資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称カンキョウ [NIB-790]
正式名称乾姜
日本語読みかんきょう, Kankyō
現地読みGanjiang
ラテン名Zingiberis Rhizoma Processum (JP), Zingiberis Rhizoma (CP)
英語名Processed Ginger (JP), Zingiber (Dried Ginger) (CP)
原植物名Zingiber sp.
原植物科名Zingiberaceae, ショウガ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類根茎
産地情報中華人民共和国, 四川省
入手先情報日本, 茨城県, 国立研究開発法人医薬基盤健康栄養研究所
入手年月日2014/6/2
蒐集者小松かつ子
備考【厚生労働科学研究検討用試料】 [NIB-790] 原形, 入手年: 1990年頃, 送付日: 2014/06/02
TMPW No29539

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
30.572815
104.06680099999994
産地情報
中華人民共和国,四川省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
36.3418112
140.4467935
入手先情報
日本,茨城県
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名乾姜, Ganjiang, Zingiberis Rhizoma Processum (JP18), Zingiberis Rhizoma (CP2020), Processed Ginger (JP18), Zingiber (Dried Ginger) (CP2020)
生薬画像
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原植物名Zingiber officinale Roscoe, ショウガ
原植物画像
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原植物科名Zingiberaceae, ショウガ科
薬用部位根茎(蒸乾したもの)
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用腹冷痛,腰痛,瀉下などに用いる.漢方では裏寒の証に応用する.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類温裏薬
薬効[性味] 辛,熱.
[帰経] 脾,胃,腎,心,肺経.
[効能] 温中散寒,回陽通脈,温肺化飲.
[主治] 脘腹冷痛,嘔吐泄瀉,肢冷脈微,寒飲喘咳に用いる.
成分情報その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds
(*C1):
Methylheptenone, Nonylaldehyde

モノテルペノイド Monoterpenoids
(*C1):
beta-Phellandrene, Camphene, Citral, Linalool, d-Borneol, Farnesene, alpha-Terpineol, Nerol, Sabinene, 1,8-Cineol, Myrcene

セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
(*C1):
Zingiberol, alpha-Zingiberene, alpha-Bisabolene, beta-Bisabolene, gamma-Bisabolene, alpha-Curcumene, beta-Curcumene, Zerumbone

その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives
(*C1):
Hexahydrocurcumine, Dihydrogingerol, Desmethylhexahydrocurcumine, Zingerone, Shogaol, [6]-Gingerol, [8]-Gingerol, [10]-Gingerol, Dehydrogingerone

成分 構造式





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薬理作用中枢抑制([6]-gingerol,[6]-shogaol).鎮痛([6]-shogaol).プロスタグランジン生合成阻害([6]-gingerol,[6]-dehydrogingerone).鎮痙(精油).伝導麻酔(水エキス).抗腫瘍(水エキス).嘔吐抑制(生姜汁).
DNA配列AF202418, AF254460, U42081, L05465, AJ388298; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症腹が冷えて痛む, 下痢, 嘔吐, 四肢の冷え, 脈が微弱, 咳嗽, 呼吸困難, 多痰
方剤医王湯, 胃苓湯, 烏頭赤石脂丸, 温脾湯, 黄連湯, 解急蜀椒湯, 乾姜黄連黄芩人参湯, 乾姜人参半夏丸, 乾姜附子湯, 緩痃湯, 甘草乾姜湯, 甘草瀉心湯, 寛中湯, 芎帰調血飲, 芎帰補中湯, 桂枝人参湯, 桂枝附子湯, 鶏鳴散加茯苓, 厚朴麻黄湯, 古今録験続命湯, 五積散, 柴胡桂枝乾姜湯, 四逆湯, 四逆加人参湯, 梔子乾姜湯, 正観湯, 正気天香湯, 生姜瀉心湯, 小青竜湯, 小青竜加石膏湯, 小青竜合麻杏甘石湯, 椒梅湯, 椒梅瀉心湯, 升陽散火湯, 正観湯, 清熱解鬱湯, 千婚湯, 壮原湯, 続命湯, 大建中湯, 大三五七散, 大続命湯, 大桃花湯, 大防風湯, 断痢湯, 治頭痛一方, 中建中湯, 駐車圓, 中正湯, 丁香茯苓湯, 丁附理中湯, 通脉四逆湯, 当帰湯, 人参湯, 貝母湯, 八味丸合人参湯, 八珍湯, 半夏乾姜散, 半夏瀉心湯, 半夏白朮天麻湯, 反鼻交感丹, 茯苓四逆湯, 附子理中湯, 巫神湯, 補腎湯, 奔豚湯 [広済], 奔豚湯 [深師], 蔓荊子散, 理中安蛔湯, 理中湯, 苓甘姜味辛夏湯, 苓甘姜味辛夏仁湯, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, 苓甘五味姜辛湯, 苓姜朮甘湯, 六物黄芩湯, 風引湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10. 霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
 └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり 
【用法】
呉茱萸乾姜二味等分に煎じ服さしむ <上巻36丁>
・ 嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざるは、半夏一味煎じ生姜の絞り汁入服す、呉茱萸乾姜の二味もよし、且(そのうえ)中脘に灸すべし 間使の穴(かんしのあな)に灸するもよろし  <上巻37丁>
 └ 乾霍乱: 忽然(たちまち)心下(むなさき)つかえかたく腹肚(はら)はりしぼるように痛堪がたく漸々に煩躁擾亂(もがきさわぎ)、吐んとして吐ず、瀉(くだ)さんとして瀉さず、手足逆冷(ひえあがり)冷汗出、胸膈(むね)かたく起(おこ)りふさがり、頃刻(しばらくのうち)に命危証なり 
【疾患注釈】痛強く死なんとする
【用法】巴豆皮を去、少炒り、研爛(すりつぶし)、唐大黄乾姜の末各一匁にまぜ、大豆許を三四つほど煖湯(さゆ)にて用ゆべし、暫して吐下ありて癒ゆ <上巻49丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 虚損吐血: 其人いつとなく気怯(きつかれ)、形色憔悴(けしきやつれ)或は胸懐鬱然(こころもちおもしろからず)、飲食ともに風味なく、腹は饑(へり)ながら食することは不欲(いや)にて、且物に驚き易く、夜快寝ざる等の証、其以前にありて後に忽吐血者あり、又は其以前に数度嘔吐の証、或いは度々泄瀉の証有たる後に卒然吐血、或いは下血事有者あり、是を虚損吐血とす、血の色鮮紅かるべし
【用法】乾姜黒く炒り末となし、童子小便に調え服す <中巻4丁>
2-9. 心腹卒痛: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 寒痛: 綿々(だらだら)といつまでも斷間(たえま)なく痛み、胸すきて飢がごとく、按(おし)て快(こころよ)く、大便泄痢或は下重(いけみ)あるは寒痛なり、俗に冷蟲と言 此証最灸して良、中脘、天枢、気海、見許(みはから)い、灸すべし
【用法】干姜末となし、白湯にて服すべし <中巻33丁>
2-12. 懸壅垂長: 突然口蓋垂腫れる
【疾患注釈】おおよそ人咽喉(のど)の前、上顎より垂れる肉あり、俗にひこと云、此ひこ暴(にわか)に腫垂長(はれたれなが)くなりて、咽喉に妨悶(さしさわり)をなす事あり、是懸壅垂長と云なり 懸壅とはひこのことなり 
【用法】乾姜半夏、二味末となし、舌に着けて嚥(のむこみ)てよし <中巻40丁>
2-17. 舌卒腫大: 人舌卒に腫、大になりて口中に満(みつる)者あり 
【用法】生蒲黄を塗べし、少許(すこしばかり)乾姜の末を加え、最よし <中巻45丁>

4. 横死の類: 病死以外の死
└ 4-4. 溺死
: 水にはまりて死するなり
【用法】水を吐盡(はきつく)して、老薑(ふるしょうが)を擦りて牙齒に塗り白礬(みょうばん)を末にして、管を以て鼻孔中へ吹き入るべきなり、白礬なきときは、醋を多く鼻孔に灌ぎ入てよし、甦(よみがえり)て後、臍中に二三百宋灸すべし <下巻11丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬生姜,炮姜(「備考」参照)
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 116-118.
L1) 官準 広恵済急方.
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2).
L3) 新訂 和漢薬 pp. 551-553.
備考古来,漢方処方で用いられる生姜は,いわゆる新鮮なショウガのことで,乾姜は乾燥品である.したがって,漢薬市場の乾燥した生姜(乾生姜とも称す)は,漢方でいう乾姜を指す.では市場の乾姜は何かというと,生姜を蒸乾したもので,修治品(加工品)といえる.一方,現在中国では新鮮なものが生姜で,乾燥品が乾姜である.また修治品として炮姜がある.炮姜は先ずきれいな砂(蛤粉,滑石粉)を鍋に入れ,強火で熱した後,乾燥した皮付き生姜を入れて攪拌し,表面が盛り上がって褐色になったら取出し放冷したものである.
更新日2021/09/27