資料館生薬データベース

※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
生薬名

入手時名称白芥子
正式名称芥子
日本語読みがいし, Gaishi
現地読みJiezi
ラテン名Sinapis Semen (CP)
英語名Mustard Seed (CP)
原植物名Brassica alba Boiss. (= Brassica hirta Moench), シロガラシ
原植物科名Brassicaceae, アブラナ科
薬用部位分類植物性生薬
細分類種子
入手先情報中華人民共和国, 湖南省長沙, 長沙市医葯公司湖南葯店
入手年月日1985/11/08
TMPW No3067

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
28.228209
112.93881399999998
入手先情報
中華人民共和国,湖南省長沙
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名芥子, Jiezi, Sinapis Semen (CP2020), Mustard Seed (CP2020)
生薬異名白芥子, 黄芥子
生薬画像
More
※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
原植物名白芥子<White Mustard Seed>: Brassica alba (L.) Boiss. (= Brassica hirta Moench)1;黄芥子<Yellow Mustard Seed>: Brassica juncea Coss. (= B. juncea Czern.)2, シロガラシ1, カラシ2
原植物画像
※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
原植物科名Brassicaceae, アブラナ科
薬用部位種子
選品噛んで辛味の強いものほど良品(TN).白芥子が品質が良いとされる.
公定書薬典(2020)
臨床応用刺激,引赤,去痰薬として芥子泥(脱脂カラシと水を混ぜてねったもの)を神経痛,肺炎などの局所に貼付外用する.その他,香辛料,揮発芥子油の原料などに多く用いられる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類化痰薬
薬効[性味] 辛,温.
[帰経] 肺経.
[効能] 温肺豁痰利気,散結通絡止痛.
[主治] 寒痰咳嗽,胸脇脹痛,痰滞経絡,関節麻木、疼痛,痰湿流注,陰疽腫毒に用いる.
成分情報脂肪酸 Fatty acids
(*C2):
脂肪油/fatty oil 30~35%:
Erucic acid, Arachidic acid, Linolenic acid

フェニルプロパノイド Phenylpropanoids
B. juncea (*C1,C2):
Sinapic acid, Sinapine,

グリコシノレート Glucosinolate
B. hirta (*C1):
Sinalbin 2.5~5%.(酵素 myrosinase により p-Hydroxybenzoyl isothiocyanateを生成)
B. juncea (*C1):
Sinigrin(酵素 myrosinase により Allyl isothiocyanate を生成)
B. nigra (*C1):
Sinigrin 1~2.5% (同上)

その他 Others
B. juncea (*C1,C2):
Myrosinase

成分 構造式

※画像をクリックすると、拡大して表示されます。
薬理作用皮膚と粘膜に対する刺激作用(芥子油).
DNA配列AF264734, AF267640, M88342, AF128093, AF128094, D10840, X05060
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症神経痛, 肺炎, 痰, 咳嗽, 関節の腫脹・疼痛
方剤清湿化痰湯, 肺癰湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10.霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
 └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり
【疾患注釈】嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざる
【用法】芥子つきて末となし、糊にまぜ紙に攤(の)べ臍中に貼べし、吐不已(はきやまざる)は巨闕の穴に灸すべし、しゃっくりやまざるは大陵の穴に灸すべし 熨薬は前に同じ <上巻37丁>

4. 横死の類: 病死以外の死
└ 4-5. 凍死

【用法】寒気に中(あた)りたるに湯にて芥子をねり、臍の内へ填(つめ)、衣類をかけ置き、手ぬぐいを熱湯に浸絞りて、其の上をしかと押温べし、冷えれば取かえ温めてよし <下巻15丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬黒芥子.
参考文献CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 232-233.
C2) 生薬学概論, p 293.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考芥子は第8改正日本薬局方(1971年)まで収載された.そこでは Brassica junceaおよびその品種の種子を規定している.
広義のカラシ B. juncea (n=18) はアブラナ B. rapa L.(n=10) とクロガラシ B. nigra (L.) W. D. J. Koch (n=8) が自然交雑してできた複2倍体種で,起源地は中近東や中央アジアだといわれている.
中国では芥子をとる狭義のカラシ (var. juncea)以外に辛味のある葉や茎を食用にするハカラシナ (var. integrifolia Sinskaya や var. multisecta L. H. Bailey),根を食用にするネカラシナ (var. megarrhiza Tsen et Lee),葉身の基部や葉柄が肥大したザーサイ(搾菜:var. tumida Tsen et Lee) などもつくられた.
クロガラシは野菜用やカラシと同じ薬用に,中近東や地中海地方で栽培される.クロガラシの種子が黒芥子である.
証類本草27巻では,名医別録から収載されている「芥」ならびに開宝本草から収載された「白芥」があり,ここでは「芥」を採用した.
更新日2021/09/27