資料館生薬データベース

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生薬名

入手時名称茯苓
正式名称茯苓
日本語読みぶくりょう, Bukuryō
現地読みFuling
ラテン名Poria (JP), (CP)
英語名Poria Sclerotium (JP), Indian Bread (CP)
薬用部位分類植物性生薬
細分類菌核
産地情報中華人民共和国
入手先情報日本(ToS), 大阪府, ㈱栃本天海堂(試供品)
入手年月日2022/02/18
蒐集者小松かつ子
TMPW No31475

首都、省都または行政区域代表地点(都道府県庁所在地など)を表示しています。  
産地情報
中華人民共和国
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_san.png
34.6937249
135.5022535
入手先情報
日本(ToS),大阪府
https://ethmed.toyama-wakan.net/img/pin_nyu.png

学術情報データベース

一般生薬名茯苓, Fuling, Poria (JP18, CP2020), Poria Sclerotium (JP18), Indian Bread (CP2020)
生薬画像
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原植物名Wolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson (= Poria cocos Wolf), マツホド
原植物画像
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原植物科名Polyporaceae, サルノコシカケ科
薬用部位菌核(外層を除く)
選品外面が黒色,内面が純白で,重質で硬いものが良品.雲南省産の野生品が最良(TN).
公定書日局18,薬典(2020)
臨床応用利尿,鎮静薬として,排尿異常による浮腫,小便不利,めまい,胃内停水,心悸亢進,精神不安,失眠,筋肉の痙攣などに応用する.漢方では余剰の水を除き,脾の作用を高め,精神を安定するとされる.
医学体系中国医学
伝統医学的薬効分類利水滲湿薬
薬効[性味] 甘、淡,平.
[帰経] 心、肺、脾、腎経.
[効能] 利水滲湿,健脾,寧心.
[主治] 水腫尿少,痰飲眩悸,脾虚食少,便溏泄瀉,心神不安,驚悸失眠に応用する.
成分情報脂肪酸関連化合物 Fatty acids related compounds
(*C1):
Lecithin

多糖類 Polysaccharides
(*C1):
Pachyman [beta-(1→3)-glucanの多糖体]

トリテルペノイド Triterpenoids
(*C1):
Eburicoic acid, Dehydroeburicoic acid, Pachymic acid, Tumulosic acid, 3-beta-Hydroxylanosta-7,9,(11),24-trien-21-oic acid
(*C2, C3):
3-O-Acetyl-16-alpha-hydroxytrametenolic acid, 3-Epidehydropachymic acid, 3-Epidehydrotumulosic acid, Poricoic acid BM, Poricoic acid E, Poricoic acid F

ステロール Sterols
(*C1):
Ergosterol

アミノ酸 Amino acids
(*C1):
Histidine

その他の含窒素化合物 Other nitrogen containing compounds
(*C1):
Adenine

簡単な含窒素化合物 Simple nitrogen containing compounds
(*C1):
Choline

成分 構造式


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薬理作用血糖下降作用(水エキス,アルコールエキス),免疫増強作用(Pachyman).
DNA配列AB022187, AB022188; 伝統医薬データベース.
証類本草(中国古典)※画像をクリックすると本文の画像が表示されます
適応症尿量減少, 浮腫, 食欲不振, 元気が無い, 腹満, 泥状水様便, 悪心, 嘔吐, めまい, 不眠, 不安感, 驚きやすい, 動悸
方剤安産湯, 安中散, 異功散, 胃風湯, 胃苓湯, 茵蔯五苓散, 茵蔯散, 烏苓通気湯, 益気養栄湯, 黄耆別甲湯, 解労散, 華蓋散, 香川解毒剤, 加減胃苓湯, 加減八物湯, 化食養脾湯, 活血解毒湯, 藿香正気散, 葛根加苓朮附湯, 加味温胆湯, 加味帰脾湯, 加味逍遥散, 加味逍遥散合四物湯, 加味八脉散, 加味八仙湯, 寛中湯, 橘皮半夏湯, 帰脾湯, 逆挽湯, 芎帰調血飲, 九味半夏湯, 桂枝加苓朮附湯, 桂枝去桂加茯苓白朮湯, 桂枝五物湯, 桂枝二越婢一湯, 桂枝二越婢一湯加苓朮附, 桂枝茯苓丸, 啓脾湯, 鶏鳴散加茯苓, 香砂六君子湯, 蒿枕無憂散, 五積散, 牛車腎気丸, 五淋散, 五苓散, 柴胡加龍骨牡蠣湯, 柴胡厚朴湯, 柴芍六君子湯, 柴朴湯, 柴苓湯, 酸棗仁湯, 滋陰至宝湯, 四陰煎, 紫苑散, 四君子湯, 七賢散, 七味白朮湯, 実脾湯, 瀉脾湯, 瀉脾湯加龍骨牡蠣, 十全大補湯, 十味剉散, 十味敗毒湯, 順気和中湯, 小解毒湯, 小柴胡湯加黄連茯苓, 小柴胡合半夏厚朴湯, 正心湯, 小半夏加茯苓湯, 消痞湯, 逍遥散, 升陽散火湯, 舒筋立安散, 四苓湯, 腎炎一方, 参蘇飲, 参苓白朮散, 腎疸湯, 真武湯, 清湿化痰湯, 清心蓮子飲, 清熱補気湯, 清肺湯, 赤丸料(桂皮), 赤丸料(半夏), 喘四君子湯, 銭氏白朮散, 壮原湯, 疎経活血湯, 大三五七散, 断痢湯, 治黄胖方, 竹茹温胆湯, 治喘一方, 知母茯苓湯, 丁香茯苓湯, 釣藤散, 猪苓湯, 猪苓湯合四物湯, 当帰芍薬散末, 当帰白朮散, 当帰白朮湯, 当帰養血湯, 導滯通経湯, 独活寄生湯, 二朮湯, 二陳湯, 人参散, 人参養栄湯 [局方], 人参養栄湯 [聖済], 敗毒湯, 麦門冬飲子, 八味丸合人参湯, 八味地黄丸, 八味逍遥散, 八味帯下方, 八物湯, 八珍湯, 半夏厚朴湯, 半夏白朮天麻湯, 反鼻交感丹, 茯苓飲, 茯苓甘草湯, 茯苓杏仁甘草湯, 茯苓桂枝甘草大棗湯, 茯苓四逆湯, 茯苓沢瀉湯, 茯苓補心湯, 附子湯, 巫神湯, 分消湯, 分心気飲, 変製心気飲, 補陰湯, 防已散, 防已湯, 防已茯苓湯, 補気建中湯, 補腎湯, 牡丹皮散, 補中治湿湯, 奔豚湯 [広済], 奔豚茯苓湯, 麻黄加苓朮附湯, 蔓荊子散, 明朗飲, 木防已去石膏加茯苓芒硝湯, 養肺湯, 抑肝散, 抑肝散加陳皮半夏湯 [浅井南溟], 抑肝散加陳皮半夏湯 [本朝経験], 理中安蛔湯, 六君子湯, 龍骨湯, 苓甘姜味辛夏湯, 苓甘姜味辛夏仁湯, 苓甘姜味辛夏仁黄湯, 苓甘五味姜辛湯, 良枳湯, 苓姜朮甘湯, 苓桂甘棗湯, 苓桂五味甘草湯, 苓桂朮甘湯, 羚羊角飲, 連珠飲, 弄玉湯, 六鬱湯, 六味地黄丸, 六物附子湯, 回春茵蔯散, 杞菊地黄丸, 香砂養胃湯
広恵済急方(日本古典) 

Tips!

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-05. 痰厥
: 痰が胸につまり気を失う
【疾患注釈】此病は中気と同じ、惟(ただ)初に眩暈ありて、卒(にわか)に倒れ聲いてず、咽に痰の聲ありて、潮の湧くがごとく咽につまり、齒をくいしめ、目を見つめ息麁(あら)し 
【用法】半夏茯苓等分煎じ服す <上巻26丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└ 1-19. 醉舩
: 船酔い、轎(かご)酔い、山に酔う
 └ 船醉: 人船に乗て眩暈、或は嘔吐、或は瀉(くだし)、頭痛、煩悶(もがきもだ)える事あり
【用法】嘔吐止ざるは、半夏陳皮茯苓の三味等分煎じ飲てよし <上巻78丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└ 2-1. 吐血
: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └ 吐瘀血: 人忽(にわかに)血を吐、其血の色或は黯黒(くろずみ)、或は紫黒色にして、或は凝てとりのきものごとく、或は豆羹汁(まめのにじる)のごとくなる者あり、此時には當(あたり)ては、或は煩悶(もだえくるしみ)或は身體(みうち)清涼(すずし)くして、気息(いき)微かに、面白きは、かねて停積(とどこおり)結聚(あつまり)し、瘀血を吐出せるなり、此証は血多く出たりとも妨(さまたげ)なし、然れども一時に多く出れば元気接(つづか)ざる者なれば、両方を施すべし 
【用法】茯苓の末に香附子の末一匁許宛(ばかりずつ)を米飮(めしのとりゆ)にて用ゆべし <中巻2丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└ 9-1. 血暈
: 血の道症
 └ 血脱昏暈(けつだつこんうん): 産の時血脱下(おりくだる)こと既に過多(おびただしく)、気も就所(つくところ)を失い、気血ともに乏昏暈になり、人事を不省(かえりみず)、其面の色白く、眼黒閉て開かず、口を開手足冷、頭傾(うなだれ)、呼吸(いきづかい)寂然(うすら)なるは血脱昏眩暈なり 
【用法】人参茯苓一匁ずつ、辰砂五分入て末にし、白湯にて用ゆべし <下巻76丁>
関連情報新訂和漢薬
同類生薬茯神
参考文献JP18: 第18改正日本薬局方.
CP2020: 中華人民共和国薬典 (2020年版) .
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp 241-243.
C2) Phytochemistry,40,225(1995).
C3) Phytochemistry,39,1165(1995).
L1) 官準 広恵済急方
L2) 近世歴史資料集成第2期 (第9巻) 民間治療(2)
L3) 新訂 和漢薬
備考菌核はマツ(Pinus)属植物の根に寄生,伐採後3~4年を経た樹などの根の周囲に不定形塊状の菌核を形成する.菌核の中央に根が貫通したものを「茯神」と称して賞用する.近年茯苓は栽培品が多い.
更新日2021/09/27