資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称檳榔子
正式名称檳榔子
日本語読みびんろうじ, Binrōji
現地読みBinglangzi
ラテン名Arecae Semen (JP), (CP)
英語名Areca (JP), Areca Seed (CP)
薬用部位分類植物性生薬
細分類種子
産地情報中華人民共和国, 海南省
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2021/10/11
蒐集者小松かつ子
TMPW No31379

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
20.044412
110.19828600000005
産地情報
中華人民共和国,海南省
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名檳榔子, Binglangzi, Arecae Semen (JP18, CP2020), Areca (JP18), Areca Seed (CP2020)
生薬画像
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原植物名Areca catechu Linn., ビンロウ(ビンロウジュ)
原植物画像
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原植物科名Arecaceae, ヤシ科
薬用部位成熟種子
選品虫害がなく,内部断面の紋理が白色で,へその部分に穴のないものが良い.形状が扁平球状のものが良品(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用収斂,健胃薬として,脚気,腹満,腹痛,消化不良などに応用する.また条虫駆除薬にする.その他,緑内障治療薬,軟膏基剤.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類駆虫薬
薬効[性味] 苦、辛,温.
[帰経] 胃、大腸経
[効能] 殺虫,消積,行気,利水,截瘧.
[主治] 条虫病,蛔虫病,姜片虫病,虫積腹痛,積滞瀉痢,里急後重,水腫脚気,瘧疾に用いる.
成分情報脂肪酸 Fatty acids
(*C1):
Lauric acid, Myristic acid, Oleic acid, Palmitic acid, Stearic acid, Capric acid

タンニン Tannins
(*C1):
アレカタンニン類 / Arecatannins

アルカロイド Alkaloids
(*C1):
Arecoline, Arecaidine, Guvacoline, Guvacine, Isoguvacine

成分 構造式


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薬理作用副交感神経興奮作用,中枢興奮作用,平滑筋収縮作用,粘液分泌腺刺激作用,血圧降下作用(arecoline),駆虫作用(アルコールエキス/ミミズ・条虫).
DNA配列AY012383, AY012497, AJ404819, AY012383; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症腹満, 腹痛, 便秘, テネスムス, 脚気水腫, 回虫, マラリア
方剤安産湯, 烏苓通気湯, 延年半夏湯, 加減胃苓湯, 活血散瘀湯, 夏檳湯, 九味檳榔湯, 鶏鳴散 [時方歌括], 鶏鳴散加茯苓, 行和芍薬湯, 柴胡厚朴湯, 柴胡別甲湯, 芍薬湯, 芍薬湯加大黄, 十六味流気飲, 椒梅湯, 常檳湯, 大百中飲, 唐侍中一方, 導水茯苓湯, 内疎黄連湯, 女神散, 変製心気飲, 肺疳方, 檳榔順気湯, 本方芍薬湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-10.霍乱
: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
 └ 乾霍乱: 忽然(たちまち)心下(むなさき)つかえかたく腹肚(はら)はりしぼるように痛堪がたく漸々に煩躁擾亂(もがきさわぎ)、吐んとして吐ず、瀉(くだ)さんとして瀉さず、手足逆冷(ひえあがり)冷汗出、胸膈(むね)かたく起(おこ)りふさがり、頃刻(しばらくのうち)に命危証なり 
   【疾患注釈】心腹(むねはら)共に痛、これを按(おせ)ば、心下中脘の邊共塊ある 
   【用法】先塩湯ぬるくして飲て咽を探吐すべし、吐ば後必ず大便も通べし、若大便せざるは檳榔子ニ匁、童便茶碗に半分、水茶碗に一杯入、八分目に煎て服さしむべし <上巻48丁>
   【疾患注釈】中脘以下小腹へかけ、絞るが如く痛甚、是を按ば中脘より下腹の方に塊ある 
   【用法】厚朴生姜の汁に付炙、研末となし、白湯にてニ匁許を用ゆ 或は厚朴刻、炙、煎、汁を入拌(かきまぜ)用う、或は肉桂枳実をくわう この後、檳榔子童便少加、水に煎じ用べし <上巻48丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-12. 脚気衝心
: 脚気の毒が脚より腹に入り胸元へ衝き上げる状態
【疾患注釈】凡(おおよそ)此証最初に脚膝弱、或は頑麻(しびれ)、或はだるく痛、或は轉筋抅急(すじひきつめ)、或は踵跟(きびす)足心(あしのうら)等隠隠(どこともなく)痛、或は脛脚(はぎすね)に肘腫(むくみ)ある等の証ありて、或は小腹(したばら)麻痺(しびれ)、卒(にわか)に嘔吐を発し上衝(つきあげ)強く、肩にて息をなし、喘息して白汗出、乍(たちまち)寒乍熱、煩悶(くるしみもがき)やまず、或は精神漸々に恍惚となり、或は譫語(たわごと)を発し、遂に無性となる、是脚気の衝心にて九死一生なり、急に理法を施すべし 又其初憎寒(さむけ)壮(つよく)、熱いで全く傷寒のごとくなる有見誤るべからず 衝心の節に至りて、病発に右の如く脚に疾(やまい)ある事を知ざれば、理療に違ひあり、病人も心付ず別の事と思ひ、告語(つげいた)らず、事を誤ることあり よくよく心を用て問べし
【用法】檳榔子末にして二匁、童子の小便にて用ゆべし、生姜汁を加るも亦よし <上巻61丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-13. 積気暈倒
: 胸腹の激痛により目をまわす
 └ 疝気衝逆(せんきつきあぐる): 素より陰嚢腫痛事有か又腰少腹(したはら)など拘急(ひきはる)ものこの証あり、又左もなくして忽然(たちまち)起る者あり、其証少腹より胸膈(むなさき)まで衝上(つきあげ)引疼(ひきいたみ)て、前の積気(しゃくき)と同証を見(あらわ)すなり
【用法】檳榔子末を温なる酒にて服す <上巻69丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-9. 心腹卒痛
: 心腹(むねはら)突然痛くなる
 └ 蟲痛: 心腹(むねはら)痛み、時(ときどき)作(おこ)り、時(ときどき)止(やみ)、痛止(いたみやみたるときには能(よく)食(しょく)し、痛発(いたみおこり)たるときは口中に冷唾たまり或は清(すみたる)水を吐き、或は涎沫(よだれあわ)を吐て面青黄、或は白して口唇赤は蟲痛なり
【用法】五霊脂梹榔子等分末となし、白湯にて送り下す <中巻33丁>

6. 諸物中毒: 諸毒にあたる類
└ 6-2. 中諸穀菜毒
: 穀類や野菜の毒にあたる
 └ 中煙草毒: 煙草の毒に中(あたり)たる
【用法】檳榔子末になし、白湯にて服す <下巻46丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬大腹皮
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp 300-301.
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考東南アジア諸国では檳榔子をキンマ葉,石灰などと一緒に咀嚼する(betel chewing)習慣がある.果皮は「大腹皮」と称され薬用とする.
更新日2021/09/27