資料館生薬データベース
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26.647661
106.63015300000006
産地情報
中華人民共和国,貴州省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png
学術情報データベース
一般生薬名 | 生姜, Shengjiang, Zingiberis Rhizoma (JP18), Zingiberis Rhizoma Recens (CP2020), Ginger (JP18), Fresh Ginger (CP2020) | |||||
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生薬画像 |
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原植物名 | Zingiber officinale Roscoe , ショウガ | |||||
原植物画像 |
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原植物科名 | Zingiberaceae, ショウガ科 | |||||
薬用部位 | 根茎(コルク皮を去り乾燥) | |||||
選品 | よく肥大し,内部が白色を呈し,辛味の強いものが良品である.若い根は良くない(TN). | |||||
公定書 | 日局18,薬典(2020) | |||||
臨床応用 | 芳香性健胃,鎮嘔,去痰,食欲増進薬として新陳代謝機能を促進し,水毒を去る目的で,嘔吐,咳嗽,腸満,腹痛,感冒,頭痛,鼻づまりなどに用いる. | |||||
医学体系 | 中国医学 | |||||
伝統医学的薬効 | 分類 | 辛温解表薬 | ||||
薬効 | [性味] 辛,微温. [帰経] 肺,脾,胃経. [効能] 解表散寒,温中止嘔,化痰止咳,解魚蟹毒. [主治] 風寒感冒,胃寒嘔吐,寒痰咳嗽,魚介中毒に応用する. | |||||
成分情報 | その他の脂肪族関連化合物 Other aliphatic and related compounds (*C1): Methylheptenone, Nonylaldehyde モノテルペノイド Monoterpenoids (*C1): beta-Phellandrene, Camphene, Citral, Linalool, d-Borneol, Farnesene, alpha-Terpineol, Nerol, Sabinene, 1,8-Cineol, Myrcene セスキテルペノイド Sesquiterpenoids (*C1): Zingiberol, alpha-Zingiberene, alpha-Bisabolene, beta-Bisabolene, gamma-Bisabolene, alpha-Curcumene, beta-Curcumene, Zerumbone その他の芳香族誘導体 Other aromatic derivatives (*C1): Hexahydrocurcumine, Dihydrogingerol, Desmethylhexahydrocurcumine, Zingerone, Shogaol, [6]-Gingerol, [8]-Gingerol, [10]-Gingerol, Dehydrogingerone | |||||
成分 構造式 |
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薬理作用 | 中枢抑制([6]-gingerol,[6]-shogaol).鎮痛([6]-shogaol).プロスタグランジン生合成阻害([6]-gingerol,[6]-dehydrogingerone).鎮痙(精油).伝導麻酔(水エキス).抗腫瘍(水エキス).嘔吐抑制(生姜汁). | |||||
DNA配列 | AF202418, AF254460, U42081, L05465, AJ388298; 伝統医薬データベース. | |||||
証類本草(中国古典) | ※画像をクリックすると本文の画像が表示されます | |||||
適応症 | 感冒, 腹痛, 吐き気, 消化不良, 嘔吐, 咳嗽 | |||||
方剤 | 異功散, 胃苓湯, 茵蔯四逆湯, 烏頭桂枝湯, 烏薬順気散, 烏苓通気湯, 温経湯, 温胆湯, 越婢湯, 越婢加朮湯, 越婢加半夏湯, 延年半夏湯, 黄耆桂枝五物湯, 黄耆建中湯, 黄芩加半夏生姜湯, 解労散, 加減胃苓湯, 加減小柴胡湯, 加減八物湯, 化食養脾湯, 藿香正気散, 葛根湯, 葛根加半夏湯, 葛根加苓朮附湯, 葛根湯加辛夷川芎湯, 加味温胆湯, 加味帰脾湯, 加味逍遥散, 加味逍遥散合四物湯, 加味八仙湯, 加味平胃散, 栝楼湯, 栝楼桂枝湯, 帰耆建中湯, 橘皮湯, 橘皮枳実生姜湯, 橘皮竹茹湯, 橘皮半夏湯, 帰脾湯, 逆挽湯, 救逆湯, 近郊方朮附湯, 九味半夏湯, 九味檳榔湯, 桂姜棗草黄辛附湯, 桂枝湯, 桂枝加黄耆湯, 桂枝加葛根湯, 桂枝加桂湯, 桂枝加厚朴杏仁湯, 桂枝加芍薬湯, 桂枝加芍薬生姜人参湯, 桂枝加芍薬大黄湯, 桂枝加朮附湯, 桂枝加大黄湯, 桂枝加附子湯, 桂枝加龍骨牡蠣湯, 桂枝加苓朮附湯, 桂枝去桂加茯苓白朮湯, 桂枝去芍薬湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣湯, 桂枝去芍薬加蜀漆龍骨牡蠣救逆湯, 桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯, 桂枝芍薬知母湯, 桂枝生姜枳実湯, 桂枝桃仁湯, 桂枝二越婢一湯, 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝二麻黄一湯, 桂枝附子湯, 桂枝麻黄各半湯, 啓脾湯, 鶏鳴散 [時方歌括], 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝二麻黄一湯, 桂枝附子湯, 桂枝麻黄各半湯, 啓脾湯, 鶏鳴散 [時方歌括], 鶏鳴散加茯苓, 行気香蘇散, 香砂平胃散, 香砂六君子湯, 香蘇散, 厚朴七物湯, 厚朴生姜半夏甘草人参湯, 五積散, 呉茱萸湯, 柴葛解肌湯, 柴陥湯, 柴胡加芒硝湯, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 柴胡去半夏加栝楼湯, 柴胡桂枝湯, 柴胡厚朴湯, 柴胡四物湯, 柴胡養栄湯, 柴芍六君子湯, 柴朴湯, 柴苓湯, 紫苑散, 四君子湯, 梔子生姜豉湯, 紫蘇和気飲, 実脾湯, 柿蔕湯, 炙甘草湯, 芍薬湯加大黄, 赤小豆湯, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 十味敗毒湯, 順気和中湯, 潤肺湯, 春林赫石脂湯, 生姜甘草湯, 生姜瀉心湯, 小建中湯, 小柴胡湯, 小柴胡湯加黄連茯苓, 小柴胡湯加桔梗石膏, 小柴胡合半夏厚朴湯, 小続命湯, 小半夏湯, 小半夏加茯苓湯, 消痞湯, 升麻葛根湯, 逍遥散, 秦艽別甲湯, 参蘇飲, 真武湯, 清湿化痰湯, 清上蠲痛湯, 清熱解鬱湯, 清肺湯, 旋覆花代赭石湯, 増損木防已湯, 疎経活血湯, 蘇子降気湯, 大柴胡湯, 大青竜湯, 竹茹温胆湯, 竹葉湯, 知母茯苓湯, 釣藤散, 通脉四逆湯, 当帰建中湯, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 当帰白朮散, 二朮湯, 二陳湯, 敗毒湯, 排膿湯, 排膿散及湯, 貝母湯, 八味逍遥散, 八物湯, 八珍湯, 半夏厚朴湯, 半夏白朮天麻湯, 白朮附子湯, 茯苓飲, 茯苓甘草湯, 茯苓沢瀉湯, 分消湯, 分心気飲, 平胃散, 防已散, 防已黄耆湯, 防風通聖散, 補中益気湯, 補肺湯, 奔豚湯 [金], 奔豚湯 [集験方], 奔豚湯 [深師], 奔豚湯 [肘後方], 奔豚茯苓湯, 麻黄五味湯, 麻黄連軺赤小豆湯, 味麦益気湯, 木通散, 射干麻黄湯, 六君子湯, 龍骨湯, 六鬱湯, 香砂養胃湯 | |||||
広恵済急方(日本古典) Tips! | 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-1. 中風: 気を失い半身・手脚きかず、目・口ゆがむ病態 閉証(実証)と脱証(虚証)の二証がある 閉証(実証)病状: 卒に倒れ、気を失い、人をしらず、歯を食いしめ、拳を握り、痰を吐くように喘息し、眼口歪み、半身不随、眼を見つめ、或は上目遣いでいるのは中風の閉証である 【疾患注釈】痰壅不省: 痰が塞がっていて正気ではない状態 【用法】 ・ 生姜の絞り汁を白湯に入れかき混ぜて飲む 又は、それに白礬を加えて服用すると最も良い <上巻4丁> ・ 童の小便と生姜の絞り汁を等分よく混ぜ服用する <上巻4丁> ・ ごまの油に生姜の絞り汁をたらして撹拌し、飲む <上巻4丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-2. 脱陽:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる 卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也 【疾患注釈】凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ 【用法】桂枝壱両刻み好酒(よきさけ)にて煎じ飲しむ可(べ)し、若(もし)桂枝無きときは、葱の白根其侭(そのまま)廿本許(ばかり)を刻み、好酒にて濃くせんじ飲しめてよし、或は生姜を擦(すり)て一両其侭酒にて煎じ用ゆ、又効(しるし)あり <上巻17丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-4. 中気: 気が塞がり倒れる 【疾患注釈】此証大抵中風の閉証と同じければ、前の中風の所と合せ見るべし、然ながら中風は身温也 中気は身冷(すず)し、脈も又中風は浮也、中気は沈也 大抵此証の起る前に心気を労し、又は大きに怒事あり、或は怒をこらえ又は思案することありて気の鬱(こり)し時に発する証なり、元皆七情の過極(すききわま)りたるより起る、世に中気中風を一つに心會(こころえ)たる人多し、初は大抵理法も似たる様なれども、後に至りては大に同じからず 【用法】先初に鼻に胡椒の末又は烟草(たばこ)の粉を吹込、嚏(くさめ)をさせ、後に酢を火盆(ひばち)の内へ傾け入れて、酢の気を病人に嗅せ、且隠白湧泉の次(あたり)に灸してよし、生姜の絞り汁を湯にて拌(かきまぜ)飲(のませ)てよし <上巻24丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-5. 痰厥: 痰が胸につまり気を失う 【疾患注釈】此病は中気と同じ、惟(ただ)初に眩暈ありて、卒(にわか)に倒れ聲いてず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、齒をくいしめ、目を見つめ息麁(あら)し 【用法】 ・ 先ず嗅ぎ薬を用て嚏(くさめ)を取べし 其次に塩湯に生姜の絞汁を入れて用ゆ 尤よろし、竹瀝を加るもよろし、又甘草一味刻て濃煎じ、多く飲しむべし、痰を吐て癒なり <上巻25丁> ・ 白礬に末となし生姜の自然汁(しぼりじる)にて調え服すべし <上巻26丁> ・ 大なる半夏十四粒、皀莢一條(すじ)刻て水二鐘(はい)入て一鐘(はい)に煎じ生姜汁を入温め服すべし <上巻26丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-6. 中暑: 暑気あたりで気を失い倒れる 【疾患注釈】頭痛大熱惣身(ずつうだいねつそうしん)を椚(な)て見るに、肌膚烙(やく)がごとく大に渇き、水を飲(のまん)とし、汗甚しく泄(もれ)出て漸々に無性に成るに至る、尤喘満熱をいやかるなり 【用法】急に生姜一大塊を嚼(かみ)、爛(こまか)にし、冷水にて送下すべし <浄化28丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-8. 食厥: 食べ物がつまり倒れる 【疾患注釈】卒(にわか)に眩痺(めまい)して仆(たおれ)、口噤て手足動かず、或は手足躁擾(もがきし)満悶(むなぐるし)く、漸々に昏冐(うっとり)して無性となる、全く中風の閉証のごとく見ゆれども、口目ゆがむ事なく痰の聲なし、扨(さて)腹を按(お)しみるに、心下(むなさき)はりて下腹やわらかにして、右の天枢の邉或は中脘の次(あたり)に塊あり、是を按(おせ)ば、顔を顰(しかめ)、いたみある様子に見えて、兎角胸の中を苦しむていあり 【用法】 ・ 急に開噤法([中風の條]くいしめたる歯を開く法)をもってくちを開き、濃く煎じたる塩湯に生姜絞汁を入、ぬるま湯にして多くのませ、なおそのうえに鳥の毛(はね)又は紙撚にて咽を探り吐すべし <上巻33丁> ・ 吐て後紫蘇葉煎じ服す、生姜を入れ煎じ服す亦よし <上巻33丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-9. 恐怖卒死: 物に驚いて目を回す 凡人夕暮れ又は夜中厠にいき、或は郊野へ出て、或は空冷屋室に遊び、又はしらざる所の地に行き、ふと異形のものを見て口鼻の内へ邪悪の気を吸い入れ、たちまち地に倒れ、手脚冷え上がり、両手を握り、面の色青黒く、或は口鼻より清血を流すことあり 【疾患注釈】凡(おおよそ)卒(にわか)に倒れて無性に成し病人は、聲を立ることなき者なり、惟小児の驚風並に大人の癲癇(てんかん)驚怖(ものおどろき)して気絶するとの三証は、叫聲(わっとこえ)をあぐる也 是を其証拠(しょうことす) 【用法】雄黄を姜汁(しょうがのしぼりじる)醇酒(こいさけ)等分に攪(かきま)ぜ煎じ沸(わかす)こと数度にして飲しむべし <上巻34丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-10.霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり └ 湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり └ 忽然(たちまち)心腹ひきしめて痛て吐瀉する 【用法】生姜を擦り、汁を絞り去て、滓を炒熱し、紙につつみ、腹ならびに臍下気海背の十一椎と十二椎の次(あたり)と腰の所を熨すべし <上巻36丁> └ 嘔吐并乾嘔不已: 嘔吐ならびにからえたきやまざる 【用法】 ・ 半夏一味煎じ生姜の絞り汁入服す、呉茱萸乾姜の二味もよし、且(そのうえ)中脘に灸すべし 間使の穴(かんしのあな)に灸するもよろし <上巻37丁> ・ 手足冷るは生半夏一匁、生附子一匁、生姜三片、水二杯を一杯半に煎じ用ゆ └ 吐下後渇: 吐き下した後に渇 【用法】粳米を水を入れて研(すり)て、その汁を温め、中へ竹瀝と姜汁を入攪(かきまぜ)てのませてよし、粟黍の類何れも水に煮て汁を取服さしむべし、又粳米のとぎみずを温服すべし <上巻39丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-10.霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり └ 乾霍乱: 忽然(たちまち)心下(むなさき)痞(つかえ)かたく腹肚(はら)はりしぼるように痛堪がたく漸々に煩躁擾亂(もがきさわぎ)、吐んとして吐ず、瀉(くだ)さんとして瀉さず、手足逆冷(ひえあがり)冷汗出、胸膈(むね)かたく起(おこ)りふさがり、頃刻(しばらくのうち)に命危証なり └ 先(まず)心下(むなさき)いたみ悪心、或は乾嘔(からえたき)なとし、心下(むなさき)に邪物ありて按(おし)て痛む 【用法】濃塩湯の中へ童子の小便と生姜の絞汁を加えて頓(いちがい)に服するもよし <上巻48丁> └ 中脘以下小腹へかけ、絞るが如く痛甚、是を按ば中脘より下腹の方に塊ある 【用法】厚朴を生姜の汁に付炙、研末となし、白湯にてニ匁許を用ゆ 類は厚朴刻、炙、煎、姜汁を入拌(かきまぜ)用う、或は肉桂、枳実をくわう <上巻48丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-11. 疔毒昏憒: 疔の毒により気を失う 凡人平居無事にして、暴(にわか)に死る者あり、何故なる事をしるべからざるは、撚紙(こより)に火を點(とも)し死人の遍身(そうみ)を見るべし、若(もし)小瘡(ちいさいできもの)あらば、是疔毒内に入たるなり 面部等の顯(あらわれ)たる所に生たるは、見易き故に知易し、身體手脚(からだてあし)の隠たる所に生じたるは見えがたきゆえ知かたし、故に往々見誤る事あり、又は初発に憎寒壮(さむけつよく)熱ありて、傷寒と會(こころえ)て療理し、救わざるに至る物あり、此証急に救わざれば半日に死す、死て後其屍(そのしかばね)に紫黒の点あるべし、疔毒なり、故に此証緩(ゆるやか)にすべからず 【用法】蒼耳一握り生姜三匁一つに搗きつぶして泥のごとくし、生頭酒(きざけ)一椀を入れてよくまぜて絞り、かすをとって燗酒にして服し、汗大いに出づるをよしとす <上巻50丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-12. 脚気衝心: 脚気の毒が脚より腹に入り胸元へ衝き上げる状態 【疾患注釈】凡(おおよそ)此証最初に脚膝弱、或は頑麻(しびれ)、或はだるく痛、或は轉筋抅急(すじひきつめ)、或は踵跟(きびす)足心(あしのうら)等隠隠(どこともなく)痛、或は脛脚(はぎすね)に肘腫(むくみ)ある等の証ありて、或は小腹(したばら)麻痺(しびれ)、卒(にわか)に嘔吐を発し上衝(つきあげ)強く、肩にて息をなし、喘息して白汗出、乍(たちまち)寒乍熱、煩悶(くるしみもがき)やまず、或は精神漸々に恍惚となり、或は譫語(たわごと)を発し、遂に無性となる、是脚気の衝心にて九死一生なり、急に理法を施すべし 又其初憎寒(さむけ)壮(つよく)、熱いで全く傷寒のごとくなる有見誤るべからず 衝心の節に至りて、病発に右の如く脚に疾(やまい)ある事を知ざれば、理療に違ひあり、病人も心付ず別の事と思ひ、告語(つげいた)らず、事を誤ることあり よくよく心を用て問べし 【用法】 ・ 檳榔子末にして二匁、童子の小便にて用ゆべし、生姜汁を加るも亦よし <上巻61丁> ・ 半夏二匁、水に煎じ生姜汁多く入服すべし <上巻61丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-13. 積気暈倒: 胸腹の激痛により目をまわす └ 疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり 【用法】衝逆強く、痰のどに塞(ふさがる)は、香附子の末、浮石の末等分にして白湯に生薑の絞汁を拌(かきまぜ)て服す <上巻69丁> 1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類 └ 1-19. 醉舩: 船酔い、轎(かご)酔い、山に酔う └ 轎酔: 人轎(かご)に乗、漸々(せんせん)に風雲中(かぜくもうち)に坐するがごとく頭痛甚しく、悪心(むねわる)くなり、最甚(もっともはなはだしき)は暈倒(めまいたおるる)に至る 【用法】速やかに熱湯の中に生姜の絞汁を入、拌(かきまぜ)飲しめてよし、又半夏一味煎じ服す <上巻79丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり └ 虚熱吐血: 患人(病人)面赤く、滑沢(つやつや、うるおい)甚だしく、或は躁悶(もだえさわぎ)、或は喘息して手足厥冷(冷えあがり)、或は小便清澄(すみ)、大便もやわらかに通じ、又は泄瀉し、遂に吐血て止まざるは虚陽の浮泛(うかみあかり)たるなり、血色鮮紅なり、尤大切の証なり 【用法】人尿に生姜の絞汁を入れ、和匂(よくまぜ)て服す <中巻4丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-6. 急喉痺(きゅうこうひ): 突然咽喉部が腫れ塞がる └ 肺絶: 急に咽腫塞(はれふさがり)、痰喉に在て響き、聲鼾(いびき)のごとく、面色(おもてのいろ)青惨(あおざめ)たるは肺絶なり、至て危篤(あやうき)なり 【用法】急に獨参湯を濃煎じ、生姜の絞汁と竹瀝少ずつ加えて、頻(しきり)に服さしむべし、若(もし)遅きときは十人に一人も活すべからず <中巻29丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-11. 卒瘂(そつあ): 突然話すことができなくなる 【疾患注釈】人俄に言語(ものいうこと)ならず、聲いでざるなり 【用法】 ・ らいふくの絞汁に生姜の絞汁を和(まぜ)、徐々(そろそろ)と服すべし <中巻38丁> ・ 生姜汁をのむべし、又嚼食(かみくらう)もよし <中巻38丁> 2. 卒暴諸証: 突然発症する病 └ 2-17. 舌卒腫大: 突然舌腫大になる 【疾患注釈】人舌卒に腫、大になりて口中に満(みつる)者あり 【用法】硼砂細末にして、切たる生薑につけ、舌を徐々(そろそろ)擦(する)べし <中巻45丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-1. 金瘡: 刀や脇差等による切り傷の類 └ 喉刎人: 咽を刎(はねきり)たる 【用法】先其人を仰臥(あおむけにねか)して枕を高し、頭面まえかぶりにして、刀口開かざる様にすべし、扨(さて)、風を避(よけ)、衣被(いるい)を蓋(おおい)て煖(あたたか)にすべし、若(もし)呼吸(いきづかい)に別条なきは、白米一合、人参一錢(もんめ)、生姜三片入て粥を焚、其粥の清(うわゆ)を啜(すすらせ)て元気を接(つづかせ)補て醫の來(いしゃのきたる)を竢(まつ)べし <中巻56丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-4. 趺撲、堕落、靨倒、閃挫、落馬(うちうたれ、たかき所よりおち、おしたおされ、くじき、らくば) 【用法】 ・ おおよそ靨打(おしうたれ)れて気絶したるは、其人をして僧の坐禅するが如くに坐(すわ)らしめ、一人は其頭髪を将(もち)て控張(ひきはり)て、半夏の末を鼻孔の中に吹き入るべし、猪牙、皀莢の末、或は胡椒の末を吹きいるも亦よし、嚏(くさめ)をして活却(いきふくかえ)さば、生姜の絞汁に香油(ごまのあぶら)を拌匂(かきまぜ)て灌(のましむ)べし <中巻61丁> ・ 血出ずして痛(いたみ)推(ただ)其處の色、あるいは青、或は紫なるは、先ず葱の白根を刻み細かにして炒り熱くし、其痛む處を擦り、熨しあたためて灸に大黄の末を生姜の絞汁に調(ととのえ)て敷(つけ)て、其人の酒量に随(したがい)醉ほど好酒(よきさけ)を飲ましむべし <中巻63丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-10. 諸蟲咬傷: 諸々の虫に刺される/咬まれる └ 蜘蛛咬傷: 蜘蛛に咬傷(かみやぶら)れる 【用法】炮(あぶりたる)生姜を貼(つけ)てよし <中巻75丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-10. 諸蟲咬傷: 諸々の虫に刺される/咬まれる └ 蟲咬(何の蟲知らず): 蟲(何の虫かわからない)に咬傷れる 【用法】腫痛(はれいたむ)は、姜汁(しょうがのしぼりじる)にて其處を洗い、後に明礬、雄黄の末を貼(つけ)てよし <中巻80丁> 3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷 └ 3-11. 諸獣囓傷: 獣に噛まれる └ 瘈狗囓: 瘈(やまい)犬に囓まれたる 【用法】生姜汁(しぼりじる)、鉄漿(おはぐろ)右二味等分にして、冷たるままにて一合許ずつを飲べし <中巻90丁> 4. 横死の類: 病死以外の死 └ 4-5. 凍死 【疾患注釈】初は顔色青惨(あおざめ)、或は目運(めまい)し、後には惣身すくみ手足ふるえ、漸々(ぜんぜん)に冷あがり、こわわり直(すぐ)になり、唇の色青黒、脈至て沈伏(しずみかくれ)、或は脉なきに至り、口も言うことならず、遂に倒れ無性になるなり 【用法】 ・ 先扶(まずかいほうし)て煖なる室に入、凍人の衣(きもの)を去(ぬが)せ、傍人(かいほうにん)の着せし熱衣(あたたかききもの)に包、米を炒熱くし、或は竈の下の灰を熱く炒り、袋の内へ入れ、病人の胸を熨しあたたむべし、冷えれば換(とりかえ)て幾度もむすべし、扨て(さて)酒と生姜の絞汁等分に和匂(まぜ)、熱くかんして飲しむべし <下巻14丁> ・ 冷極(ひえきわま)りて唇青く、脈なく、陰嚢縮上りたる者、同法にて心頭(むなさき)を先ず熨法を以て温め、臍の中気海關元の穴に十五壮灸すべし、右の法を用て口中気出て後に稀粥清(かゆのとりゆ)を稍々(そろそろ)と灌ぎのませ、又は生姜湯を其間にまじえのましめて、漸くに醒べし <下巻14丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中菘菜多食毒: 菘菜を多く食して毒に中(あたり)たる 【用法】生姜を多く喫(くらい)て良 <下巻46丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中竹筍毒: 竹の子の毒に中(あた)れば、腹大(おおい)に緊満(きびしくはり)て、手を近づくべからず 【用法】急に蕎麦の殻を煮、汁を取、多く飲むべし、生姜、胡麻亦よく、毒を解す <下巻47丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 中芋毒: 里芋の毒に中(あたり)たる 【用法】生姜汁を飲てよし <下巻47丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-2. 中諸穀菜毒: 穀類や野菜の毒にあたる └ 閉気慈姑: 慈姑を食して気閉じたる 【用法】生姜其毒を解す <下巻47丁> 6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類 └ 6-4. 中魚介禽獣肉毒: 魚介、禽獣類の肉、他諸毒にあたる └ 中鱠毒: 鱠(なます)の毒に中(あたり)たる 【用法】生姜の絞汁を飲てよし <下巻56丁> 8. 臨産急証: 出産に関する急病 └ 8-1. 難産 【疾患注釈】正産(兒の頭正直に出るなり)にして生下(うまれ)かぬるを碍産(がいざん)という、又兒先足を露(あわらす)を逆産とす、又兒先手を露を横産(おうさん)という、又兒母の後(いしき)のかたへ挂(かかり)しを棖後(とうご)という、又兒母の左か右の方へ偏(かたより)、兒の額角(こびんさき)を露(あわらす)を偏産(へんさん)という 【用法】人参末、乳香末一匁、辰砂五分、鶏子(にわとりのたまご)白(しろみ)一枚(ひとつ)、生姜汁を入攪(かきまぜ)て服すべし <下巻72丁> 8. 臨産急証: 出産に関する急病 └ 8-1. 難産 └ 胞衣不下(えなおりざる): 兒生下時(こうまれるとき)、看生人(かいほうにん)産母の胸前をしかと抱き、産婦も亦自分にて肚腹を緊(きびしく)抱くべし、胞衣下る 【用法】鹿角末にして、生姜湯にて一二匁を用ゆ <下巻74丁> 10. 小児急証: 小児の急病 └ 10-6. 初生口噤不開: 新生児、口を噤んで開かない 【用法】天南星末一錢(もんめ)許(ばかり)に龍脳少許を入、研匂(すりととのえ)、生姜の絞汁に調(ととのえ)て、指先にて兒の牙齦(はぐき)に擦(すりつけ)べし、立(たちどころ)に開くなり <下巻88丁> | |||||
関連情報 | 新訂和漢薬 | |||||
同類生薬 | 乾姜,炮姜(「備考」参照) | |||||
参考文献 | JP18: 第18改正日本薬局方. CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) . C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 116-118. L1) 官準 広恵済急方. L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2). L3) 新訂 和漢薬 pp. 551-553. | |||||
備考 | 古来,漢方処方で用いられる生姜は,いわゆる新鮮なショウガのことで,乾姜は乾燥品である.したがって,漢薬市場の乾燥した生姜(乾生姜とも称す)は,漢方でいう乾姜を指す.では市場の乾姜は何かというと,生姜を蒸乾したもので,修治品(加工品)といえる.一方,現在中国では新鮮なものが生姜で,乾燥品が乾姜である.また修治品として炮姜がある.炮姜は先ずきれいな砂(蛤粉,滑石粉)を鍋に入れ,強火で熱した後,乾燥した皮付き生姜を入れて攪拌し,表面が盛り上がって褐色になったら取出し放冷したものである. 生姜は乾姜より健胃,鎮嘔の効果が大である. 生姜の代わりに乾生姜を用いる際には,古方の分量の1/3~1/5が適当である. | |||||
更新日 | 2022/11/30 | |||||