferae の ターチン (大青) Isatis indigotica Fortune および タイセイ Isatis tinctoria L. (菘藍) の茎葉を採集し, 水に2~3昼夜浸し葉が枝から自然と落ちる頃,枝を引き上げ,石灰を原料の約1/10加え,充分攪拌し,液が深紫紅色になったとき, 液面に浮いた藍色の泡沫をすくい取り乾燥したものが最良品である.
 泡沫が減少すれば攪拌を中止して2~3時間放置し, 沈澱物を濾過してから再び攪拌すると, 再び泡沫が液面にできるが, これをすくい取って乾燥したものが次品である.沈澱物を乾燥したものを「靛藍(てんらん)」と称する.
 一般に原料250㎏からてん藍60㎏,青黛はわずかに500~600gが生産される.原料とする植物は生産地によって異なり,福建省では Indigofera tinctoriaStrobilanthes cusia, 江西省では Indigofera tinctoria, 河北省では主に Polygonum tinctorium, 雲南省では Strobilanthes cusia, 江蘇省では Isatis tinctoria を原料としている.それゆえ製造した色素は同一であるが, その品質には差異がある.
更新日2022/03/11