資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称木香
正式名称木香
日本語読みもっこう, Mokkō
現地読みMuxiang
ラテン名Saussureae Radix (JP), Aucklandiae Radix (CP)
英語名Saussurea Root (JP), Common Aucklandia Root (CP)
原植物名Saussurea lappa Clarke (= Aucklandia lappa Decne.)
原植物科名Compositae, キク科
薬用部位分類植物性生薬
細分類
産地情報中華人民共和国, 雲南省
入手先情報日本, 大阪府, ㈱栃本天海堂
入手年月日2020/07/03
蒐集者小松かつ子
備考2020年拠点事業
TMPW No30692

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
24.880095
102.83289100000002
産地情報
中華人民共和国,雲南省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937378
135.50216509999996
入手先情報
日本,大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名木香, Muxiang, Saussureae Radix (JP18), Aucklandiae Radix (CP2020), Saussurea Root (JP18), Common Aucklandia Root (CP2020)
生薬異名唐木香, インド木香, 広木香, 雲木香, 老木香
生薬画像
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原植物名Saussurea lappa Clarke (= Aucklandia lappa Decne.)
原植物画像
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原植物科名Compositae, キク科
薬用部位
選品よく肥大し,内部の充実した香りの強いものが良品 (TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用健胃,整腸薬として,嘔吐,腹痛,下痢,消化不良,寄生虫病などに応用する.薫香料にも用いられる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類理気薬
薬効[性味] 辛、苦,温.
[帰経] 脾、胃、大腸、三焦、胆経.
[効能] 行気止痛,健脾消食.
[主治] 胸脇、脘腹張痛,瀉痢後重,食積不消,不思飲食に用いる.
成分情報脂質 Lipids
(*C1):
Aplotaxene

セスキテルペノイド Sesquiterpenoids
(*C1-C4):
alpha-Ionone, Dehydrocostus lactone, Saussurea lactone, Costunolide, Dihydrocostunolide, alpha-Costol, beta-Costol, gamma-Costol, beta-Costic acid, beta-Cyclocostunolide, Alantolactone, Isoalantolactone, Isodehydrocostus lactone, Isozaluzanin C, Mokkolactone, Saussureal

トリテルペノイド Triterpenoids
(*C1):
Betulin

ステロール Sterols
(*C1):
Stigmasterol

成分 構造式



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薬理作用抗菌作用(精油成分:連鎖球菌,ブドウ球菌),気管拡張,平滑筋弛緩作用 (saussurine).
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症腹満, 腹痛, 悪心, 嘔吐, 便秘, 下痢, テネスムス, 消化不良, 食欲不振
方剤烏苓通気湯, 加減小柴胡湯, 加味帰脾湯, 桔梗湯[外台], 帰脾湯, 芎帰補中湯, 九味檳榔湯, 香朴湯, 行和芍薬湯, 牛膝散, 三生飲, 七味白朮湯, 実脾湯, 芍薬湯, 十六味流気飲, 椒梅湯, 参蘇飲, 喘四君子湯, 銭氏白朮散, 中正湯, 丁香柿蔕湯, 導水茯苓湯, 導滯通経湯, 内疎黄連湯, 女神散, 肺疳方, 貝母湯, 分消湯, 防已散, 防已湯, 牡丹皮散, 本方芍薬湯, 弄玉湯, 香砂養胃湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-1. 中風
: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある 
 └ 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である
【疾患注釈】痰壅不省: 痰が塞がっていて正気ではない状態 
【用法】天南星木香とともに等分を刻んで水から煎じて服用してもよし <上巻4丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-4. 中気
: 気が塞がり倒れる
【疾患注釈】此証大抵中風の閉証と同じければ、前の中風の所と合せ見るべし、然ながら中風は身温也 中気は身冷(すず)し、脈も又中風は浮也、中気は沈也 大抵此証の起る前に心気を労し、又は大きに怒事あり、或は怒をこらえ又は思案することありて気の鬱(こり)し時に発する証なり、元皆七情の過極(すききわま)りたるより起る、世に中気中風を一つに心會(こころえ)たる人多し、初は大抵理法も似たる様なれども、後に至りては大に同じからず 
【用法】木香壱匁煎じて飲(のま)しむべし <上巻24丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-13. 積気暈倒
: 胸腹の激痛により目をまわす
【疾患注釈】此証初発に頭痛身熱、或は憎寒(さむけして)、後に大に熱を発し、小腹(したばら)痛を作(なし)て、胸を脇肋(わきばら)に引疼(ひきいたみ)、甚しきは咬牙(きばをかみ)ふるえて反張(そりかえり)、冷汗出て流るるがごとくにして死なんとするあり、又咬牙(きばをかみ)反張(そりかえり)なくして卒然(にわか)に暈(めくるめく)倒るるものあり、或は大小便閉るあり、又積気厥逆(つきあげ)て、心腹(むねはら)共に膨張(はりつめ)て、背膂(せなかかた)引痛、嘔吐乾嘔(はきけえたき)、或は痰沫を吐き、或は心胸(むねさき)に湊(つきつめ)、或は脇肋(わきばら)へ筑(さしこみ)て腹中刺がごとく痛、或はついに厥逆(てあしひえ)あがり、死せんとするものあり 
【用法】
木香末とし熱酒にて調(まぜ)服す <上巻68丁>
紫蘇の葉水にて煎じ服す、急なる時は熱湯にて擺出(ふりだ)し用ゆ、木香末少許(ばかり)入て良 <上巻68丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 寒痛: 綿々(だらだら)といつまでも斷間(たえま)なく痛み、胸すきて飢がごとく、按(おし)て快(こころよ)く、大便泄痢或は下重(いけみ)あるは寒痛なり、俗に冷蟲と言 此証最灸して良、中脘、天枢、気海、見許(みはから)い、灸すべし 
【用法】木香末となし、温水(さゆ)に送り下すべし <中巻33丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬青木香,川木香,土木香,蔵木香
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 40-42.
C2) Chem. Pharm. Bull., 12, 632 (1964).
C3) Tetrahedron, 13, 319 (1961).
C4) Phytochemistry, 31, 336 (1992).
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考キク科/Compositae の Saussurea lappa Clarke (= Aucklandia lappa) の根に由来する木香が正品で,古代には「青木香」と称した.現在の青木香は,ウマノスズクサ科/Aristolochiaceae の ウマノスズクサ Aristolochia debilis Sieb. et Zucc. および マルバウマノスズクサ Aristolochia contorta Bunge の根である.
川木香はキク科の Vladimiria souliei (Franch.) Ling の根で,通常根頭部を焼いて調製する.かつてこれを Inula racemosa Hook.f.(蔵木香)に充てたことがあったが誤りである.
土木香はキク科のオオグルマ Inula helenium L. の根である.その他中国市場の「越西木香」は Vladimiria denticulata Ling の根である.
更新日2023/01/23